2009/3/10

子どもの最貧国・日本  

・「子どもの最貧国・日本 学力・心身・社会におよぶ諸影響」
著者:山野良一
出版:光文社新書
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「一億層中流」と言われていた日本社会で「格差」が広がっていること、それに伴い従来機能していた福祉制度(年金、生活保護、健保等々)が機能不全に陥るケースや破綻に直面するケースが生じていることと等は、徐々に認識されつつあると思う。
本書はそうした流れを「貧困に直面する子ども」という視点から論じた作品。
勝間さんあたりが興味を持ってるエリアじゃなかったっけなぁ(笑)。
別に「カツマー」じゃないんだけど、幼い子供を持つ身にとっては、こういうテーマは気になります。

本書ではまず「日本」の現状=「先進国26か国中、10番目に子どもの貧困率が高い」「先進国の中で最も『豊かな』国だが、同時に最も『貧困な』国になろうとしている」が、各種の統計から炙り出される。
ここら辺は、やはり衝撃的。
その上で、
「子どもが経済的貧困状況に置かれた場合(特に乳幼児期)、身体的、知的、情緒的ハンディを負う可能性が高まる」
「貧困の解消のためには、家族の所得を増やすことが最も効果がある」
「子どもの貧困は、『各種の社会補償費用の増大』による社会損失、『子どもの才能を生かせない』ことによる社会的損失のほか、『世代を超えて連鎖すること』による貧困の固定化による社会不安までも生じ、結果として大きな社会的損失を抱えることになる」
といった論点が論じられている。

「貧困」が子どもにもたらす影響については、「人的資本」や「家庭文化」の問題と密接に関与して論議されることが多いが(要は「親が問題」「家庭が問題」ってヤツですな)、その重要性は勿論ではあるが、ポイントとなるのはやはり「所得」である(家庭の経済状態を上げることが解決につながる公算が高い)というのが本書の基本スタンスかな。
従って「政策」「施策」としては「生活保護の活用・拡大」「最低賃金の引き上げ」等の所得再配分政策が重要との主張であり、そのことは「新自由主義」における「上げ潮」路線に対する批判にもつながっている。

「程度」は勿論あるけど(そのことは作者自身も認識している)、現状分析に基づく方向性としては正しいんじゃないかな。
「少子高齢化」ということを考えても、(数少ない「人的資本」の活用という点で)傾聴に値する考えだろう。

ただまあ、「こういう問題提起がされる」ってことは「現状は問題解決の方向にない」ってことなんだよなぁ。
となると、なかなか我が子たちが迎える社会っていうのは厳しいものがあるのかもしれない。

「頑張れ、カツマー」
ってことでしょうか?(笑)



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