2009/3/12

俺は、中小企業のおやじ  

著者:鈴木修
出版:日本経済新聞出版社
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「スズキ」の会長兼社長が語る「スズキと自分の歴史」「スズキの戦略」「経営哲学」等をまとめた作品。
「連結売上高3兆円企業」のトップが「中小企業のおやじ」を自認されちゃたまんないと思うんだけど、本人もそのことはキチンと認識しつつ、ちゃんと説明している。
「売上高といっても取扱高に過ぎない」「現在では業界でシェアがNO.1か、すなわちプライスリーダーかどうかが肝心」等々の主張には説得力がある。(まあ「自分の娘婿に跡を継がせる」ってあたりが「中小企業」っぽくあるけど(結局その方は早世されている))
「やんちゃなオッチャン」て感じなんだけど、「筋が通っている」だけじゃなくて、「チャンと理論・数字の裏づけがある」ってところが素晴らしい。
こういう本って、何となく「功成り遂げた人の自慢話・説教話」になりがちだと思うけど(笑)、「いまが最大の危機」と認識して、現役としてその危機に立ち向かおうとしている姿勢には感心させられる。

作者の基本的スタンスは「徹底した現場主義」だと思う。
そのことは婿養子ながら現場で苦労してきた作者の経験から出ている。

<よく言うのですが、まさに「ツキと、出会いと、運」です。「先見の明があった」などとは口が裂けても言いません。私に言わせればどんな先見の明も、すべて後講釈といいますか、後付けにすぎません。試行錯誤があるだけです。>(P.247>

こうした発言には徹底した「現実主義者」の側面も窺うことができる。
「それだけじゃないだろう」
ってとこもあるんだけど、そう言い聞かせて自戒するところが尊敬に値するところとも言える。
(巻末に「発言集」みたいなものがまとめられてるんだけど、これだけでも一読の価値アリ)

・・・でも、自分の頭に戴くにはナカナカ面倒な御仁かもなぁ(笑)。

2009/3/10

子どもの最貧国・日本  

・「子どもの最貧国・日本 学力・心身・社会におよぶ諸影響」
著者:山野良一
出版:光文社新書
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「一億層中流」と言われていた日本社会で「格差」が広がっていること、それに伴い従来機能していた福祉制度(年金、生活保護、健保等々)が機能不全に陥るケースや破綻に直面するケースが生じていることと等は、徐々に認識されつつあると思う。
本書はそうした流れを「貧困に直面する子ども」という視点から論じた作品。
勝間さんあたりが興味を持ってるエリアじゃなかったっけなぁ(笑)。
別に「カツマー」じゃないんだけど、幼い子供を持つ身にとっては、こういうテーマは気になります。

本書ではまず「日本」の現状=「先進国26か国中、10番目に子どもの貧困率が高い」「先進国の中で最も『豊かな』国だが、同時に最も『貧困な』国になろうとしている」が、各種の統計から炙り出される。
ここら辺は、やはり衝撃的。
その上で、
「子どもが経済的貧困状況に置かれた場合(特に乳幼児期)、身体的、知的、情緒的ハンディを負う可能性が高まる」
「貧困の解消のためには、家族の所得を増やすことが最も効果がある」
「子どもの貧困は、『各種の社会補償費用の増大』による社会損失、『子どもの才能を生かせない』ことによる社会的損失のほか、『世代を超えて連鎖すること』による貧困の固定化による社会不安までも生じ、結果として大きな社会的損失を抱えることになる」
といった論点が論じられている。

「貧困」が子どもにもたらす影響については、「人的資本」や「家庭文化」の問題と密接に関与して論議されることが多いが(要は「親が問題」「家庭が問題」ってヤツですな)、その重要性は勿論ではあるが、ポイントとなるのはやはり「所得」である(家庭の経済状態を上げることが解決につながる公算が高い)というのが本書の基本スタンスかな。
従って「政策」「施策」としては「生活保護の活用・拡大」「最低賃金の引き上げ」等の所得再配分政策が重要との主張であり、そのことは「新自由主義」における「上げ潮」路線に対する批判にもつながっている。

「程度」は勿論あるけど(そのことは作者自身も認識している)、現状分析に基づく方向性としては正しいんじゃないかな。
「少子高齢化」ということを考えても、(数少ない「人的資本」の活用という点で)傾聴に値する考えだろう。

ただまあ、「こういう問題提起がされる」ってことは「現状は問題解決の方向にない」ってことなんだよなぁ。
となると、なかなか我が子たちが迎える社会っていうのは厳しいものがあるのかもしれない。

「頑張れ、カツマー」
ってことでしょうか?(笑)

2009/3/9

利休にたずねよ  

著者:山本兼一
出版:PHP研究所
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今期直木賞受賞作。
もう一つの受賞作「悼む人」が題材的に「意欲作」だったのに比べて、本作は「利休」を取り上げる歴史小説で、題材としてはオーソドックス。
ただ作品としては、「利休の切腹」から、利休が自らの茶道に「秘密」を抱えるに至る若き日の「事件」までを、それぞれが「短編」のような二十数編のエピソードを、時間を遡って配置するスタイルで描いてて、手法としてはナカナカ意欲的な作品といえるんじゃないかな。
読む前は
「なぜ利休が秀吉から死を賜ったか」
について物語る作品かと思ってたんだけど、そこら辺は深く詮索せず、利休の「茶道」の中にある艶っぽさ・生命力の源に何があるのかをテーマとしている。
それを過去の事件を契機とするものとして、利休の端倪すべき美に対する執着・鑑識眼を示すエピソードを辿りながら探る形式となっているわけだ。

凄く面白かったし、「茶道」の持つ「力」というものを再認識させてくれるのも興味深いんだけど、
「さてこの手法が上手くはまってるか?」
と言われると、ちょっと「?」かもしれない。
結局のところ行き着くところは「女」「恋」なんだけど(笑)、それがこういうスタイルの仕掛けに組み込まれるために、ちょっと「軽く」見えちゃう感じがするんだよなぁ。
むしろ時系列で並べていくことで、「利休」の中で「女」がどのような意味合いを深めて行ったか、そのなかで美への執着がどのように絡んでいったのか、そういう描き方をしたほうが作品としての「深み」は感じられたんじゃないかと。
その女性がどれほど稀有な存在であったとしても、それを孤高の美学にまで高めていったのは、やはり利休自身なんだろうからね。
書き込まれたエピソードの完成度が高いだけに、ちょっと惜しい感じがする。

もっともそういう普通の構成だと「直木賞」をとれたかどうかはワカンナイか(笑)。

2009/3/8

馴染みの店が  雑感

毎週日曜日の朝、パンを買いに行っていた西荻のパン屋「ベーグル」が3月一杯で閉店する。
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「世界同時不況の影響がこんなところまで」
・・・って訳じゃなくて、新しい事業(「カフェ」なそうな)を立ち上げるために、発展的解消をするとか。
ま、個人経営のお店だからねぇ。

お世話になってきたお店の人が、新しい「夢」に向かって大一歩を踏み出す。
そのことは、素直に一緒に喜ぶとして、
さて、来月から日曜の朝のパンをどうするかね?

「ホームベーカリー」でも買っちゃおうかナァ・・・。

2009/3/7

ヤバい社会学  

・「ヤバい社会学 一日だけのギャング・リーダー」
著者:スティール・ヴェンカテッシュ 訳:望月衛
出版:東洋経済新報社
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スティーブン・レヴィットの「ヤバい経済学」は、
「一見不合理に見える行動(主にはアンダーグラウンド的なもの)が、実は視点を変えてみると合理的である」
という点を、興味を引く題材をネタにして、面白く読ませてくれるナカナカの快作であった。
その中でもストリート・ギャングについて取り上げた章は、「社会の敵」であるはずのギャングが実際にはコミュニティの安定に寄与している(別に「善意」な訳じゃなく、「商売のため」ではあるのだが)という意外性と、その調査のためにギャングに数年にわたって密着し、行動をともにしたという調査者の驚くべき行動で、「読み物」としても面白かった。

で、本作はその「調査者」自身が記した作品。
作者自身はちゃんと学者になっているようだが、本書自体は「学術書」やそれに類した「エッセイ」めいたものじゃなくて、当時のことを振り返った「回顧録」といった内容になっている。

<「いっぺん読み始めたら、ぜったい途中でやめられないよ。」>(スティーブン・レヴィットの推薦の言葉)

確かに、論理の意外性で読ませてくれた「ヤバい経済学」以上に、本書ではエピソードの意外性・生々しさ・衝撃度が格段にアップしており、ノンフィクション作品として非常に面白いものになっている。
そういう意味ではヒットした「ヤバい経済学」にあやかった題名は、狙いは分かるものの、案外読者の間口を狭めてしまっているかもしれないナ。(まあ映画化権が売れてるらしいから、映画にでもなったら間口は広がるかもね)

本書で作者はストリート・ギャングや、貧困層のリーダーたちと親しくなり、彼らなりが持つ「論理」を語ってくれる。
その語り口は「ゴッドファーザー」みたいにドラマチックでもロマンチックでもなく、新聞の社説のように「正義」を振りかざした「非難調」でもなければ、「盗人にも一部の理」的な弁護調でもない。
作者自身は個々の局面において判断に迷い、時に失敗しながら、「グレイ」な彼らの行動と、彼らが築き上げた「コミュニティ」とそれを支える論理を淡々と描いていく。
その果てに辿り着く、「コミュニティ」の崩壊は、一種の哀調を帯びたものになっている。
決して彼らの存在そのものが是認されるわけではないんだけどね。

本書は、「貧困層のレポート」とも、「福祉政策の裏側の告発」とも、「ギャングの実態の解説」とも読めるし、単なる面白い「ノンフィクション作品」とも読むことが出来る。
そのいずれもの側面を持っていることが本書の特徴なんだろう。
作者は(協力してくれたギャングの幹部)「JT」の「伝記」を書くという約束を果たせなかったことを気に病んでいるようだが、本書には十分にそれに匹敵する(あるいは凌駕する)価値があるんじゃないかね。
読む者は「JT」という少年を生き生きと感じ取ることが出来る。
それは何よりも彼にとっての勲章だろう。

・・・とは言え、日本がこんな社会になったら困るなぁとは思うけどね(笑)。

2009/3/6

面倒くさがりやのあなたがうまくいく55の法則  

著者:本田直之
出版:大和書房
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レバレッジ・シリーズの著者の最新作。
自身を「『究極』の面倒くさがりや」と称する作者が、
<「面倒くさいから、面倒が起こらないように工夫る」>(P.157)
ことによって、生産性を上げる手法を紹介している。

まあどうかなぁ。
「法則」として挙げられているものについては、「やってること」「やってないこと」「どうかなぁってこと」それぞれあるけど、基本的には「確かにね」ってことが多い。(「今更言われなくても」って気分もあるが)
「GTD」みたいに体系的なものではないので、取り入れたいものを取り入れてやればいいと思うし、やってみれば効果はあるんじゃないかなとは思う。

個人的には作者が最初にあげる「面倒くさがりや」に関する分類が面白かった。

<ひと口に「面倒くさがりや」といっても、大きく2つのタイプに分けられます。
ひとつは堕落型の面倒くさがりや。面倒から逃げ回ったり、面倒を避けたりすることで、借金のように雪だるま式に面倒を増やしていくパターンです。(中略)
そしてもうひとつは先行型・変革型の面倒くさがりやです。
(中略)
まず、先行型・変革型の面倒くさがりやは、できるだけ早い段階で「面倒くさいこと」への対処をとります。この時点ではまだ問題も小さく、前向きな気持ちで対処することが可能です。
しかし時間が経てば経つほど「面倒くさいこと」は大きくなっていきます。堕落型の面倒くさがりやは、早い段階での対処を怠っていたため、結局とてつもなく大きな「面倒くさいこと」に直面せざるをえません。>(P.2〜3)

全くその通り!(笑)
「面倒くさいからこそ、早めにやる」
一見逆説的なように思えるけど、これはもう「仰るとおり」だと思うよ。

「分かっているけど、それができないくらい『面倒くさがりや』なんだよぉ」
って意見も分からなくはないけどね(僕自身、そういうトコあるし。笑)。
まあでもそれは「面倒くさがりや」というよりは、
「刹那主義者(今だけを考える)」
「ギャンブラー(時間が経てば面倒が消えるほうに賭ける)」
なんだよな。
それよりは「面倒くさがりや」のほうがズッと生産的。
そういう話(・・・かな?)。


2009/3/5

魔王  

著者:伊坂幸太郎
出版:講談社文庫
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<この物語には、ファシズムや憲法、国民投票などが出てきますが、それらはテーマではなく、そういったことに関する特定のメッセージも含んでいません。(・・・中略・・・)
今までに影響を受けてきた小説や音楽には、たいがい、社会や政治の事柄がよく含まれていて、そこから滲んでくる不穏さや、切迫感や青臭さがとても好きだったので、だから、自分の書くものにもそういう部分を含ませたくなってしまうのかもしれません。>(文庫あとがきP.357)

この「あとがき」を読んで、何となく高橋和己の「邪宗門」を思い出した。
バリバリの純文学で、思想的なアーダコーダもあって、それでいて興奮するほどドラマチック。
でも本作に比べると、あっちのほうがズッとドラマチックで盛り上がるんだけどね(笑)。

本作については、伊坂作品らしい「エンターテインメントとしての面白さ」があるのは勿論なんだけど、加えて「社会の中に見える漠然とした『方向性』に対する感覚」というのが(作者自身のコメントにも関わらず)「読みどころ」になっているというのは衆目の一致するところだろう。
作品が書かれたのは郵政選挙の直前のようだが、その段階で「国家主義」的風潮を感じ取るというのは、やはり「鋭敏」と言える。
「テロリズムの罠」で佐藤優氏が「ファシズム」への警鐘を鳴らしているように、世界同時不況によって、世界情勢は「国家主義」への傾斜を垣間見せつつあるが、そういう意味では「予見的」という評価を与えることもできるかもしれない。

まあでも「エンターテインメント」だからね。
そういう観点からは、「内省的」で「行動」という面でのドラマチックさに欠ける展開や、曖昧な部分が多くて、今ひとつカタルシスにつながらない辺り、
「どうかねぇ」
という感じもする。(「犬養には悪意はあるのか」「魔王って何?」「結局、主人公は何をしようとしてるの?」「このあとはどうなるの?」等々)
いや、「こういう物語なんだ」と割り切るほうがいいのかな。
面白かったことは確かだしね。

本書の世界の50年後を描いた続編「モダンタイムズ」という作品が既に発表されている。
いくつかの疑問は、あるいはその中で答えがもたらされているのかもしれない。
・・・う〜ん、読んでみるべきかなぁ。

2009/3/4

こりゃ、意外な展開  

「小沢民主党党首、公設秘書逮捕」

今朝の小沢党首の会見速報を読んだけど、それなりに筋は通ってるって感じかな。
ただ「筋が通ってる」ということと「納得できる」というのは別だからねぇ。
「うまいこと誤魔化してたんとちゃうかぁ?」
って疑念は拭い去れないところでしょう。

検察には小沢さんだけで手を止めないようにしてもらわんといかんね。
そうじゃないと「国策捜査」と言われても仕方なくなっちゃう。(「野党第一党党首に国策捜査」なんていったら、どっかの途上国みたいな話だよ)

これで選挙は早まるかな?

2009/3/4

積雪?  雑感

とは行かなかった。
ま、積もったら積もったで面倒なんだけどね(笑)。
ちょっと残念な気分。

2009/3/2

ストレスフリーの整理術  

・「はじめてのGTD ストレスフリーの整理術」
著者:デビッド・アレン 監訳:田口元
出版:二見書房
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「仕事と人生〜」で「仕事」に関する哲学的考察を読んだ後に、思いっ切り「仕事スキル本」(笑)。
まあ「どっちも必要」ということで。

本書は「GTD(Getting Things Done)」と名づけられた仕事術を紹介した本なんだけど、これはかなり面白い。
最近色々出ている「HACKS」本の「オオモト」になるような本なんじゃないかな。
細かいスキルはそれらのHACK本で補強するとして、基本的な考え方やスキームは本書で紹介されている手法を取り入れれば、かなりのものが出来るんじゃないかと思う。
まあ僕も長いことサラリーマンやってるから、パーツ、パーツでは取り入れている手法が大半なんだけど、トータルでのシステムとして、ここまで体系的に考えて実行してはいなかった。
逆に言うと、自分がやっている色々な管理術の体系化を読みながらやってたような気分もある。

「GTD」の基本は以下のように整理できる。

<・頭の中の「気になること」を”すべて”頭の外に追い出そう。
 頭の中で覚えておけることには限界がある。「あ、あれを忘れていた!」というストレスから開放されるにはすべてを頭の外で管理する必要がある。

・それらすべての「気になること」につて、求めるべき結果と次にとるべき行動を決めよう。
 このふたつの質問に答えることによってのみ、「気になること」が初めて気にならなくなる。そうするとすっきりとした頭で作業ができるようになる。

・そうしてきめた、とるべき行動を信頼できるシステムで管理し、定期的に見直そう。
気になることのすべては常に更新し、「最新の状態」を保つことが重要だ。そうしないとほかにやるべきことがあったのではないかと不安になり、集中することができなくなる。>(P.4)

換言すると「仕事の見える化」ってとこ?
それを非常に体系的かつ具体的に実行できるスキームを教えてくれるのが本書だ。

「体系的」なんで、実効を求めるなら、このまんまやるべきなんだろうな。
ただまあ、今までのアレコレもあるし、取り組む時間の問題もあれば、取り入れるために詰めるべきこともあれやこれや・・・って言い訳?(笑)
ま、取り敢えずやれそうなことを取り入れてみて、効果のほどを検証してから次の段階を考えてみますワ。
・・・なんで「備忘録ファイル」と「行動のリマインダー」のあたりをちょっと取り入れようかと。
さて身につくかな?



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