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2005/11/27

意味がなければスイングはない  

著者:村上春樹
出版:文藝春秋
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村上春樹が音楽について語った文章が好きだ。

かつてほどの熱心な読者ではないが、それでも村上春樹については新作が出れば必ず読むし、旧作を読み返すことも多い。そんな彼の作品の中で一番読み返すことが多いのが、(「羊をめぐる冒険」でも「世界の終り〜」でもなく)「ポートレイト・イン・ジャズ」だ。(ちなみに本作についてはハードカバーと文庫を持っていて、家ではハードカバーを、出先では文庫を読んだりしている)
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和田誠の絵がいいんだけど、それ以上に村上春樹の文章がイイ。時にセンチに、美しく、「こういう風に書かれたら、聴かざるをえんやろう」と思わされ、随分CDを買い込んだもんである。
まあ村上春樹の最良の部分が「小説」にあるのは勿論だが、偏愛的には「ポートレイト・イン・ジャズ」は僕に結構影響を与えていると思う。

「ポートレイト〜」については真正面、音楽(=ジャズ)を取り上げた作品だが、それ以外にも小説やエッセイでチョコチョコ音楽に関する記述が村上春樹にはあり、そのいずれもが僕にとっては「いい感じ」だった。それだけに今回の新作が音楽に関するエッセイだと知って、発売前からちょっと楽しみだった。

読んでみて、一つ一つが結構長い(30ページ前後)のに驚いた(「ポートレイト〜」のように素描的なエッセイがまとまっているのかと思っていたので)が、予想違わず読ませてくれる。結局、今日一日で読み上げてしまった。

取り上げられている音楽家は、
・シダー・ウォルトン
・ブライアン・ウィルソン
・シューベルト
・スタン・ゲッツ
・ブルース・スプリングスティーン
・ゼルキンとルーヴィンシュタイン
・ウィントン・マルサリス
・スガシカオ
・フランシス・プーランク
・ウディー・ガスリー
このうち「プーランク」は全然知らず、「シダー・ウォルトン」と「ウディー・ガスリー」は辛うじて名前はってとこだが、文章そのものはどれも楽しませてくれる。
個人的には「ブライアン・ウィルソン」「ゲッツ」「スプリングスティーン」あたりに出てくる表現に「ニヤリ」って感じかな。「マルサリス」に関する章の終盤で「ジャズ」に関して語っている文章もいい。

「あとがき」によると、今後もこんな感じの作品が出ることは期待してもいいようだ。
村上春樹の小説に対して、僕はもう以前のような親密感は抱けないと思うが、こういう風に彼の語りを聞くことができるのは、ナカナカうれしい事である。

いやぁ、それにしても「スガシカオ」をこんなに評価してるとは思わなかったなぁ。



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