2006/2/16

日本の戦争力  

著者:小川和久(聞き手 坂本衛)
出版:アスコム
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「日本の軍事費(防衛費)はアメリカに次ぐ2番手群に位置していて、既に軍事大国になっている」
という意見をよく耳にする。
まあ「予算」という数字の話だから大筋では間違いのないところなのだろうが、僕が持っている自衛隊のイメージとはどうしても一致しない。大体、現代において空母も持っていないような「軍事力」で「軍事大国」なんて言えるのか、と常々疑問に思ってきた。
本書を書店で見て購入したのは、そうした疑問への答えが載っていることを期待してであった。

期待はあっさり満たされる。
「自衛隊員の給料は世界的にトップクラスで、防衛費の40%以上は人件費。また自衛隊の「戦力」はアメリカ軍とのセットで効力を発揮する特殊なものとなっており(対潜水艦能力と防空戦闘能力が世界トップレベルで、それ以外は「幼稚園」レベル)、トータルでの軍事力としては「海外で戦う能力はなく、専守防衛以上のことは出来ない」。
かなり具体的にそのことが述べられており、納得感がある。まあ僕は兵器や軍隊のことはあんまり良くわからないから誤魔化されているのかもしれないが(笑)、実感としてはそんなトコじゃないかなぁ。
空母を持っていないには、「いない」なりの事情があるわけである。

作者(小川和久氏)については湾岸戦争辺りからテレビでよく見かけるようになり、割と発言が合理的なので、「軍事オタクにしてはマトモやなぁ」と思っていた(失礼!)。
本書についても、やや政府寄りなところは気になるが、合理的・論理的な話し振りは信頼感の持てるものとなっている。まあ「軍事」を(特に日本で)取り上げる場合、ある程度政府寄りになるのは当然のことだし、その中で提言をしていこうという姿勢は、むしろ実際的で評価できることなのかもしれない。
当然、作者は「改憲論者」なのだが、その「改憲」を主張する根拠についても、違和感なく読むことが出来た。

ちょっと「嫌だなぁ」と思ったのは、在日米軍のアメリカ戦略における重要性を説得力をもって示されてしまったこと。
要は在日米軍なくしてはアメリカの覇権はありえない、その在日米軍を支える日本の存在意義は同盟国の中でも飛びぬけている、従ってその点を日本も認識して、堂々とアメリカに対峙すべきだ、ということなんだけど、それは「湾岸戦争」でも「イラク戦争」でもあるいは継続する「テロとの戦争」においても、日本は米軍を支える機能を以って、戦争に参加していた(いる)ということを意味してるんだよネ。
作者の論が具体的かつ説得力に富むだけに、何だか考えさせられてしまった。

そういや、最近、社民党が「自衛隊は違憲である」という主張に切り替えたというニュースを見た。「遅きに失した」という感じだね。
社会党は自社連立の時点で「理念」を捨てたのだと思う。あるいは元々「理念」なんか大してなくて、そのことを正直に表明しただけかもしれないけど、その時点で存在価値を失っていたのだ。
今更それを持ち出してこられても…。

「平和主義」と言うのであれば、本書で作者が述べている「平和主義実現のための改憲」のほうがよっぽど「理想」を語っているように思える。そしてそこには具体性・実現性の裏づけが為されているだけに、「大人の主張」にもなっている。
リアリストはロマンチストに通じるっちゅうことかね(笑)。



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