2009/4/8

グリーン革命  

・「グリーン革命 温暖化、フラット化、人口過密化する世界」<上・下>
著者:トーマス・フリードマン 訳:伏見威蕃
出版:日本経済新聞出版社
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「フラット化する世界」の著者による最新作。
オバマ政権の「グリーン戦略」の元ネタになっているとの評判もある全米ベストセラー作品である。

「フラット化する世界」もそうだったけど、述べられている観点に「斬新さ」があると言う訳ではない。
ただテーマとする事象(前作だと「グローバル化」、本作だと「クリーン・エネルギー」)について、実地取材に基づく豊富な事例を挙げつつ、全体像と大きな方向性を示してくれるという点で、非常に優れた作品だと思う。
読んでて、色んな意味で刺激を受けた感じがあるね。

本作の視点は前作のテーマの延長線上にあるといってもいい。
前作で作者は「グローバル化」の方向性を示してくれたのだが(批判的側面もキチンと指摘していたが、大筋としては肯定的だったと思う)、それが「人口増加」と重なったとき、何が課題として現れるのか。
「グローバル化」「フラット化」が進む世界においては、人口が急激に増大する発展途上国では「ミドルクラス」が急激な勢いで増え、それらの層は「アメリカナイズ」された生活を望むようになる。
そのとき世界が直面化するのが、「エネルギー危機」であり、「地球温暖化」による「気候変動」である。
本書の問題意識はここからスタートしている。

本書の前半では、これらの危機について、「エネルギー供給と需要」「石油独裁主義」「気候変動」「エネルギー貧困」「生物の多様性の喪失」という観点から論じられている。
そして後半はそこから脱出するための方法論について論じるという構成。(ここらへんが、「オバマ政権」の政策につながるわけですな)
危機感をあおる前半、厳しさを指摘しながらも希望を指し示す後半。
なかなかドラマティックな仕立てである(笑)。

作者が示す処方箋は、「いつかクリーンエネルギー技術がブレイクスルーするから、それを待とう」ってな、SFチックな話ではない。
それほど悠長に構えている時間はない、というのが作者の意見だ。
「クリーンエネルギー技術」のブレイクスルーを期待しつつも、現時点できることに今すぐ着手する。

現状のエネルギー技術を見直し、需要面での効率化を進めるとともに(ここは日本の得意芸)、エネルギー供給システムそのものを見直して効率化する方向に着手する。
政策を転換して、リーダーシップをもって、クリーンエネルギー開発・拡大への諸政策を実施する。(税制等)
クリーンエネルギーには「ビジネスチャンスがある」との視点から、新しい産業が産まれ、成長するような政策サポートを行い、民間活力を導入する 等々

確かに困難はあるが、「夢物語」ではない方向性を作者は指し示してくれる。
「こうは上手くはいかんだろうな」
とは思うよ。
旧エネルギーの既得権益者(企業だけではなく、国家もある)も、この方向性に対して口をつぐんでばかりではないだろうからね。
でも「人口増加」という現実を考えると、進むべき方向性は確かにコッチじゃないかな、っていうのが僕の感想。
「環境問題」を云々するよりも、切実なものを感じたのは確かだ。

たまにはこういう本を読んで、世界的な視野から頭を運動させておくっちゅうのは重要なことじゃないかと思います。



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