2008/1/31

民主主義という不思議な仕組み  

著者:佐々木毅
出版:ちくまプリマー新書
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「民主主義」の歴史から、その意味・課題・論点、それが成立する政治体制の分類とその課題、さらには現在の政治状況の課題まで、かなり幅広い視点で、簡潔に論じた一冊。
現在の課題について論じた部分は「若干急ぎ足過ぎるかな」とも思ったが、テーマの広範さから考えたら仕方がないところだろう。

「民主主義」という馴染みの政治思想について本道から論じているだけに、目新しいことがあるわけじゃないのだが、これだけキッチリと簡潔にまとめているのは大したもんなんじゃないかと思う。
「政治体制」や「世論」について論じている辺りなんかは、現在の日本の政治状況を横目で見ながら考えさせられるところが少なくないし(「政党」のあり方や、「マスメディア」の存在なんか特にね)、「民主主義」について考えること自体が、近現代史を考える重要な視点になっていることを再確認できたりもする(「ファシズム」は「民主主義」を超えるものとして登場した訳だし、「社会主義」だってそうだからね)。
その歴史上の試行錯誤の過程が、「民主主義」そのものを鍛え上げてきたとも言えるし、「民主主義」というものはそうした不断のチェック・修正を不可欠とするものなのだ、というのが作者の主張の一つにはあるのだろう。

本書は「ちくまプリマー新書」の一冊。
確かこの「新書」は「中高生向け」に創刊されたんだと思うけど、本書は十分に社会人の読書にも耐えうる内容になっている。
っつうか、コレ、「中高生」がスンナリ読むには、ちょっとレベルが高いんじゃないかなぁ。まああんまり最近の中高生をバカにしちゃイカンのかもしれんけど(笑)。

日本の政党政治がガタついている現在、一歩引いたところからの視野を獲得するという意味で一読に値する一冊じゃないかと思う。

2008/1/30

三国志3,4  

・「三国志 3<玄戈の星>」
・「三国志 4<列肆の星>」
著者:北方謙三
出版:ハルキ文庫

呂布の死から、孫策の暗殺を経て、曹操が群雄の中から躍り出る、「三国志」前半のクライマックス「官渡の戦い」まで。
この2巻もドライブの掛かったストーリー展開でグイグイと引っ張られる。
それでいてアチラコチラで琴線に触れる男たちの生き様が錯綜するという、まあ贅沢な展開。
タップリ堪能させてもらった。

物語としては、
「何度も苦杯をなめながら、しぶとく立ち上がり、自分を賭けた勝負に勝って来た曹操の乾坤一擲の勝負」
「遂に曹操に対立することを選択し、群雄の中に分け入りながら、ナカナカ抜け出るキッカケを見出せない劉備の苦闘」
あたりが主軸かな。
その大きな流れの中に、「呂布の死」や「関羽の漢っぷり」が鮮やかに浮き立っている感じだ。

曹操は抜け出た。
次は劉備の飛躍が見所か?
(まだ孔明が出てきてないもんなぁ)

2008/1/29

水滸伝と日本人  

著者:高島俊男
出版:ちくま文庫
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「本の雑誌が選ぶ文庫ベスト10」でベスト4に入っている本。
まあこのベスト10は「独断と偏見」に満ち満ちている(笑)ので、順位はどーでもいいのだが、「三国志」を読み終えたら北方「水滸伝」に進もうと思っている僕にとっては、「『水滸伝』ってどんな話だっけ」を確認するのに丁度いい気持ちもあって購入した。(まだ「三国志」自体、2巻までしか読んでないんだから、気が早いっちゃぁ、早い(笑))

が、そういう意味では「期待はずれ」の一冊。読んでも「水滸伝」のストーリーなんかは殆どわかりゃしない。
「同じ作者なら『水滸伝の世界』を読むべきだったか」
とは言え、「後悔、先に立たず」。
たださすがに「ベスト10」に入るだけの事はあって、目的とはズレていたものの、結構面白く読むことができた。

「『水滸伝』は陽気な本なんだから、それについて書いたものも陽気でなくっちゃ」(まえがき)

と言うほど、「陽気」な本じゃなかったけど(笑)。

内容としては、「水滸伝」が日本人に許容されていく過程を、江戸から昭和にかけて概覧した作品、ということになる。
ま、ここら辺は真面目に追いかけているので、そういう意味では学術的な色彩も強い作品と言えるかもしれない。(そういう観点での価値も低くないんじゃないかな)
ただ「読み物」としての面白さは、そういう「骨格」よりも、中に挟まれた論評の方にある。
パンパン、言い切る口調も面白ければ、無理やり言いたいほうに論を進めていく筆具合もナカナカ楽しい。
かなりの分量が滝沢馬琴の「八犬伝」を巡って割かれているけど、「水滸伝と日本人」ってぇ題目から言えば、これはちょっと行き過ぎじゃないか?
でもそこが本書のもっとも面白い部分でもあるんだよね。
(「八犬伝」については、子規の「水滸伝と八犬伝」、坪内逍遥の「小説神髄」等を通して、明治時代以降の日本文学の一つの有り様を(否定的に)浮き立たせているというのはあり、そこに「水滸伝」も関係はしてるんだけど、「水滸伝の受容」というテーマからすればメインじゃないだろう)

もう一箇所、吉川幸次郎訳の「水滸伝」を取り上げているところも面白く、ここでは御大をものともせずに、バシバシ断定する作者の口調が痛快ですらある。(高橋和巳のエピソードなんかも興味深い)
「あとがき」なんかにもそういう雰囲気は表れているけど、まあ読む分には楽しいかもしれないが、矢面に立たされる側に立ってみたら、これは結構ヤナ感じかも、ってぇのは余計な感想か?(笑)

と言う訳で、目的は果たせなかったけど、楽しく読み上げることができた一冊、というのが本書の僕にとっての位置づけ。
他のヒトには・・・あんまり薦められないかなぁ(こりゃ、読む人を選ぶワ)。
「『本の雑誌』ご推奨」なんだから、悪い本じゃないのは確かだよ。

2008/1/28

あれや、これや。  雑感

世間的には色々あった週末だったね。

○橋下弁護士、圧勝
民主党には厳しい結果だったけど、まあ民主党自身ヨタヨタしてるからナァ。
それにしても大阪府民はタレント好き(笑)。
もっとも府の状態はかなり厳しいから、これからが大変だけどね。

○白鵬、朝青龍を下して優勝
個人的には朝青龍を応援してたんだが・・・(笑)。
ま、「ドラマ」としては収まるところに収まった感じ?
盛り上がったけど、大相撲の課題は何一つ片づいてないんだよな。

○福士、マラソン初挑戦
フルマラソンってぇのは厳しい。
根性は見せてもらいました。

○岡田ジャパン「0-0」スタート
ま、こんなもんでしょう。

個人的には特段何もなく・・・。
最終回だった「SP」を楽しく見たくらいかナァ。(ラストはナカナカのオチでした)

あ、父親が倒れて、丁度1年だな。
無事復帰して、元気に毎日やってるようだから、何だか随分昔のことのよう。
この一年の間に娘が生まれたりしたから、余計そう思うのかね。その娘が歩き出してるんだからね。
まだまだ孫の成長を見てもらいたいな、と思っております。

2008/1/26

二重標的、虚構の殺人者、硝子の殺人者  

・「二重標的ー東京ベイエリア分署」
・「虚構の殺人者ー東京ベイエリア分署」
・「硝子の殺人者ー東京ベイエリア分署」
著者:今野敏
出版:ハルキ文庫
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「ここ数年の警察小説ブームに関していうなら、少なくとも国内の状況で言えば、『横山秀夫前』と『横山秀夫後』という分け方が可能かもしれない」(池上冬樹)
(今野敏は)「横山秀樹の登場まで、このジャンルの屋台骨を支えてきたと言っていい」(大矢博子)

「出来のいいシリーズだ」というのは聞いていたので、「いつかは読みたいな」と思っていたところ、たまたま横浜日帰りが二日続くことになって、行き来の電車で読む本が切れていたので、「丁度いいかな」と思って、シリーズ一作目(「二重標的」)を購入した。
で、そのままズルズルと一気に三冊読んじゃった(笑)。
「東京ベイエリア分署」シリーズはこれで完結なんだけど、「安積警部補」シリーズとしては、「神南署」シリーズ・「新・東京ベイエリア署」シリーズと続きがある。
気持ち的にはこのままの勢いでソッチにも行っちゃいたかったんだけど、何とかココで一区切りを入れた感じ。

物語としては、まあ地味ではある。
ただこれは「横山秀夫」もそうなんで、「警察小説」っていうのは、(「組織」を中核に据えた作品の場合)こんな感じになっちゃうモンなんだよな。
「横山秀夫」のブレイクは、「介護殺人」というキャッチーな題材を扱った「半落ち」がキッカケになってるけど、その以前から彼は質の高い警察小説を発表してたからね。

むしろ今となっては、このシリーズの場合は、メインとなる事件の犯罪が「地味じゃない」ところに弱点があると見られる可能性もある。
一作目が「交換殺人」、二作目・三作目が「芸能界」を舞台にしてるというあたり。
ここら辺は「地味な作品」の「売り」として作者が苦労したトコなのかもしんないんだけどねぇ(笑)。
ま、作品としてはターゲットとなる「犯罪」よりも、それに関わる警察官の面々の姿の方が「読みドコロ」になっているから、それをもってどーのこーのと言うほどのモンではない。

何より「中間管理職」としての「安積警部補」がいいんだよね。
何だか身につまされるようで、それでも「こうはなれないナァ」というヒーロー性(これまた地味ではあるんだけど)もあったりして。
その姿を追いたいがために、次々と手を出しちゃったみたいなもんだ。
脇のキャラたちもキッチリ書き込まれていて、これは本当に質の高いシリーズだと思う。
ついでに中毒性もアリ、と(笑)。

「北方三国志」の他に、シリーズもんなんか抱える余裕はないはずなんだけどナァ・・・。

2008/1/25

はじめの二、三歩  雑感

水曜日くらいから、娘が二、三歩、歩くようになった。
勿論、「ヨタヨタ」なんだけど、ヨロケタ勢いで歩を進めるんじゃなくて、「歩こう」という意思で足を動かしているのが感じ取れる歩き方だ。

息子のことを思い出すと、こっからは早かったような気がするナァ。
楽しみ楽しみ。

2008/1/24

叡智の断片  

著者:池澤夏樹
出版:集英社インターナショナル
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チョット前のことになるが、結婚式のスピーチなどをする機会の多い父が、
「少しシャレた昔の人の言葉なんかを、サッと引用したりすると締まるんだけどナァ」
とブツブツ言いながらスピーチ原稿を書いていたのを思い出した。
作者も書いているけど、日本人の演説やスピーチにはあまり「引用」は使われないと思う。でも使ってるのを聞くと、これがなかなかいいんだよね。
英語には「引用句辞典」というのがあるようだけど、日本人の発言や、日本文学・中国文学辺りをカバーした「引用句辞典」はないもんかね?
(日本人は「ことわざ」は結構良く使うんだが)

本書は英語の「引用句」で面白いものを、時事的な事柄(元々は「月刊PLAYBOY」の連載)にあわせてピックアップし、解説や感想を述べた作品。
時事的な部分は「今じゃ旧聞に属する」って感じになってるけど、結構面白く読み通すことが出来る。引用句については英語原文がついてるのも、参考になった。(全部眼を通したわけじゃないけどね)

もっとも、結婚式のスピーチの参考になるか、については「?」だな。

「本当の幸福がどんなものか、ぼくは結婚するまで知らなかった。知ったときはもう手遅れだった」マックス・カウフマン
「女はゾウに似ている。見ていて楽しいけど、自分で飼おうとは思わない」W.C.フィールズ
「男にとって結婚はセックスのために払う対価であり、女にとってセックスは結婚のために払う対価である」アノニム

ま、笑えはしますが。

2008/1/22

スティグリッツ教授の経済教室  

「スティグリッツ教授の経済教室 グローバル経済のトピックスを読み解く」
著者:ジョセフ・E・スティグリッツ 訳:藪下史郎・藤井清美
出版:ダイヤモンド社
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ノーベル賞経済学者スティグリッツが03年から07年まで、その時々の(主としては経済に関する)時事問題について論じた文章を集めた一冊(「21世紀初めの日本と世界」という長めの書き下ろし文も収録されている)。
「週刊ダイヤモンド」に定期掲載(月一回)されてたんだけど、会社で雑誌が回覧されてるときにはあまり読んでなかったので、殆どが初めて目を通すものだった。

まあ内容的には、例によって、「分かるのもあれば、分からないのも」って感じ(笑)。
ただ時事問題と絡めて論じられているので、ゴチゴチの経済学って雰囲気ではなく、比較的敷居は低いんじゃないかと思う。ブッシュ現米大統領に対する批判なんて、ちょっと感情的に過ぎるんじゃないかな、と思えるような部分もあるくらいだ。

スティグリッツについては「世界を不幸にしたグローバリズムの正体」「世界に格差をバラ撒いたグローバリズムを正す」なんて題名の著作があるので、てっきり「反グローバリズム論者」かと思っていたんだけど、決してそうじゃないんだね。
先進国の「農業保護政策」を激しく非難しているところなんかにも窺えるように、基本的に「グローバリズム」を評価しており、希望も持っている。
ただ現在の方向性には厳しい目を向けていて、その根本には「先進国」と「貧困国」の間にある格差への道義的な怒りがあり、そうした施策を推進する中心勢力であるブッシュ政権への批判に繋がるわけだ。(逆に「中国」に甘いのは、経済成長によって貧困層の引き上げに寄与していると評価しているから、かな)
こうした高い「道義性」を掲げている辺りが、作者の人間像を面白いものにしているとも言えるだろう。

経済政策的にはケインズに通じるものがあるようだが、「インフレターゲット政策」を批判しているように、その政策実施に当たっては種々の数値・リスク・状況を分析し、トレードオフをきっちり判断しながら柔軟に実行すべきだと言う、プラグマティズム的な姿勢も特徴的だと思う。
(長期的には好転すると言っても)「長期的にはみんな死んでいる」というケインズの言葉が再三引用されているけど、現在生活し、苦境に立っている人間をナントカすべきだという視点は、「貧困国」への視線と重なり、スティグリッツの人間性に根ざしたものなんだろう。
(ただ「中国」の経済政策に対する評価が、統制経済への親和性に繋がるような気がするトコは、ちょっと気になる)

サブプライムローン問題(米国の不動産バブル)なんかはかなり早い段階で警告を発していて、そういう意味では「先見性がある」とも言えるのかもしれないけど、経済環境が悪化する時期についてはかなりズレ込んでいるから、(景気の循環なんかを考えると)「予言」としてはどうかなって感じもある。
ただその人間性に根差した提言は非常に「真っ当」なものであり、背筋が伸びる思いもする。
そういう意味では一読に値する作品じゃないだろうか。

2008/1/21

楽しんだのは僕のほう?  雑感

我が家では
「子どもにはなるべくテレビは見せないようにしよう」
という方針でやっている。
・・・なんだけど、子ども向けのテレビ本とか雑誌は結構買ってやったりしているので、その割には息子は特撮ヒーローにはまっている。
中でもウルトラマン・シリーズは、ソフビの人形が大量に玩具箱に溢れているような状況だ。

そろそろ息子も幼稚園を間近に控えているし、いつまでも「テレビ禁止」じゃ可哀相な気もしたので、少し前にシリーズが完結した「ウルトラマンメビウス」の総集編を買って、日曜日に見せてやった。
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クライマックス・ストーリーズ ウルトラマンメビウス

「60分」という短い時間に一年間のシリーズの総集編をまとめているので、慌しいと言えば慌しいんだけど、全体の流れがコンパクトにまとまっていて、分かりやすい出来でもある。
次から次に怪獣が登場して、一々テレビの前でそれらと「闘って」いた息子は、後半はバテてきたようだが(笑)、テレビ本や雑誌で、な〜んとなくしかストーリーが分かってなかった僕は、「積年の謎」が解けたような感じで(大げさな!)、スッキリさせてもらった。
第一、「ウルトラマン40周年記念作品」ということで、「ウルトラの父」に始まり、「ウルトラの母」「タロウ」「レオ」「A」「80」「帰ってきたウルトラマン」「セブン」「ウルトラマン」と、次から次に歴代ウルトラマンがゲスト出演する展開は、息子よりは僕ら父親世代に強くアピールするノリになってるんだよね。
結果的には、何だか誰のために買ったDVDなんだか分かんない有様になってしまった(笑)。

この「メビウス」以降、新しいウルトラマンシリーズは子供向けには作成されず(深夜枠で「セブン」をやってたらしいが)、円谷プロもドッカに買収されちゃった。
このまま新しいシリーズが制作されなくなっちゃうとしたら、ちょっと寂しい話だなぁ。

2008/1/20

初めてのヘアカット  雑感

生まれてから、今まで娘の髪は一度も切ってこなかったのだが、さすがに前髪が長くなりすぎて、眼に入りそうになってきたので、妻が初めて切ってみた。
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「切り過ぎたぁ〜」
と、妻はエラく反省モード。
それはそれとして、
「結構、可愛いじゃん」
と僕は思ってるんだけど、これは親バカかな(笑)。



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