2008/11/30

すべての経済はバブルに通じる  

著者:小幡績
出版:光文社新書
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21世紀の経済を「キャンサーキャピタリズム=癌化した資本主義」と定義し、その内容を具体的に指摘・解説した作品。
前半では「バブル」に関する解説、特に現在の「バブル」が歴史上の「バブル」と異なり、「リスクテイクバブル」である点を解説。
続いて、07年2月の「上海発世界同時株安」、07年7月からの「サブプライムショック」、08年3月の「世界同時暴落スパイラル」の流れを追って、その「バブル崩壊」の過程を明らかにした後、「バブルの本質」について解説する構成になっている。

非常に論理的で頭に入りやすい内容になっている一方で、07年2月から08年3月までの「バブル崩壊」過程を追いかける下りは、ドラマチックでスリリングな記述となっており、(僕は投資運用はしてないんだけど)結構ヒリヒリする感じがあった。
そういう意味では「読み物」としても、イイ出来なんじゃないかと思うね。

「キャンサーキャピタリズム」というのは言ってみれば「ねずみ講」(笑)。
「最後のヤツがババを掴む」。
但し金融資本が溢れかえった現在においては、運用者は出資者とは別に存在しており(「資本と頭脳の分離」)、それ故に運用者はライバルよりも高い運用実績を求められ、結果としてチキンレースに最後まで参加せざるを得ない。(従って「投資のプロはバブルに近づかない」のではなく、「投資のプロだからこそバブルに乗る」ということになる)
一連のバブル崩壊過程を見る中で、作者のこの主張への納得感は高い。
多くのヘッジファンドが破滅していったのはそれ故であろう。

本書の初版は「08年8月」。
従ってそのあと(08年9月)に世界経済を襲った「リーマンショック」以降の「世界金融不安」については本書は(当たり前のことながら)触れていない。
(ちなみに「世界同時暴落スパイラル」は「日経平均1万2千円強」で締められる。それが今や「8000円」前後だからねぇ)

<今回のリスクテイクバブル崩壊は、」まだ、第一次崩壊過程と思われ、今後、幾度となく、キャンサーキャピタリズムは発祥し、リスクテイクバブルは繰り返され、さらに別の形のバブルやそれ以外の発症があるであろう。
 キャンサーキャピタリズムの完治はいつか。それは意外と遠いようで近い気もする。しかし、それまでには、これまで以上の激痛と悶絶を経なければならないだろう。少なくとも、その覚悟だけは、我々は今からしておかなければならない。>(P.244)

果たして作者はこの事態を想定していたのか否か?
いずれにしても、この作者のクレバーな視点で、08年9月以降の「更なるバブル崩壊」の過程をトレースして欲しいナ・・・と思わせる一冊です。
(投資すんのが怖くなるけどね)

2008/11/29

アッパラパーなドンパチ映画  映画

印象としては「シン・シティ」に似たところがある。
良く言えば個性的、悪く言えばエキセントリックでマンガチックな登場人物たちに、「これでもか」って言うくらい飛び交う銃弾。
な〜んも考えないで、90分間ジェットコースターに乗ることができる。
まあ好きな人は好きだけど、ダメな人は全くダメだろうなぁ。
(僕はワリと乗ったほう。根が俗悪なモンで(笑))。
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  シューテム・アップ

チョコっと「銃規制」に関する言及があって、ここら辺に思想性があるのかもしれないけど、作品のノリから考えると、それ自体が「冗談」なのかも・・・。
まああんまりそんなこと考えないで観た方がいいだろうね、コレは。

モニカ・ベルッチが相変わらずの別嬪さんぶりを見せてくれる。
個人的にはそれだけでも「OK」(笑)。

2008/11/28

残り97%の脳の使い方  

・「残り97%の脳の使い方 人生を思い通りにする!『脳と心』を洗う2つの方法」
著者:苫米地英人
出版:フォレスト出版
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題名だけ読むと「脳力アップのためのトレーニング本」みたいな感じだけど、内容としては脳科学と心理学に基づいた「目標達成法」の本。
「周りの人を味方につけ、無意識的に目標達成する方法」(帯より)というのがテーマで、そのために、
「他人を動かす技術」
「目標を達成する技術」
の二つの技術を解説している。

作者はオウム真理教信者の脱洗脳にもかかわった「洗脳」のプロらしく(沢山著作もあるようだけど、不勉強にも、知りませんでした)、「他人を動かす技術」は、一歩間違うと「洗脳」にも繋がるようなトコロも垣間見せてくれる。
まあ読んだからすぐに出来るってモンでもないけど、「人間関係における主導権の握り方」という視点から考えると、結構参考になるところもあるかな。
読んでて頷けるところも少なくなかったよ。

「目標を達成する技術」のほうは、時間管理や目標管理のような勝間流・ハックス的スキルじゃなくて、「精神状態の持って行き方」「心の持ちよう」みたいな面での「技術」を解説している。
言っちゃえば、
「目標を高く持とう!」
「ポジティブに考えよう!」
ってことなんだけど(笑)、それを機能的に分析し、論理立てを行ったうえで、具体的な方法を提示しているところがミソかな。
納得感はあった。

まあまとめてみると「洗脳技術を使った自己暗示手法による目標達成術」ってことかもしんない。
なんかそう言うと「危ない」って気配がしないでもないけど(笑)、「自己啓発」に「自己暗示」を使うって言うのは、基本っちゃあ基本だからね。
そういう意味ではかなり整理されているレベルの高い作品と言えるんじゃないかと。

2008/11/27

喉、ガラガラ  雑感

子供たちのところで醸成・濃縮された風邪ウイルスに襲われ、喉はガラガラだわ、鼻水ジュルジュルだわ・・・。
加えて飲み会続きで、結構ヘトヘト。

明日もあるんだよなぁ。
何とか乗り切って、休みに突入せんと。

2008/11/25

クルマは家電量販店で買え!  

・「クルマは家電量販店で買え! 価格と生活の経済学」
著者:吉本佳生
出版:ダイヤモンド社
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「取引コスト」という概念から、日常生活における取引の経済学的側面を論じた快作「スタバではグランデを買え!」の著者の続編。

<裁定の考え方を中心にして、身近な商品やサービスの価格について説明しようと試みたのが、『スタバではグランデを買え!』と本書です。
金融の世界ではさほど気にしなくてもいい取引コストですが、生活の中の買い物では重要な意味を持ちますから、「取引コスト」にウエイトを置いて書いたのが『スタバではグランデを買え!』で、それよりも「裁定」にウエイトを置いて書いたのが、本書となります。>(おわりに P.280)

と言うことで、本書でも第一章で「取引コスト」の「復習」があるんだけど、メインは「裁定」。
その内容が「大学の授業料」や「taspo」、更には「排出権取引」にまで広がり、社会的な提言にまで及んでるあたりが、本書の面白みだろう。
前作も興味深い作品であったが、本書のほうがより刺激的な内容だと思う。

<2009年4月から数年名、大学教員を辞めて、本の執筆に専念するつもりです。>(P.11)

なんて書いてるけど、「大学の授業料」のところで書いてるようなことを主張して、大学に居られなくなっちゃったんじゃないかね(笑)。
(かなり説得力のある話だったけど)

本書では僕が勤めている会社の業界に触れている部分もあって、かなり辛辣な批判をされている。
個人的には「一理あるな」っていうのが感想。(会社には別の言い分があるかも)
「縮小する市場での競争」とか、「シェアと値下げ」の話なんかは、現在の業界を考える上でも参考になる話だった。

そういう意味で、「社会的提言」という面からも、「自分自身の仕事」という面からも、参考になるところの少なくない一冊だったね。
読み物としても面白いヨ。

2008/11/24

誰もがいつかは・・・。  映画

「余命行くばくもない男二人が旅に」
となると傑作ドイツ映画「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」を思い出すんだけど、あれとはまた味わいの違う佳作だった。
ロブ・ライナー監督、ジャック・ニコルソン、モーガン・フリーマン主演
面子の名に恥じない出来ってトコかな?(笑)
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基本的には台詞と演技で見せる映画。
世界一周のシーンも、ロケじゃないよね、あれは(笑)。
でもそれこそが名優二人にはズッポリはまるわけだ。
「クサいかなぁ」
と思いつつも、結構見入っちゃいました。

オイしい役どころは「秘書」。
彼のオチも効いてて、気持ちよく観終わることができたな。

2008/11/22

いやぁ、渋いねぇ。  映画

現代ハリウッドの伊達男ジョージ・クルーニーが監督した社会派ドラマ。
予想以上にキッチリとしたいい出来だった。
モノクロ画面にジャズ。
何より作品全体が渋いのよ(笑)。
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  Good Night,and Good Luck.

作品としては、マッカーシー旋風の経緯を知らないと作品の流れが位置づけにくいとか、ロバート・ダウニー・ジュニアの役付けの意味がチョット分かりにくいとかあるんだけどネ。
でも、そうは思いつつも、スタイリッシュな画面とクールな語り口で見せられてしまう魅力が本作にはあると思う。
その「格好よさ」と、ブッシュ政権下でこういうリベラルな作品を作ってしまうスタンス
まあ「ジョージ・クルーニー」その人が出てる作品といってもいいかな。

それにしても本作では登場人物がバカバカ煙草を吸っている。
「時代」とは思うんだけど、何だか今の「嫌煙」風潮に対する当てつけのように見えなくもない。
「休煙」してしばらくになるけど、久しぶりに煙草が吸いたくなったナァ(笑)。

2008/11/21

凍  

著者:沢木耕太郎
出版:新潮文庫
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「沢木耕太郎」は好きな作家なんだけど、この作品は単行本が出版されたときに何となく購入を見送っていた。
まあ強い動機があったわけじゃないんだが、「『登山』にあまり興味がない」っていうのが一番かな?
「寒いのが嫌い」
「手足や指が切られたり、損傷したりする話を読んでると、指先の力が抜けてしまう」
っていうのもある(笑)。
(実際、後半に凍傷でやられた指を切断する下りは、読んでて、本が持ちにくくなるくらい力が抜けて仕方がなかった(笑))

で、文庫になったのを契機に買ってみたわけなんだけど、いやぁ面白かった。

日本のトップ・クライマーである山野井夫婦がヒマラヤの山「ギャチュンカン」北壁に挑戦し、登頂には成功するものの、下山途中に悪天候に見舞われ、壮絶な下山行を行った末、手足の指の多くを失うほどの凍傷にかかりながらも生還する。

というのが大筋のストーリーライン。
このドラマチックな展開を、抑えた筆致で淡々と描きながら(作品としては極端に「会話文」が少なく、そのことが一層そういう印象をもたらしている)、「事実」そのものによって、この下山の壮絶さ、山野井夫婦の強靭さを際立たせる・・・沢木耕太郎の卓越した作家としての「力」を改めて認識させられる作品であった。
さすがやね。

作品としては今までの多くの沢木耕太郎のノンフィクション作品に比べると作者自身の姿がほとんど見えず(終章にチラッと出てくるようだが)、ノンフィクション・ノベルの体裁をとったものになっている。
そういう意味では沢木作品の中でも「異色」なのかもしれない。
実際、読み始めた当初は若干の違和感も感じてたんだけど、すぐに作品世界に引き込まれ、あとは一気という感じ。
登山に興味がある人にとっては、臨場感も含めて、堪えられないんじゃないかね。

山野井夫妻は生還後、指の多くを失いながら、再び「山」に向かい、今もまた登り続けているようだ。(本書の最後はその端緒で締められている。そういや泰史氏は最近「熊」に襲われたという報道もあったな)
金銭欲も、名誉欲も、自己顕示欲もないこの夫婦の「今」が、本作の強さを支えている。
「こういう人がいるんだ」
そのことが驚きでもあり、「人間」というものへの(大げさに言えば)「希望」にもつながっている。

いい作品です。

(読み終えて気付いたんだけど、山野井泰史氏は65年生まれで、僕とは同い年。
いやはや、違うもんっす)

2008/11/20

嫌な気配  雑感

「ブラックマンデーに始まる大恐慌」と「サブプライムローン問題に端を発する金融不安」
「昭和初期の軍部の暴走」と「田母神論文騒動」
「戦前のテロ」と「元厚生省事務次官殺人事件」

漠然とした嫌な雰囲気を、何処となく感じさせるような・・・。

戦後の繁栄が、「大正デモクラシー」のような儚い徒花でないことを切に祈りたい。
(「人間が歴史や経験から得るものは必ずある」と信じてはいるんだけどね)

2008/11/18

仕事が夢と感動であふれる5つの物語  

著者:福島正伸
出版:きこ書房
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「どんな仕事も楽しくなる3つの物語」の作者による、「仕事」と「夢」に関する5つの物語(エピソード)の紹介と、「夢」のもつ「力」についての小論を収めた作品。
前作に続き、「臭い」と思いつつも、思わずジンと来てしまうエピソードが紹介されている。
個人的には「子供」が絡んじゃうと、どうもヤラれやすいねぇ(笑)。
「あとがき」の障害者の子供がつくった童話なんか、特に・・・。

「小論」のほうも、まあ自己啓発本の本道ではあるんだけど、改めて「うむうむ」と思わされるところもあり、一読の価値はあるかと。
たとえば、

<それは『今できることからやる』ことにほかなりません。>(P.118)

いや、ホントその通りなんだよな。
個人的にヘタってるタイミングなんで、余計に響くのかもしれんけど(笑)。

薄くて、「いかにも」な本だけど(笑)、個人的にはいい本だと思うよ。



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