2007/6/6

千利休 無言の前衛  

著者:赤瀬川原平
出版:岩波新書
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週末、妻と僕の母たちの会話に「茶道」の話が結構出てきた。裏千家、表千家と流派は違うものの、「共通の話題」として、それなりに盛り上がったりしていた。
そのことが何となく頭のどっかにあって、週明けに本屋に寄った際、ふと目に付いて購入したのがコレ。

とは言え、本書はオーセンティックな「茶道」や「千利休」の本ではない。
映画「千利休」の脚本に携わった作者が、その過程を通じて考え、感じた「千利休」やその思想について、自分なりのアプローチを記しているものだ。
大体、脚本を書くことになるまで、「歴史」に興味がなく、決まってからマンガの「日本の歴史」なんかで勉強しなおしているくらいだから、オーセンティックなモノがかけ書けるわけがない(笑)。

でもそうした作者のアプローチがかなり新鮮で、面白く読み通すことが出来た。
前半の、「芸術」と「日常」を繋ぐポジションである「前衛芸術」を失い、「路上観察」に辿りついた作者の「遍歴」が、「千利休」に繋がる(作者によれば「床下から千利休のお茶室に上がり込んでいった」)辺りはちょっとドキドキするようなところもある。「前衛」という視点から、「私が死ぬと茶は廃れる」という利休の言葉を解くあたりも興味深いものがあった。「韓国」にある利休の茶室や茶器のアイディアの元を訪ね、その影響と「乖離」を語る下りも面白かったナァ。

まあ「楕円の茶室」のあたりは「ちょっと観念的過ぎるんじゃないかな」と思わないではないし、後半やや横道に逸れ過ぎているようなところもあるんだけど、全体としては平易な自分の言葉で語りつつ、それでいて「千利休」の本質のようなものに迫っているんじゃないかと思える。(いや、僕自身は「茶道の何たるか」は分からないんで、何ともいえないんだけどね、ホントのトコは(笑))

適当に選んだ割には「いい本だったナァ」というのが、正直な感想。



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