2009/1/30

2大スター、競演!  映画

「酔拳」VS「少林寺」ですな。
それぞれの代表作をそれとなく踏まえたりしてて(ジャッキーの方は「まんま」か(笑))、長らく二人を見てきた人にはたまらない内容。ジェット・リーのやんちゃな「孫悟空」ぶりも面白い。
こういう「大スター競演」っていうのは、「失敗作」の可能性も高いんだけど、本作は結構楽しめる。
もちろん「傑作」じゃないけどネ(笑)
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  ドラゴン・キングダム

カンフー映画のテイストを保ちつつ、「いじめられっこが強くなる」という「ベストキッド」のりもちゃんと取り入れていて、まあ目配りの利いた作品ってとこかな。
楽しい時間つぶしにはなると思います。

2009/1/29

悼む人  

著者:天童荒太
出版:文藝春秋社
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今回の「直木賞」受賞作。
天童氏の実力は「永遠の仔」で十分に分かっていたので受賞そのものは驚きではないんだけど、う〜ん、これはナカナカ評するのが難しい本だなぁ。
「イイ本」なのは間違いないんだけど、エンターテインメントとして成立しているかと言われると・・・。

物語としては、
「死者」に祈りを捧げるために放浪する主人公(<悼む人>)を、「主人公を批判的に追いかける週刊誌記者」「がんに侵された主人公の母」「主人公と行動を共にする夫殺しの女性」の3人の視点から描いている。
こういう構成の場合、「羅生門」的に「主人公の本当の姿(あるいは狙い)は分からない」というスタイルもありえるとは思うんだけど、本書はそういう凝ったスタンスはとらず、<悼む人>としての主人公の真意はそのままに、それに触発されて3人が考えや行動を深めていく姿を描いている。

引っかかるのはココなんだよね。
<悼む人>がいい人過ぎるのよ。
そんでもって、周りの人が結構あっさりと、その<いい人>ぶりを受け入れちゃうんだよなぁ。
ストーリーとしては週刊誌記者なんかは、もっと批判的な姿勢を後ろまで引っ張ったほうが緊張感が出ると思うんだけど、そういう構成は取らないんですな、作者は。

もっともこのことは作者自身、分かってやってると思うけどね。
「話を面白くする」よりも、
「<悼む人>の存在を強く、深く、描く」
そういう方向で筆を進めていると思う。
そのことが本書を、単なるエンターテインメント小説に収まらない「何か」を感じさせる作品にしているとも言えるだろう。

<「『この女の子の母親は、誰に愛されましたか・・・・・・誰を愛していたでしょうか・・・・・・どんなことで、人に感謝されたことがあったでしょう』」>(P.284)

主人公に触発されて週刊誌記者が発するこの台詞。
「会話」としては不自然なこの台詞を受け入れることができるかどうか。
ココラ辺をどう評価するで、本書の捉え方は読者によって大きく変わってくると思う。

(ある意味、本書は「宗教的」だ。
「組織として成立した宗教」ではなく、「一個人から発する宗教」。
「もしかしたらキリスト教のはじまりは、このようなものではなかったのか」
そんな感想も脳裏を過ぎる。)

まあでも描かれるエピソードにはグッと来るのが多くてねぇ。
特に「子供」絡みのは・・・。
そういう意味で、個人的には感銘深い作品でありました。

2009/1/28

「憎まれっ子」も、いつまでも・・・。  雑感

「引退をかけた場所」で朝青龍が優勝して、いつの間にやら以前のような「ブーイング」の嵐。
僕も朝青龍には感心しないことも多いけど(ガッツポーズはないだろう(笑))、横審はじめ、評論家めいた人々が「品格どーのこーの」と言って批判するのには違和感を感じる。
大体、言ってるほうも「品格」という点ではどんなもんかと・・・。

まあでも今場所は優勝したけど、いずれ朝青龍も衰えてくるのは間違いない。
その時、世論はどういう風に吹くのやら。
「ここぞ」とばかりに罵声を浴びせるのか、かつての北の湖の引退間際のように、応援の声が高まるのか。
それもまた風任せなんだから、今の批判も「人気の裏返し」と思ってりゃいいのかもね。

自分の感情に正直な朝青龍の子ども染みたところ。
眉を顰めつつも、心底嫌いじゃないんだよな(笑)。

2009/1/26

「竜頭蛇尾」とまでは言わないけど。  映画

TVシリーズは相変わらず高視聴率なようだし(私の母も大ファン)、映画もヒットしたようなので、気になってたんだよね。で、遂に見てしまいました。
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  相棒 劇場版

「所詮『2時間ドラマ』に毛の生えたようなもの」
と、無茶苦茶ハードルを低くして見たので、それなりに楽しめたかな?
「2時間ドラマ」だったら、かなりイイ出来の方だろう(笑)。
脇も含めて、シリーズ・キャラクターが一癖二癖あって、確かにこれはTVシリーズとしても楽しめるんじゃないかと。
そのキャラクターの中で「弱いな」と思えるのが、寺脇康之の演じるキャラのように感じたから、「降板」という選択肢も理解が出来る。

でもまあ、もうちょっと脚本は練ったほうがいいなぁ。
少なくとも犯人が逮捕された後の「お涙頂戴」の展開は長すぎる!
ここはサスペンス部分と並行して進行させ、サスペンスが高まるタイミングと重ねるくらいの「仕掛け」を脚本でやってくれないと、ダレちゃうよ。

・・・って、そこまで水準を求めるモンでもないか、こーゆーのは(笑)。

2009/1/25

希望格差社会、「婚活」時代  

・「希望格差時代 『負け組』の絶望感が日本を引き裂く」
著者:山田昌弘
出版:ちくま文庫
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・「『婚活』時代」
著者:山田昌弘、白河桃子
出版:ディスカバー携書
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<わずか六十年前はレストランにも入れなかった父を持つ者が、あなたの前にたち、この最も神聖な宣誓に立ち会うことができた理由なのです。>(オバマ大統領就任演説より。小飼弾氏訳)

これを聞くと、今のアメリカには「希望」がハッキリとあることが分かる。
「オバマ・ショック」で町山氏らは、「アメリカン・ドリームの現実的な姿は『持ち家』であった」と喝破していたが、大多数にとってはそうであっても、階級の上昇が「夢物語」ではないことを、「大統領」自身が自ら証明したこと、これはインパクトがある。

<「日本には何にでもあるけど、希望だけがない」>(村上龍「希望の国のエグソダス」)

今の日本の危機感はここにある。
おそらく現時点における経済的な痛手は、欧米に比して日本のほうが相対的に軽いと思われるが、アメリカ以上の閉塞感が社会を覆っているように思えるのは、そこに「希望」の兆しが見えないからではないか?

「希望格差社会」は、「パラサイト・シングル」など、ネーミングの上手い社会学者・山口昌弘氏による「格差社会論」。
僕は「格差社会」があって、それを受けて「希望格差社会」という題名をつけたのかと思ってたんだけど、「格差社会」という言葉自体が本書に発しているらしい。
作者自身は、
「経済的格差、それ自体も問題であるが、それ以上に将来に『希望』を持てる人と持てない人の二極化が始まっており、かつ固定化されつつあることのほうが問題」
と主張してるんだけど、世論的には「経済的格差」のほうにスポットライトが当たったってことかな?(まあ少し前まで「一億総中流」とか言ってたからね)
でも本書の視点は「現在」そして子どもたちにとっての「未来」を考える上において欠くべからざるものだと思う。
「格差社会」に関する論点の多くは本書に列挙されているといってもいいだろう。
示されている解決の方向性のハードルの高さも含めて、ね。

「『婚活』時代」は、その山口氏による、最新ヒットネーミングの一作(笑)。
「バリバリ結婚活動をして、ランクが上の男(女)をゲットしようぜ!」
ってな本かと思ってたら(笑)、現在の社会情勢を分析した上での(その「社会」は、勿論「格差社会」なわけだ)結構シビアな作品だった。
「あなたが狙っている条件の独身男性(女性)は極めて少数。もう少し状況を把握して現実的な結婚相手を探しなさい」
スタンスはこんな感じ。
一読すると、すごく納得感がある話なんだけど、「結婚」とか「恋愛」ってのは、すごくパーソナルな話だからねぇ。
「話は分かるけど、自分だけは違う」
なんて気分になっちゃう向きもあるだろうなぁ、なんて思いながら読んだ。

この本、地下鉄で読んでたら、前に座ってた女子高生に変な小さく笑われてしまった。
「婚活」してるって思われたのかな?

2009/1/24

微妙なトコかな、こりゃ。  映画

ジェット・リー、ジェイソン・ステイサム主演で、ジョン・ローン、石橋凌らが脇を固めるアクション映画。
ストーリー展開もテンポいいし、アクションも悪くないんだけど・・・なんかねぇ。
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 ローグ・アサシン

石橋凌が親分のヤクザの設定・描写に奇妙なところがあるけど(忍者が出てくるし(笑))、ここら辺はむしろ「B級ノリ」で楽しめるところ。
問題はやっぱりラストだろうな。
妙に凝っちゃったこのラストが、何か作品全体の「B級ノリ」にそぐわない。
もっと単純なオチにしておいたほうが、全体としてのまとまりが良かったように思うんだけど、どうかね。

2009/1/23

サイモン・アークの事件簿T  

著者:エドワード・D・ホック 訳:木村二郎
出版:創元推理文庫
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ホック、死んじゃったんだよねぇ。
まあ未訳の短編がまだ山ほどあるはずだし、訳者の木村二郎氏は健在だから当分は短編集も続刊されるだろうけど(評判もいいしね)、寂しいことは寂しい。
こういうオールドスタイルの本格推理短編て、やっぱり年季が必要なんだよなぁ(その「年季」で多少の欠点は目をつぶることができるってのもある(笑))。

本書は数多あるホックのキャラクターの中で、
<自称二千歳のオカルト探偵で、悪魔退治のために世界じゅうを旅している><もともとはコプト教(エジプト独自のキリスト教)の僧侶だったらし>い(P.352)、
「サイモン・アーク」の登場作品を集めた中・短編集。
ホックのキャラクター別短編集としては「サム・ホーソン」「ニック・ヴェルヴェット」に続くってことになるのかな。

まあ設定は「オカルト」なんだけど、骨子はしっかり「本格推理」。
基本的にオカルトちっくな事件を取り扱っているものの、まあそこら辺は「話の彩り」って感じだ(特に最近の作品は(笑))。
「職人作家ホックらしいなぁ」と思うんだけど、ホックのデビュー作が、このアーク・シリーズ(本書に収められている「死者の村」)ってのも面白い。
そこら辺、最初っから割り切ってたのか、実は「オカルト好き」だったのか・・・ま、何とも言えんけどね。

ハッキリ言って、「お好きな人はどうぞ」っていう一冊。
僕は続編が出たら買うけど、他人には薦めません(笑)。

2009/1/22

オバマ就任演説  雑感

ノリとしては大統領選挙に勝ったときの勝利演説のほうがエモーショナルだったけど、格調は高かったねぇ。
これを書いたのが「27歳」のスピーチライターだとか。
いやはや、参っちゃいます。

一方、日本では麻生首相が「漢字の読み方」について質疑を国会で受けていたとか(笑)。
はぁ・・・。

2009/1/22

オバマ・ショック  

著者:越智道雄/町山智浩
出版:集英社新書

アメリカでの多元主義を研究している学者(越智明治大学名誉教授)と、アメリカ在住の映画評論家・コラムニスト(町山氏)が、オバマ大統領就任を前にして対談した作品。
と言っても、「オバマ」についての話は後半1/3くらいなんだけどね。
前半は「オバマ」が登場するまでの背景について、保守主義「レーガン連合」が登場するまでの経緯、保守主義の30年、ブッシュ政権の「失われた八年」、アメリカン・ドリームとしての「家」、アメリカの文化力、覇権国家としてのアメリカの黄昏 等々
幅広い視点から色々なことが語られている。
実際、直接「オバマとは何者か」を語るより、こんな風にアメリカの歴史や文化的背景から立ち現れる「オバマという存在」を浮き立たせたほうが、今の「オバマ現象」を理解する上で役に立つように思う。
あっちゃこっちゃと話が広がるような感じもあるけど(笑)、結構楽しかったよ、読んでて。

町山氏は最近のコラムや、ポッドキャストでの発言なんかで、相当「オバマ」に入れあげてる感じがするけど(「ブッシュがひどすぎた」ってスタンスとも言えるが)、越智教授と広い視点から語り合うことで、一定程度その「惚れ込みぶり」が相対化されて、作品としては前作の「アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない」よりもバランスが取れていると思う。

まあ正直「オバマの今後」ってぇのは平坦じゃないとは思うけどねぇ。
でも「何かやってくれそう」って雰囲気があるのも事実。
その「入り口」で今までを振り返り、今後への見通しを語る上では、(あまた出版されている「オバマ本」の中でも)悪くない作品だと思います。

2009/1/21

レジェンド  

・「レジェンド 伝説の男 白洲次郎」
著者:北康利
出版:朝日新聞出版
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またもや「白洲次郎」(笑)。
僕も好きなんだけど、ここまで色々な本がでると、「どうか」とも・・・。
とか言って、僕も結構買っちゃってるんだけどねぇ(笑)。
まあNHKでドラマにもなるらしいから、「メジャーになってきた」ってことかな。

本書は「白洲次郎」の本格的な伝記「白洲次郎 占領を背負った男」を書いた作者による、前書には収まらなかったエピソードをまとめた作品。
前書は「GHQ」との関係が最もクローズアップされてたから、その前後の話が多い。
と言っても、「白洲次郎」の経歴に沿ってエピソードをまとめているので、本書を読むだけでも一応の「流れ」は追える様にはなっている。
まあでもコレを読むのは、基本的には「占領を〜」や「風の男」なんかを読んで、「白洲次郎」の基本的なところは理解している人だろうけどね。

エピソードとしては知っているのもあり、初めて知るのもあり・・・。
でもどれも「白洲次郎」らしくて、ファンには楽しめる内容になっている。(カッコいいよな、やっぱ)
その一方で作者の「白洲次郎」評としてこんな一節。

<彼は政治家としても経営者としても、おそらく超一流にはなれなかったにちがいない。これらの世界で一流になるにはある種の冷徹さが求められる。時として非情な決断をしなければ、国民や社員を守れない。吉田は(こいつは使えない)と判断したら、どれだけ一心に仕えた部下だろうが平然と切り捨てて顧みなかった。そんなところは次郎にはない。>(P.184。文中「吉田」は「吉田茂」のこと)

「ああ、確かにそうだなぁ」と思う。
戦後60年を経て、「知る人ぞ知る」という存在であったと言うことは、「実力があった」のは勿論ではあるが、一方で「表立たせなければ『歴史』が書けないほどの人物ではなかった」とも言えるだろう。

「人間の魅力」ってのは、なかなか複雑なモンです。



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