2009/11/1

ソウル・コレクター  

・「ソウル・コレクター」
著者:ジェフリー・ディーヴァー 訳:池田真紀子
出版:文藝春秋

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iPhoneを使うようになり、クラウドに興味を覚え始めたタイミングでこれ・・・。
シンクロニシティ?(笑)
いや、それだけこのネタが社会的な問題をはらんでいるってことだろう。
少し前だと「夢物語」「SFチック」と思えたことが、クラウドを中心としたITネットワークの活用範囲の急速な拡大で現実味を帯びてきている。
そういうことじゃないかね。

と言う訳で、本作は「リンカーン・ライム」シリーズの最新作。
前作「ウォッチメイカー」の出来が素晴らしかっただけに、期待と不安が錯綜する感じだったが・・・
読み終えてみると、満足感と失望感が錯綜するような読後感だった(笑)。

いやまあ、ディーヴァーに関しては、水準以上の出来なのはもう当たり前だからね。
本作も読み始めるとグイグイ行っちゃうのは間違いない。
「ジェットコースター」も「どんでん返し」も相変わらず。
従って、
「面白かった!」
とは言える内容なのは当然である。

ただ読む側がツイツイ期待のレベルを上げちゃってるってのはあるわな。
特に「ウォッチメイカー」の後となると・・・。
だからどうしても本作については「幕間」的な印象が拭い切れない。
「データを駆使して網を張り巡らせる犯人像」ってのは、結構「現代的」で面白いと思うのだが、人物造形としてはもうひとつ深めて欲しかったなぁと思う。
これなんかも「ウォッチメイカー」との比較、って側面もあるんだけどね。

あとちょっと「?」と思ったのは、ライムのコンピューターに対する無知ぶり。
そもそもライムの特徴というのは、「科学技術を駆使した現場検証とそこから浮かび上がる物証をベースとした推理」にあったと思うのだが、そういうポジションの人間はコンピューター技術の発展に対してはもっと関心を持ってるべきじゃないかね?
確かに「道具」でしかないし、「データ」ってのは物証とは違うが、そのネットワーク力を活用すれば、物証の検証能力はもっと上がるだろう。
この点を看過する性格だとは思えないんだけどね、ライムは・・・。

まあでも楽しめたんだからいいかな?
「ウォッチメイカー」との第二幕を期待させる幕切れにもなってるし、ライムの過去を覗かせてもらう楽しみもあった。
大好きなアメリア・サックスも大活躍だったしな!(しかし「カマロ」は・・・)

十分に次を待望させる出来だったと言えましょう。



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