先日の辰野町商店街における火災は、住宅密集地での火災であり消防戦術の難しさを実感する火災となりました。しかし私達消防団員は、先輩方から受け継ぎ学んできた火災防禦について活かされる場面にもなりました。
今回の火災は、出火建物正面は広い道路に面し、両隣と後方に住宅が密接して位置する「ブロック面火災」といわれる火災でした。この時に消防のとる戦術は、両隣ならびに後方と境を接する地点に筒先部署をし、延焼の拡大を阻止することになります。今回の火災において周囲から見守って下さった方から、火災建物正面に何故放水しないのかといったご指摘をたくさん頂きましたが、延焼の心配のほとんど無い道路側からの放水が優先されないのはこのような理由からです。今回の火災において、消防団現場到着時には、すでに両隣に延焼していた為、写真館左の建物との境ならびに後方に進入しました。「ここから先には絶対に延焼させない」という固い信念を持ち、消防署員の皆さんからの指示を仰ぎながら消火活動に専念しました。
3棟全焼という残念な結果ではありましたが、これほどの密集地でこの他に延焼が無く、負傷者が無かったということはせめてもの救いでした。
さて・・・
火災から二週間が過ぎようとしていますが、いろいろな所からおかしな話が伝わってきます。「地元の消防団員は旅行に行っていて誰もいなかった」とか「貯水槽は最初から空だった」あるいは「ポンプが壊れていて現場で役にたたなかった」などなど・・・ 現場で実際に活動していた私としては頭の中が?????という感じです。確かに大量放水の為に、防火水槽の中の水は数分の間に使い果たした事は事実ですが、空であったということはありません。また消防団出動指令直後には、地元8分団は消火作業を開始し、8分団長も現場本部を素早く立ち上げ、後着隊に対する進入場所の指示をするなど大活躍でした。ところが話を面白おかしく脚色して伝わっている部分が大きく非常に残念です。
今年度に入りすでに管内において4件の火災が出ている8分団は、火災予防を呼びかける広報誌を発行したり、休日を利用した広報活動や消防設備の点検を欠かさず行なうなど、これ以上の火災を発生させないという信念で活動しています。このように懸命に活動する仲間が、おかしな噂話で傷つけられるのはとても悲しいことです。どうか皆様、真実を正しく知っていただき、これからも私達消防の活動にご理解・御協力をいただけますようにお願いいたします。

1