2009/5/29

いまこそ、ケインズとシュンペーターに学べ  

・いまこそ、ケインズとシュンペーターに学べ 有効需要とイノベーションの経済学」
著者:吉川洋
出版:ダイヤモンド社

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いかに自分が経済学に疎いか?
「ケインズ」も「シュンペーター」も大学のときに齧ったことがあるはずなんだけど、本書を読むまで、すっかり「ケインズ」が一世代前の経済学者だと思っていた。
実際には二人は同じ年の生まれ(正確には誕生日はシュンペーターの方が早い)。
しかも主要書の発表はシュンペーターの方が早い(「経済発展の理論」。なんとシュンペーター29歳のとき。ケインズが「一般理論」を発表したのは50代になってからである)ときてるんだから、錯誤もはなはだしい(笑)。
まあ社会的インパクトの大きさから言えば「ケインズ」の方が圧倒的で、その理論は「ニューディール」という「歴史」と結びついているから、何となく「ケインズ」の方が歴史上の人物っぽい印象があったんだろうな。
何の言い訳にもなりませんが。

「経済学」が「科学」たりえるか?
いや、「普遍性を持った理論に裏打ちされた『学問』足りえるのか?」。
ケインズの有名な言葉にこんなのがある。

<長期的にはわれわれは皆死んでしまう。>(「貨幣改革論」の一説。P.76))

長期的には理論的に裏付けられた事象もありえるかもしれないが、「長期的」であることは「現実」には役に立たない・・・ってことかな?

<嵐のときに、嵐が過ぎ去れば海は再び穏やかになるとしか言えないなら、経済学者はあまりに容易で無用だと言わなければならない。>(同上)

そう言ってるケインズ自身が「一般理論」を書いてるってのは、なかなか面白いんだけどね。
シュンペーターのケインズ批判の一つは、「ケインズの理論は、時代と地域に限られた『対処療法』であり、普遍性をもった『理論』ではない」ってトコにあるんだと思うんだけど、ケインズ自身のスタンスの中に、そういう批判を惹起する部分があったことも否めないだろう。

ただリーマンショック以降の世界同時不況の中で、「ケインズ」は大流行。
経済学としては息を止められてたようなところがあるようだけど、「政策」としては、今や「ケインズ主義」をとらない国はないとも言えるくらいだ。
「それは『政策』の話。『学問』ではない」
そういう意見はあるだろうが、それに対してはケインズ自身が、
「あまりに容易で無用」
と言い返すだろう。
少なくとも「大不況」に直面したとき、「ケインズ」がクスリとして処方されるというのは、一つの公式になってるんじゃないかね。(そのクスリが効くのかは不明だけど)

作者の主張は「ケインズとシュンペーターの統合」にある。
僕自身はそれを、
「不況期には有効需要を喚起するために公共事業等の投資は必要である。しかしながらそこから新たな『成長』に踏み出すには『イノベーション』がなければならない。従って不況期の『投資』は『イノベーション』を呼び起こすようなものであるべきだ」
と読んだんだけど、これは誤読かな(笑)。
「意味のある公共投資をしなければならない」
ここまでまとめちゃうと、すごく陳腐な主張になっちゃうなぁ。

ケインズ/シュンペーターという二大経済学者の人生・著作を時代背景も踏まえつつ追いかけながら、二人の主張が現代の持つ意味が何かを考える・・・というのが本書の構成。
個人的にはタメになる本でした。



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