2009/5/20

世界経済はこう変わる  

・「世界経済はこう変わる」
著者:神谷秀樹、小幡績
出版:光文社新書

クリックすると元のサイズで表示します

昨年、なかなか刺激的な経済新書を出版した二人(「強欲資本主義ウォール街の自爆」の神谷秀樹氏と、「すべての経済はバブルに通じる」の小幡績)が、世界経済の見通しや今後の進むべき方向性について対談した作品。
「強欲資本主義」「キャンサー・キャプタリズム」と、二人ともバブル崩壊前の欧米の金融機関に対しては痛烈な批判をしてたから、基本的な意見は一致していて、その上で「今後あるべき経済・社会の方向性」について、幅広く語っている。

この対談、いつ行われたのかなぁ。
神谷氏が帰国したのが1月下旬のようだから、2月かな?
もしこれが今行われていたら、どうだろう。
世界経済の見通しについて、二人は非常に「悲観的」に語っている。
現在、アメリカ経済については「悪化のペースが落ちている」「底は打った」みたいな見方があるし、株価の上昇を受けて「『100年に一度』といった大げさなものではない。せいぜい『10年に一度』」みたいな論も耳にする。
一方でクライスラーはチャプター11を適用、GMもその寸前。日本のGDPも12月に続いて1-3月期も二桁減と、「実体経済」の浮上には、今しばらくの時間が必要な雰囲気もある。

まあ景気ってのはまさに「気」だからね。
世界各国政府が必死でその「気」を上げようとしていて、そのことが「株価」に反映し、内需を刺激することで「実体経済」にも波及・・・そういうことはありえるのかもしれない。
それが上手くいけば、この世界同時不況も比較的短期に抜けることが出来るし、どこかでコケると、作者二人が語るような「悲観シナリオ」に突入公算が高くなる。
そういうことじゃないかね。
できれば二人の予想が外れて欲しいところですな(笑)。

まあ本書の価値は、そうした「悲観シナリオ」のほうじゃなくて、「今後のあるべき方向性」について語ったところだろう。

<求められるのは「社会環境」の整備>(P.211)

この結論には異論はない。

ただ問題はそれをどうやって政策・社会の仕組みの中に反映させていくか。
「こういう価値観が重要なんだ」
ってことは主張し続けなきゃいけないんだけど、その価値観に従って行動した人が、価値観を裏切って行動する人よりも不利をこうむるような社会だと、やはりそれは上手くいかないだろう。
「資本主義の暴走に歯止めをかける『価値観』を社会に根付かせるために、どのような戦略・戦術で臨み、実行していくべきか」
語るべきはこの点だと思う。
そういう意味では若干の不満が残るかな。
(こういうところは「原丈人」氏のほうが実務的な感じがする)

対談なんで、スラスラと読めるけど、語られてることはかなり幅広くて、深い。
そういう一冊です。



teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ