2009/2/28

地道な努力っちゅうものをどう考えるか(笑)  映画

ラーメン屋の息子のデブのパンダが「カンフー・マスター(龍の戦士)」に選ばれ、修行の末、「悟り」も得て、見事「龍の戦士」となって強敵を倒す

・・・というパターン通りのお話。
非常に楽しく観れるし、アニメーションのレベルも凄く高い・・・んだけど、ちょっとお手軽すぎねぇ?
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 カンフー・パンダ

自分たちを差し置いて「龍の戦士」に選ばれたパンダに反発を覚える兄弟子たちと、アッサリ和解したり(楽しげにラーメンをご一緒する)、パンダの実力に懐疑的な師匠が、簡単に意見を変えたり・・・
何より、凄い短期間でカンフーをマスターし、「悟り」まで開いちゃうってぇのは・・・。

まあ「それを言っちゃあオシマイ」ってことかもしれんけどね。
何か「子供の教育にはならん」って感じだ。

ま、何もかもが教条主義的である必要は全くないんだけどさ(笑)。

2009/2/27

仕事と幸福、そして、人生について  

著者:ジョシュア・ハルバースタム 訳:桜田直美
出版:ディスカバー・トゥエンティワン
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ビジネス書出版の分野で急成長中のディスカバーが、2003年に出版した本(「人は仕事を通じて幸福になる」)を復刊させたもの。
帯に伊藤忠の丹羽会長の推薦の言葉を頂戴したりして、なかなかの商売上手ぶり(笑)。
まあでも確かに「イイ本」ではある。
ディスカバーに勢いがある今、
「埋もれさせるのは惜しい」
という動きにつながったのも分からなくはないね。

作者は「コロンビア大学哲学部教授にして経営コンサルタント&経営者」という異色の経歴の持ち主。
従って本書の特色も、「如何に仕事に取り組むべきか?」という自己啓発書的な側面を持ちながらも、根本には「仕事とは何か?」という哲学的な思索が展開されている点にある。

<よき人生は、よき仕事をやり遂げた充足感抜きには語れない。「仕事とは最も大切にしている自分の価値そのものである」との本書の主張に、わたしは強い共感と感動を覚える。>(丹羽会長の推薦の言葉)

まあ端的に言えばそういうことなんだけど、本書の面白さはその主張もさることながら、「仕事」ということを巡って、色々な具体例なども挙げつつ、思索を繰り広げていくところにあるんじゃないかと思う。
ビジネス書や自己啓発本が、「ロジカル」に論理を展開して結論を導き出すのに比べ、本書は、作者の思索の広がり(時にそれは「足踏み」のように思えるときすらある)に沿いながら自分自身の「仕事」や「人生」に対する考え方を深めていけるところにあるんじゃないかね。
現代は、「<仕事を「もつ」>ことから<仕事を「する」>に変わりつつある」「重要なのは『プロセス』」等との主張の向こうには、「仕事」と「人生」が重なるビジョンがある。
「仕事」について考えながら、「人生」について思索を深めていく。
そういう作品ですな。

手っ取り早く「スキル」を手に入れる。
「生産性」なんかを考えると、そういう本もいいんだけど、時に立ち止まって、「仕事」のことや「自分」「家族」のこと、そして「人生」について想いを馳せてみる。
こういう時間を持つことも、重要なんじゃないでしょうか。

ま、「哲学書」にしちゃあ、読みやすいしね(笑)。

2009/2/25

断る力、あたらしい自分を生きるために  

・「断る力」
著者:勝間和代
出版:文春新書
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・「あたらしい自分を生きるために アサーティブなコミュニケーションがあなたを変える」
著者:森田汐生
出版:童話館出版
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たまたま「アサーティブネス」に関する本を並行して読む機会に恵まれてしまった。
かたや絶好調、ビジネス書のベストセラー作家「勝間和代」氏の新作、かたや「特定非営利法人アサーティブジャパン」の代表理事の方の作品。
勝間氏が取り上げるだけに「アサーティブネス」自体は注目されてる概念なんだろうけど、それでもこういうのはナカナカ面白い。
これぞシンクロニシティなのかしらん(笑)。

「断る力」は、アサーティブな態度について、ビジネスシーン&自己啓発の観点に焦点を当てて論じた作品って感じかな。
プライベートの場でも活用できることはコメントされているんだけど、「主戦場はビジネスシーン」って印象だ。

<私がこの本でずっと説明してきた「断る力」というのは、自分の軸を定め、自分の人生を生き抜くために、気持ちよく自己主張をしながら、相手の能力をより引き出し、長期的ないい関係性を築くための力です。>(P.271)

こういうスタンスは、広く人間関係に適用できるのは当然なんだけど、「自分の軸」とか「相手の能力」なんて考え方は、やっぱりビジネスっぽい雰囲気があるんだよね。
「どうしてもあわない相手とは諦める」「みんなに好かれる必要はない」
ってスタンス、離婚経験がある勝間氏の主張だけに重みはあるんだけど、一般的にはプライベートの場(特に家族関係)では、ここまで「割り切る力」は発揮しづらいんじゃないか、と。(もちろん、DVなんかを考えると、必要なケースはある)
「そうありたい」と思う気持ちはあるんだけどさ。

「ビジネス」という視点からは「自分の軸を作る」っていうのは重要な観点。
これもないままに断ってばかりいると、「我が儘」、好意的に見ても「視野が狭くて自分の成長の機会を逃している」という可能性も少なくないだろう。
この「自分の軸を作る」過程での悪戦苦闘っていうのは、ビジネスマンとしては重要な経験なんじゃないかと思う。(読んでないんだけど)「ワークライフ・アン・バランス」なんて考え方も、そういうことを言ってるんじゃないだろうか?

<30代や40代にもなって、自分評価や「自分探し」をするのは正直、結構きついものがあります。>(P.212)

あ、痛たた・・・。

<「自己啓発本を読むだけのマニア」にはならない>(P.255)

これも肝に銘じておかんと(笑)。



「あたらしい自分を生きるために」は、アサーティブネスに関して一般的に論じた作品。(「断る力」にもアサーティブジャパンは紹介されてる)
具体的なシチュエーションや、そこでの応対例なんかも豊富に交えていて、なかなか面白く読める。
「権利」を明示しつつも、キチンと「責任」が生じることにも言及されており、バランスのとれた考え方だと思う。(身近なところから、社会変革の可能性にまで言及していて、スパンも思ってた以上に広くて興味深い)
ビジネスシーンと違って、「関係性」が密で、時に「密室性」さえ帯びるケースのあるプライベートの場においては、「関係性」を保ちつつも、アサーティブに振舞えるようなスキルを身に着けることが不可欠で、
「言ってることは分かるんだけど、なかなか実行するのは」
という気分もあるが、具体例がその可能性を垣間見せてくれているというのはあるだろう。
「なかなか難しい」
でも一歩を踏み出すのは、やっぱり重要なんだよね。
「試行錯誤が許される人間関係」
家族関係などのプライベートにはそういう側面もあるだろう。(勝間氏が、レッスンをする場として、「身近な友人・家族」を挙げているのはそういう意味だ)

アサーティブネスを支える4つの柱「誠実」「率直」「対等」「自己責任」
考えてみれば、これは「人間関係の基本」でもある。
そのことはビジネスの場でも、プライベートの場でも変わりのないことだ。

人間関係やコミュニケーションについて考える上において、非常に参考になる作品だと思います。(人によっては、読むと、結構気が軽くなるかも)

多分、「断る力」は売れるしね(笑)。

2009/2/24

HEALTH HACKS!  

・「HEALTH HACKS! ビジネスマンのためのサバイバル健康投資術」
著者:川口浩志
出版:ディスカヴァー・トゥエンティワン
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一昨年・昨年とダイエットに邁進して、ソコソコの成果を得たものの、異動してからちょいとリバウンド気味の日々(笑)。
久しぶりに痛風の発作に見舞われたこともあり、「ここいらで、もういっちょ体調管理の見直しを」って気分でチョイスしたのがこの作品。
ビジネス書の分野で「向かうところ敵なし」のディスカヴァー社から出版された健康関連図書で、「ビジネス書」スタイルで論じられているのがなかなか面白い。

<目次>
第1章 健康の経済学:健康で「年収アップ」を実現しよう!
道は開ける/あなたの「生き方」は?/「金持ち父さん、貧乏父さん」の分かれ道
急にやせ始めるにはワケがある/健康で人を動かす/体はジムに預けるな/健康本はムチャを言う
第2章 7つの健康習慣:健康になるには原則があった!
第3章 はじめての課長の健康教科書 :「目からウロコ」の健康学
第4章 「仕組み」健康術:結局「仕組み」を作った人が続いている
第5章 「脳を活かす」健康法/頭がよくなる健康法
第6章 「モテる」健康法:「婚活」時代のブルーオーシャン戦略

「パロディかいな?」
と思わせる目次だけど、中身は至って真面目。
まあ「健康」「ダイエット」に「近道なし」だからね。
内容に突飛なものがあるわけじゃない。(「コーヒーの効用」はちょっと知らないこともあったけど)
でもこうやって楽しく読ませてくれるのはいいんじゃないかな。
(とは言え、元ネタになるビジネス書のほとんど読んでる自分には、我ながら呆れたけど(苦笑))。

ちょっと違和感を感じたのは「サプリメント」に対する考え方。
作者自身が「趣味のようなもの」と自認してるくらいだから、「サプリメント」の利用には肯定的なんだけど(勿論、色々留意はされてるけどね)、僕自身は「あんまり」なんだよなぁ。
何となく気持ち悪いような気がして・・・(笑)。

まあでも作者自身、「若返り」に成功してるようだし(笑)、基本的には「王道」なんで、「面白がって、やれるものはやる」って感じならいいんじゃないでしょうか。

とりあえず僕はコーヒーを飲みますワ(笑)。

2009/2/23

逝きし世の面影  

著者:渡辺京二
出版:平凡社ライブラリー
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本書の評判は以前から知ってたんだけど、何となく今まで敬遠してきた。
まあ「分厚い」(600ページ弱!)ってのが一番なんだけど(笑)、内容的に「懐古趣味」、そこから「保守回帰」「保守反動」につながるような気がして、「心情サヨク」の私としては(笑)気が進まなかったというのも一因ではある。
(なんとなく題名も浪漫チックだし)
今回、「特に何」というキッカケもないんだけど、ようやく読んでみて、
「早く読むべきだったな」
と軽く後悔をしたくらい、感銘を受けた。
いや、なかなかの作品であるし、ページ数を感じさせない面白さもある。
一読の価値は十分ある作品だと思う。

作者のスタンスは「保守反動」とは遠いところにある。

<私の意図するのは古きよき日本の愛惜でもなければ、それへの追慕でもない。私の意図はただ、ひとつの滅んだ文明の様相を追体験することにある。外国人のあるいは感激や錯覚で歪んでいるかもしれぬ記録を通じてこそ、古い日本の文明の奇妙な特性がいきいきと浮かんで来るのだと私はいいたい。そしてさらに、われわれの近代の意味は、そのような文明の実態とその解体の実相をつかむことなしには、けっして解き明かせないだろうといいたい。>(P.65)

<だが私は、幕末、日本の地に存在した文明が、たとえその一側面にすぎぬとしても、このような幸福と安息の相貌を示すものであったことを忘れたくない。なぜなら、それはもはや滅び去った文明なのだから。>(P.562)

「滅び去った文明」と位置づける作者の視線は、「戦前の日本は良かったんだ!」というスタンスとは重ならないだろう。
かつて我々の土地にあった、愛すべき文明。
しかしそれは既に滅んでしまい、今を生きる我々の視線はむしろ当時の異邦人に近いものがある。
その視線を通すことによって、初めて我々は「滅び去った文明」を確認することが出来る。
本書の哀しさはそこにある。

<幕末に異邦人たちが目撃した徳川後期文明は、ひとつの完成の域に達した文明だった。それはその成員の親和と幸福感、あたえられた生を無欲に楽しむ気楽さと諦観、自然環境と日月の運行を年中行事として生活化する仕組みにおいて、異邦人を讃嘆へと誘わずにはいない文明であった。しかしそれは滅びなければならぬ文明であった。>(P.568)

実際、異邦人たちの目を通して知らされる「徳川後期文明」の有様は、我々の眼にも驚きの連続であり、羨望を覚えざるを得ない。
「かつてこの土地にそんな文明があったのだ」
そのことは悔恨の念さえ呼び起こさせる。
それほど、ここに描かれた「文明」の姿は素晴らしい。

我々は過去に戻ることは出来ない。
かつての「文明」の末裔として、その「過去」を誇ることは出来るかもしれないが、かといってそれを再び甦らせることは、もはや叶わぬことであろう。
しかし「資本主義社会」が一つの曲がり角にいたり、新たな「社会」の姿が模索される中、こうした「過去の文明」が何らかの示唆を与えてくれるということはありえるのではないかとも思う。
「テロリズムの罠」で佐藤優氏は「国家主義とファシズムの親和性」に警鐘を鳴らし、「社会」の活性化の必要性を指摘しているが、その「社会」のひとつの参考として、本書に描かれた社会を覗き見ることは可能なのではないだろうか。
特に戦後右翼が「弱者」への共感を失っているように見える中、「徳川後期社会」のあり方は一つの示唆として十分な意味を持つと思える。(「保守回帰」するんなら、ココラ辺まで視野に入れて欲しいヨ)

勿論、「徳川時代が今より良かった」なんてことは全く思わない。
別に「人類の進歩」を信じるわけじゃないが、やっぱり今のほうがあの時代よりはいいだろう。
従って、「あの頃に帰ろう」なんて主張には意味はないし、実現性もない。
ただココから先に行く上において、何らかの示唆をそこから得ることができるのではないか。
本書の意義はそこにあると思う。



2009/2/22

あれから1年・・・  雑感

昨日は、昨年死んだ会社の友人の一周忌だった。
去年の葬儀と同じように青い空だった。

2009/2/20

あれや、これや・・・  雑感

なんか、政治も経済も、目まぐるしく動いとりますなぁ。
「何かコメントを」
と思ってる端から事態が流動してて、タイミングを失するばかり。
いやはや。

だからキチンとした考察はやめときます(笑)。
以下、メモ程度にて。

1.かんぽの宿
「サンクスコスト」を考えると、入札金額が低すぎるとは言えないかも。
「雇用確保」
って、すごいコストだからね。
まあ入札過程に不明瞭なところは出てくるかもしれないけど、それは別の観点から断罪すべき話。
これで郵政事業の赤字額が拡大したらどうするのかね。
あと「西川いじめ」をしてるけど、こんなことしてたら民間からの登用何かできなくなる。(社保庁の前例もあるし)
とすると、喜ぶのは官僚ばかり。
つまり鳩山さんのバックは・・・?

2.中川財務相辞任
辞任は当然。
この話はこれくらいでいいんじゃないかな。
なんか本人のバッシングになりつつあるけど、あんまり追い詰めるのは、ちょっと危険な気もする。
それより問題はマスコミのほうだろ。
「同行記者団」は何してたんだよ?

3.GDP二桁マイナス
「厳しい」とは思ってたけど、やはり。
先進国の中でも突出してるのは、外需頼みの国だから当然。
それ故、日本としては米国・中国の景気上向きに協力していく必要がある。
内需拡大?
そんなに簡単にはいかないよ。
80年代の「前川レポート」に書かれてたことが未だなんだからね。

4.麻生首相
ちょっと疲れてない?
早く辞めた方がいいのになぁ。

2009/2/19

半夏生  

・「半夏生 東京湾臨海署安積班」
著者:今野敏
出版:ハルキ文庫

安積警部補シリーズの最新文庫化作品。
お台場で発生したアラブ系男性の死亡事件が、バイオ・テロの疑いを持たれ、非常事態態勢が敷かれる中での安積警部補と彼の部下たちの活躍が描かれた長編だ。
ここ数作、このシリーズは「人称」での試行をしていた傾向があったが、本作は従来どおり、三人称ではあるが、基本的視点は安積警部補に沿ったスタイルを取っている。
「やっぱりこのシリーズは、このスタイルがいいな」
と再認識させられた。

シリーズも大分続いている(20年位かな?)ので、登場人物たちのキャラクターも固まっており、練達の作者の筆にかかれば、物語も水準以上になるのは当然だろう。
全く不安を感じずに、楽しむことができた。
(まあ20年も経ってるのに、相変わらず「部下からどう見られるか」にヤキモキする主人公の姿はどうかとも思うが、本シリーズは「サザエさん」スタイルだからね。これは「お約束」ということで)

本書で面白いのは、安積と対峙する「岸辺」という公安キャリアだろう。
このシリーズの場合、キャリアや本庁の刑事たちは、「現場を知らない愚か者」という役回りが多いのだが、この「岸辺」は違う。
「国家主義の立場からではあるが、『日本』のことを考え、行動するキャリア」
として、決して賛美はされないが、否認もされないポジションを与えられている。
本作の発表が04年。
警察キャリア「竜崎」を描いて評判となった「隠蔽捜査」の発表が05年だから、あるいはこの「岸辺」というキャラクターは、その先駆けと位置づけることができるのかもしれない。
少なくともこれまでに登場してきた「敵役」としての本庁キャリアたちとは異なった印象を与えてくれることは確かである。

あらたにシリーズメンバーに加えても面白いと思うんだけど、「サザエさん」スタイルだから、それはないかな?(笑)。




2009/2/18

テロリズムの罠<左巻・右巻>  

・「テロリズムの罠 左巻 ―新自由主義社会の行方」
・「テロリズムの罠 右巻 ―忍び寄るファシズムの魅力」
著者:佐藤優
出版:角川ONEテーマ21
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なんだか、ここのところ次々新作が出版されてますな、佐藤優。
休職になってから作家活動を一気に始めたから、連載作品が本にまとまるのも同じタイミングになってるのかな?
本書は「web国家」というウェブマガジンに連載していた文章を中心にまとめた新書。
作者の専門である、ロシアを中心とした国際関係・外交関係について(国家主義の立場から)興味深い話が語られているが、個人的には現在の諸情勢から「テロリズム」「ファシズム」の可能性について幅広い視点から論じているあたりが面白かった。
(題名がこうだから、作者自身にもそういう意図はあるだろう)
田母神論文や、秋葉原事件・厚生省次官殺傷事件から覗うことが出来る日本社会における「クーデター」「テロ」の可能性、あるいは「オバマ」に感じるファシズム(特にムッソリーニ)との共通点なんか、個別には言及されるケースはあるけど、こういうふうにまとめて論じているのは珍しいんじゃないかな(僕の不勉強だけかもしれんけど)。
(そういう観点からだと、右巻最終章「新帝国主義と<暴力>の弁証法」が面白い)

ただねぇ。
やたらと「引用」が多いんだよ、この本。
勿論「引用」の選択そのものに思想性があるわけだから、「引用があるから駄目」ってわけじゃないし、新聞記事の引用なんかは、論じている出来事の概要を把握する上においてもありがたい。
でも「蟹工船」を論じた章の、「蟹工船」からの引用や、それと対比する(そして作者が評価する)「海に生くる人々」(葉山嘉樹)の引用なんかは、ちょっと度を越してる感じがする。
「恐慌と不安のファシズム」での宇野弘蔵氏や滝沢克己氏の著作からの引用も膨大で、しかもその部分がサッパリ理解できなかったから(笑)、読んでて苦痛ですらあった。(まあコレは僕の理解力の問題だけど)
ここらへんはもうちょっとやり様があったんじゃないかなぁというのが正直なところだ。

作者は現在の「資本主義」の状況には限界・危険性を感じており、その認識は僕自身とも共通しているし、社会的にも認知されているのではないかと思う。
ではそれを克服するためには如何にすべきか?
その重要なポイントが、

<贈与と相互扶助が経済基礎に据えられた社会>(右巻P.171)

・・・イメージは何となくわかるんだけど、具体的にはいったいそれはどういうもので、その実現のためにはどのような手段を講じていくべきなのか?
本書ではそこら辺りがあまり語られていない。
できればそういうところまで読みたかったな、というのが読後の一番の感想だな。

2009/2/17

極彩色のマンガストーリー  映画

予告編なんかを観た感じでは、
「原色満載のこの色彩はちょっと・・・」
って感じだったんだけど、観てみたら意外に気にならなかった。
テーマ曲も懐かしの「アレ」で、「予想以上に楽しめた」というのが正直な感想。
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  スピードレーサー

まあでも作品世界は「虚構(フェイク)」に満ち溢れてるからね。
「リアリズム」とは一線を画したこの世界観を受け入れることが出来るか、そこで評価は全く変わっちゃうだろう。
受け入れてしまうと、意外に「本道」のストーリーなんだけどね。
でもって、ラストは大盛り上がり。
思わず拳を握り締めちゃったモン(笑)。
どっぷりフェイクな世界で、コレは我ながら意外でもあった。

まあでも「子供向け」じゃない感じはするなぁ。
別に「ダークナイト」みたいな「毒」があるわけじゃないんだけど、あんまり子供には見せたくない印象。
「懐古趣味な映画」では多分ないんだけど、そこに押し込めておくのが安心ってトコかな?

「ちょっと不思議な経験が出来る映画」とも言えますな。



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