2007/10/31

漱石夫婦 愛のかたち  

著者:松岡陽子マックレイン
出版:朝日新書
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漱石の孫(ということは夏目房之介の従姉だね)による漱石一家に関するエッセイ。
鏡子夫人の回想やら、夏目房之介の本やらを読んでて、そうそう変わった話が出てくるはずもないのに、こういうのを買っちゃう辺り、やっぱ僕も「漱石ファン」なんだろうかね。そんな熱心なファンじゃないけど。

私生活上は精神の病(一説には「鬱病」)で決して「良い夫・良い父親」でなかった漱石に対し、「良妻」ではなかったかもしれないが、包容力の大きさで一族に慕われた鏡子夫人。
こうなると一族の思い出話も圧倒的に「鏡子夫人贔屓」になっちゃうのは仕方がない。
第一、鏡子夫人は長生き(死亡したのは1963年。85歳だった)したから、それもアドバンテッジだったろう。
漱石贔屓からは色々言われている鏡子夫人だが(「悪妻」説が典型)、まあ実生活においては、芥川の証言なんかを考えても、やっぱり漱石は問題があったと見るのが妥当じゃないかなと思うよ。そのことと作家としての偉大さは関係ないし。
それを踏まえた上で、鏡子夫人が漱石のことを「優しい人だった」「情け深い人だった」と、全く悪く言わなかったところに、「結局は幸せな夫婦だったんじゃないかな」と第三者は少し安堵するのである。

本書については漱石・鏡子夫婦のほかに、作者の母(漱石の長女)である筆子の思い出が語られている辺りが特徴かな。
作者の人格形成において重要な役割を果たし、かなりしっかりした考えを持たれていた方のようだが、それでも漱石や鏡子夫人に比べたら、「キャラ」が薄いのは否めない。
でもそのことは家族にとっては幸せなことだったろう。
「天才を父に持つものではないわ。父親は平凡な人のほうがいいのよ」
この筆子自身の言葉がそれをあらわしている。

エピソードの集積のようになっていて、ちょっと話の流れが見えにくいところもあるんだけど、興味がある人にはそれなりに楽しめる本って感じだった。
ただこの題名はチョット気恥ずかしいけどね(笑)。

2007/10/30

迷走する帝国  

・「迷走する帝国 ローマ人の物語]U」
著者:塩野七生
出版:新潮社
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このシリーズを、僕は1巻から最終巻(15巻)まで、ほぼ発売と同時に購入している。
大体、年末に発売されるのを、休日の一日を当ててジックリ読み、年内に本棚に納めるのを常としていた。

それが崩れ、購入しても積み上げておくだけになったのは結婚してから。気ままに一日を読書で過ごすってぇのがナカナカ難しくなっちゃったんでね(子どもが生まれたら尚更。笑)。
それにこの前の巻辺りから「ローマ」は衰亡への途を歩み始め、そういうのを読むのが何となく気鬱だったと言うのもあった。

しかしまあ、いつまでも書棚なの肥やしにしてても仕方ないしね。文庫化のほうも進んでるし、「ローマ史」を読むとき、その「衰亡」の原因を読まねば、画龍点睛を欠くというのもある。
で、本棚からこの重い一冊を取り出し、エッチラオッチラ、通勤電車の中で読むことにしたわけだ。

確かに題名の通り、「迷走する帝国」ぶりが本書では繰り広げられている。
何しろ73年で22人の皇帝が登場するのだ。しかもその大半の皇帝の死因が「謀殺」。
ペルシア帝国に捕囚される皇帝(ヴァレリアヌス)まで出てきて、あのリアリストの集団で堅固たるローマ帝国はドコへ、って感じだ。
時代としては蛮族の力が強くなる中、従来の元老院メンバーから選出される皇帝から、軍のスペシャリストである「軍人皇帝」の時代へと移行した期間になるのだが、「生みの苦しみ」とは言え、この迷走振りには目を覆いたくなる。そしてその向こうには、確かに「衰亡」の影が見えつつあるのだ。

「『ローマ人』が『ローマ人』でなくなってきた」
塩野七生は衰亡の一因をそう見ているようだ。
数々の国際情勢の変化に、リアリズムをもって対処しながら、「帝国」を「帝国」たらしめる方針の継続性は保って来た「ローマ人」たちが、この本の中では場当たり的な対処に右往左往する。
時にかつてのような強固な意志と実行力を持った皇帝を得るのだが(アウレリアヌスとか)、長期政権に至る前に謀殺されてしまったり、不運に見舞われたりするのは、過渡期ゆえの混乱なのかもしれない。
そしてその過程の中で、着実に「ローマ人」の変質が進行している。

「ローマ」の盛隆を読んできた身には、まあ読み進めるのが哀しくなるような一冊ではある。
しかし一方で「こういうもんなのかもしれないなぁ」とも思う。
激変する社会情勢を前にしてうろたえる姿は、あるいは「現代的」なのかもしれない。

塩野七生の硬質なロマンティシズムが、衰亡に向けてのローマの歩みをどのように描いていくのか。
それを楽しみにしたいと思う。

とは言え、やっぱりこの分厚い本を持ち歩くのはシンドイ(笑)。
続きを読むにしても、ちょっと間は空けることになりそうだ。

2007/10/29

ちょっとキタナイ話ですが。  雑感

昨日は週末から埼玉に旅行に来ていた(季節外れの台風にエライ目に会わされたらしい)僕の両親がウチに来た。
旅行が「大宮解散」だったので、僕が息子を連れて大宮まで迎えに行ったのだが(車で40分くらい)、どうも息子の調子がおかしい。朝から大便がでなくて苦労していたのだが、その影響か、車を降りても言葉少なげで、ズッと僕に「ダッコ」を要求し続ける。
両親を迎えてもそのマンマの状態で、ほとんど車中でも喋らないままだった(息子が「喋らない」という状況が、最近は寝るとき以外、まずないんだが)。

家についたら妻にベッタリで、グズグズしている息子。
「ウンチが出なくて調子が悪いんだろうナァ」
と思いつつ、近くのレストランで夕食。
食事そのものは結構食べたから安心していた。

食事後、翌日の朝、早い便で出張しなきゃいかん父は東京駅近くのホテルに泊まるので、一足先に近くの駅まで送る。
その後、残りのみんなで店を出たら、その玄関先で突然、息子が吐いてしまった!

「苦しげ」というより、あるものをバッと口から出しちゃうって感じだったんだけど、突然のことにウロタエルやら、店に悪くてバツが悪いやら。
少し夜風に当たった方がいいかも、ということで、僕が店のヒトと後始末をすることにして、妻と母には息子たちを連れて、歩いて家に戻ってもらうことにした。

で、僕が戻ってみると、何とまあ息子の「元気」が戻ってるではないか。
いつも通り、ウルサいくらいペチャクチャ喋りながら、母と遊び回っている。
さっきまでの「無口ぶり」はどこへ行ったのやら。別人格のようである。

妻によると、以前、父が倒れたとき、広島から車で見舞いで松山に行ったとき、やはり同じように吐いてしまったことがあるらしい。
その時は周りの緊張に、息子自身も影響されて気分が悪くなったようなのだが、今回は初めて僕と二人だけで(息子にすれば)長いドライブをしたことで、やはり緊張して気分が悪くなっちゃったんじゃないか、と。

う〜ん、まだ僕と二人っきりで出るのは緊張するのか?
何だか寂しい気分もするけど(笑)、まずは調子が戻ってくれて良かった。
多少、騒がしくても、やっぱり元気でいてくれるのが一番だよ。

2007/10/28

こっ恥ずかしい!  雑感

以前(今年の6月)、娘の「百日」でホテルの写真館で娘の写真と家族写真を撮った。
その娘の写真の出来が良かったらしく、仕上がりを取りに行ったとき、店の人に、
「スゴクいい具合に撮れているので、お店の見本に使いたいんですが、宜しいですか?」
と申し出られた。
まあ「お世辞半分」(全部?(笑))とは思ったけど、悪い気はしないし(親ばか)、撮ったデータをCD−ROMでくれると言うので、
「いいですよ」
と返事をしておいた。

以来、そのことは忘れてたんだけど、昨日妻がフと思い出し、外出ついでにCD−ROMを取りにホテルに行くことにした。
で、ロビーで見かけたもの。
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「娘の写真」だけじゃなくて、「家族写真」の方も飾られとるやん!!

いやぁ、これは恥ずかしい!
今更「やめてくれ」とは言えんが、恥ずかしいよ、こりゃ。
まあ知り合いがみることはホボないとは思うが・・・。

こんなところでモデルデビューしようとは、思いもよらんかったワ(笑)。

2007/10/27

季節外れ  雑感

台風接近中。
この季節に?

実は来週の後半からゴルフの予定がいくつかあるんだけど、どうせなら来週来て欲しかったな。そしたら中止になるのに(笑)。
ゴルフ自体はもう10年以上もやってるんだが、どーしても心から好きにはなれんね。
山ん中を歩くのは気持ちいいんだけどサ。

2007/10/27

議論のルールブック  

著者:岩田宗之
出版:新潮新書
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コッチのほうは「How To本」を期待して購入したんだけど、意外に「深い」内容にちょっと驚いた。
と言っても、何も哲学的な思索が展開されるわけではなく、作者自身、
「ここで述べるのは議論の『ルール』です。」
と言明してるのだが、プリミティブな部分に関する言説と言うのはこういう「深み」を自ずと抱えるものなのかもしれないね。
極めて具体的な「例」を挙げて平易に説明をしながら、時に「人生観」のようなものまで思い浮かべさせられたのはそのためだろう。
「匿名性」「客観性」「自由と責任」「謝罪」等々・・・個々に提示される視点から繰り広げられる見解には、眼を開かされるものが少なからずあった。
(もっとも、平易な文章なんだけど、時々「?」ってとこもあった。ここら辺は改善の余地があるところ)

ここで「議論」として提示されているのは「インターネット上の」ことが多く想定されているのだが(本自体はそういう限定をしていない。でもまあ、ネット掲示板等での「炎上」に興味を発して書かれたものだからね。性格的にはどうしてもそういうものになる)、何かの「議論」「打合わせ」をする際の有意義なスタンスを考える上においては非常に参考になる内容がある。
僕自身も反省させられる部分があった。
「相手の発言を認める」
「自分の発言に責任を持つ」
みたいな、まとめてみれば「当たり前」のことなんだけど、個々の局面に立ってみると、言ってみるほど簡単なことじゃないなぁ、と。

確かにこういう「ルール」を踏まえれば議論は有意義で生産的なものになるだろう。
問題は、こうした「ルール」を踏まえた参加者が議論の場にどの程度いるかということ。
ネット掲示板なんかだと、従って適度に「スルー」しながら、「ルール」を弁えたコメントとを選びながら議論を構築して行くということになるのかもしれない。(それがまたインターネットを使う側に求められる「強さ」とも言える)

なかなかそんな風にはなれないんだけどねぇ。

2007/10/26

思考の整理学  

著者:外山滋比古
出版:ちくま文庫
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題名は固そうだけど、書店でパラパラ覗いてみたらエッセイ風だったので、「気楽に読めるかな」と買ってみた。
読み始めたら、確かに「読みやすい」んだけど、内容は結構骨があって、予想以上に頭を使わされてしまった(笑)。それなりに刺激も受けたけどね。

How to本ではないんだが、作者自身の思考のブラッシュアップの手法などを具体的に盛り込んでおり、スキルの紹介にもなっている。
こういう本を読むと、
「こうやれば、確かに自分自身のレベルアップにはなるだろうな」
と思うんだが、大抵は実行しない。
理由は「面倒だから」(笑)。
本書でも、例えば「Just idea」を「わが思考」にまで高めて行くための技術が具体的に述べられているんだけど(メモ・ノートの活用ということになるが、確かに「論理的」な活用方法が具体的に提示されている)、「素晴らしい」とは思うけど、やらんね。

じゃあこういう本を読むことが無駄になるかと言うと、確かにそのまま実行はしないだろうが、断片的には自身の行動の中に取り込むことなんかも見つかったりして、それはそれで役に立つ。本書からもいくつかの啓示は受けた。
本書だけじゃなく、そういうことが重なって僕なりの「思考の整理学」ができてくるんじゃないかと思う。本書のように「スキル」だけじゃなく、大きな枠組みを提示してくれる本には特に得るべき部分が多いんだよね。

とは言え、「整理下手」だからなぁ。
大したもんは出来上がらんとは思うけど。

2007/10/26

ちょっとキツかったかな?  雑感

一昨日の夜は課のメンバーと11時過ぎまで飲み、昨日は朝7時から出社して(家を出たのは6時前)、部のリーダーとちょっとしたチェック作業。
飲み会は楽しかったし(場所は神保町の「海蔵(うみくら)」。安くて魚の美味しい居酒屋だった)、仕事の方も満足の行く結果だったんだけど、さすがにこの日程はチトきつかったな。
昨日は帰って、バタンキューだったよ。
これくらいで「キツイ」なんて言ってちゃいかんのだけどな。少し怠け癖がついてんのかね?

2007/10/24

マンハッタン・オプU  

著者:矢作俊彦
出版:ソフトバンク文庫
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「これがなきゃ、マンハッタン・オプじゃない」
と谷口ジローの挿画のことを前に書いたが、実際「半分」とまで行かなくても、このシリーズの魅力のかなりのウェイトを占めているのは確かだと思う。
まあ十数ページの短編に、2・3枚の挿画が収められているんだから、単なる「挿画」というよりは、これは「共作」と行った方がいいのかもしれないナ。

陰影に富んだ(と言うか、ベタを多用した)絵風、詳細な街の表現、魅力的な「運命の女」たち・・・

典型的なハードボイルドの世界観をこのイラストたちはキッチリと支えてくれている。このイラストを眺めるだけでも、このシリーズの価値はあると僕は思っている。

最近の谷口ジローは漫画家として活躍しているけど、この頃とは大分画風は変わってきたね。達者さは相変わらずだけど、もっと線が細くなって、詳細な表現に力を入れているように思う。
勿論、本作のイラストは作品のイメージに合わせて描いたものだろうから、使われている「技術」が違うんだということではあるんだろうけど、それでも今、谷口ジローが「オプ」を描いたら、大分違うモノになっちゃうんじゃないかナァ。
少し寂しいけど、それはそういうモンだろうね。

2007/10/24

「組織力を高める」「オーバーアチーブ」  

・「組織力を高める 最強の組織をどうつくるか」
著者:古田興司・平井孝志
出版:東洋経済新聞社
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・「オーバーアチーブ 組織力を高める最強の人材」
著者:古田興司
出版:東洋経済新聞社
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「ミドルリーダー研修」の二日目の講義の講師(古田興司氏)の著作。講義そのものも、この2作品をベースに行ったものだった。なかなか面白い研修だったので、「もう少し深堀りしてみたいな」と思い、購入してみた。

研修の講義は4時間弱だったんだけど、この4時間でほぼ作品の全てがカバーされてる感じだね。
とは言え、本書を読む価値がなかったというわけではない。さすがに触れられていない部分はあるし、論理をユックリ追いかけながら、自分のペースで読み進めることができるのは、頭の整理に役立つ。特に「組織力を高める」の方は研修では「どうも概念的過ぎて」と、講師の早口もあって(笑)、頭に入りづらい部分があったのだが、今回本で読むことで理解不足の部分をフォローできたと思う。
ま、「読んで終わり」の本ではなく、実践につなぐところに意義があるから、手元においておくことには意味があるだろう。

簡単に整理しておくと、こんな感じかな?

<組織力を高める>
「組織力」は「遂行能力」と「戦略能力」によって作られる。
この「組織力」を高めるためには、「主観性」と「使命感」に支えられたマネージャーが「戦略マインド」を持って、「オーバーアチーブ(期待を超える成果を出す人材)のためのリーダーシップ」を発揮しなければならない。

<オーバーアチーブ>
今後、「組織力」を発揮するには「期待を超えた成果を出す人材」=「オーバーアチーブ」=「ハイ・パフォーマー」の存在が重要である。
「オーバーアチーブ」になるためには、「気概」「着眼・解の導入力」「チームへの影響力」という3つの要件を満たさねばならない。さらにその状態を維持するには「学びの習慣化」「時間活用の工夫」「自己管理の工夫」が必要である。。
そして「オーバーアチーブ」を育てることがマネージャーにとっては重要な役割であり、そのために種々の工夫をしていかなければならない。

要約しただけじゃ何のことやらわかんないと思うけど(笑)、具体例も踏まえて提示される視点、提案されるスキルは、個人的には結構参考になるものだった。
僕自身のマネージャーとしての能力は棚に上げるとして(これは「得意技」(笑))、例えば「オーバーアチーブ」という考え方や、そうなるための方法論・スキルなんかは、担当者にも役に立つ概念じゃないかと思う。
僕が勤めている会社の人事制度にもこういう概念は含まれているんだが(「キャリア・プラン」とかね)、それをより効果的に活用するためには、背景となるこういう「概念」を頭に入れておくことは必要だと思うね。

ドラッガーの本を読んでると「個人としてレベルを上げていかなければならない」という点を感じるのだが、本書で著者が言ってるのは「組織としての人材教育」「マネージャーの役割の重要性」(勿論「学ばないことの罪」も強調しているが)。
ここら辺が「個人主義」の徹底してる社会との差かね。
勿論、日本社会の現状を考えると、コッチの方がリアリティがあるのは間違いないだろう。
ただ、「今後」はワカランよ。



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