2009/3/16

八重山商工野球部物語  

著者:神田憲行
出版:ヴィレッジブックス
クリックすると元のサイズで表示します

06年に春夏甲子園に出場した沖縄代表「八重山商工野球部」のノンフィクション。

初っ端、野球部員たちのダラダラ振りに驚かされ、
「これで甲子園出場できるなんて凄いなぁ」
と思ったんだが、基本的にはやっぱり「熱血路線」であった(笑)。
ま、そりゃそうか。
(それでも本土とも本島とも違う「石垣島人」ぶりには驚かされるけどね。
伊志嶺監督の度を越した「熱血ぶり」は、本土でも本島でも「特異」だと思うが)

「だらだら部員たちに、喝を入れながら引っ張る熱血監督」
というのが基本的構図なんだけど、そこには
「本土からも本島からも切り離された離島の悲しさと意地」
「貧しい中から抜け出そうとする足掻き」
「子どもたちに未来を託す親たちの想い」
等々が重なってきて、時に目頭が熱くなるようなシーンがソコココにある。
若くして死んだ息子の手紙を伊志嶺監督が再発見する下りなんか、ほんとグッときた。

そして伊志嶺監督と大嶺の物語。
これがまた読みどころ。

<松坂とは逆に、才能はあってもそれを腐らせてしまう選手なら過去にもたくさんいた。才能を得ること自体難しいことだが、それを十分に育てることも、同じくらい難しいことなのだ。そこに必要なのは、「魂」なのだった。そしてこの夏、伊志嶺は大嶺のあらゆるドアをノックして、蹴って、魂を外に引きずり出そうとした。>(P.122)

大嶺の「大物ぶり」もなかなかのモンなんだけど、その駄々っ子を引っ張り、成長させようとする監督の工夫や苦闘の裏には、この「熱血」(笑)。
でも最後はやっぱり「魂」だよな、うん。

大嶺はロッテに行ったはずだけど、さて頑張ってんのかなぁ。
本書を読むと応援せずにはいられない気分になるね。

「組織論」という点で本書を読むと、「家族的」である「八重山商工」の「強さ」は「大嶺ー金城」ら監督が幼少期から鍛え上げたメンバーの結束によるところが多であり、方法論としての何かがあるかは何ともいえない。
かつて徳島の池田高校が「池高イレブン」から「強豪池高」に変貌することで、蔦監督の方法論を証明したように、後続の世代がどのような活躍をするかを見なければ、それは証明できないことだろう(それでも蔦監督という人格が失われた池高は輝きを失ったけどね)。

ただ06年を頂点とする「八重山商工野球部」には確かに「何か」があった。
「物語」を楽しむには、それで十分ではある。



teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ