2009/3/18

疑心  

・「疑心 隠蔽捜査3」
著者:今野敏
出版:新潮社

今野敏の出世作「隠蔽捜査」シリーズの最新作。
「原理原則」「官僚の本分」を貫く「変人」警察官僚・竜崎の活躍が描かれる。

このシリーズの一つの特徴は、仕事上遭遇する「事件」と並行して、プライベート上の「危機」が発生し、その両者に翻弄されながらも、「理性」と「原理原則」を貫くことで事態を突破する竜崎の姿にある。
「息子の犯罪」「妻の入院」と続いて、3作目で竜崎が見舞われるのは、なんと「恋」(笑)。
自らが拠って立つ「理性」を翻弄する感情の揺れに戸惑いながら、米国大統領警備の方面警備部長の重職を担わされた竜崎の苦闘が本作のメインストーリーということになる。

まあ「中年男性の恋」っちゅうのは、男にとってはちょっとしたファンタジーなんだよなぁ(笑)。
お相手が「若くて有能な女性キャリア」だから尚更。
なんだか北上次郎氏がはまりそうな設定である。
もっとも「理性」の権化である竜崎が、御伽噺のような恋愛沙汰に突っ込むわけもなく、あくまで「理性」をもってその「危機」を乗り越えるところが本書の読みどころになってるんだけどね(そのきっかけが、本屋で買った禅の「公案」ってのも何とも)。
三人称ながら竜崎の心情のみを描写するスタイルなので、相手の女性の気持ちの本当のところは最後まで分からない。
この加減が本書のいいところでもあるだろう。

これで2作・3作と、所轄の所長に左遷された主人公の活躍を描いたわけだけど、さて次はどうするのかな?
「安積班」シリーズのように「サザエさん」パターンで行くのもいいと思うけど、官僚として前線に返り咲く竜崎の姿を見たいような気もする。
まあそこらへんは「職人作家・今野敏」。
どうであれ、読む者の期待を裏切るようなことはないだろう。

早くも次の作品が楽しみである。



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