2007/4/1

脚本家・橋本忍の世界  

著者:村井淳志
出版:集英社新書
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映画「砂の器」等で有名な脚本家・橋本忍の作品を取り上げ、橋本氏へのインタビューと作品の背景、更には作品が与えた影響なども視野に入れて書かれた作品。
取り上げられている映画は9本。

「七人の侍」「羅生門」「真昼の暗黒」「私は貝になりたい」「切腹」「白い巨塔」「日本のいちばん長い日」「八甲田山」「砂の器」

僕は「真昼の暗黒」と「私は貝になりたい」以外は観ているのだが、まあどれも日本映画の代表作と言っていい。改めてこれらの作品の脚本を書いている(一部は共作)「橋本忍」の凄さ・偉大さというものを思い知らされる。
日本映画の全盛期を支えたのには日活アクションのようなプログラムピクチャーの力も少なからずあっただろうが、やはりこうして並ぶ橋本作品の題名を見ると、その一方で確かに良質な作品を生み出す土壌が日本映画にあったのだということを再認識させられる。
「日本映画復興」と最近言われているが、その一本たりとも、先にあげられた作品を凌駕できるものがないのが現状だろう。

本書には橋本氏のインタビューが収められていて、作品成立の背景などがうかがえてかなり興味深い。作品が発表されたとき、それがどのような影響を社会に与えたのかとか、作品がどの程度現実を踏まえたものなのかを検証した辺りとか、ここら辺の視点にも面白いものがある。
しかしまあ、それを新書に収めるというのは、分量的にちょっと無理があるかな(笑)。確かに面白く、興味深いのだが、どうしても「駆け足」になってしまっているような気がして、食い足りなさが残る。視点はいいんだから、もっとジックリと書いてほしいなぁというのが正直なところだ。

映画の出来を決めるのは「シナリオ6分、キャスティング3分、演出1分」
というのは今村昌平の言葉らしい。
作品の製作から考えると、これには作品の枠組みを決めるプロデュースや企画の要素が入っていないので、そのまま当て嵌めることはできないが、出来上がった一本の作品の評価においては間違いないだろう。
今、かつての日本映画を凌ぐ作品が登場していないということは、色々な要素はあろうが、一つには「橋本忍」のような脚本家がいないということもあるのだろう。
新しい才能は次々と出てきている。ただ「何か」が足りないような気がするのだ。
寂しいことではあるがね。

2007/4/1

フィリップ・マーロウの事件  

著者:レイモンド・チャンドラー他
出版:ハヤカワ文庫
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チャンドラーの生誕100年(1988年)を祝って出版された現役ミステリ作家たちによる「フィリップ・マーロウ」を主人公とした短編の競演(最後にチャンドラー自身の遺作短編が収められている)。
「ロング・グッドバイ」を村上春樹は「ヒーロー物語」として訳さずに成功した。
「長いお別れ」だけでなく、チャンドラーの長編は「ヒーロー物語」から逸脱した部分が少なからずあるが、短編となると「ヒーロー物語」としての色彩が強くなる。
勿論、殆どの短編(遺作の「最後の事件」以外は全部)は発表時には「マーロウ」名義ではないし、パルプ・マガジンに発表されたと言う背景もあるだろう。だがそれに加えて、「短編」という形式でこの手の物語を描く場合、そうならざるを得ないと言うこともあるんじゃないかと思う。(あんまり「枝葉」に入っていくスペースがないからね)

本作に収められた作品の殆どは「ヒーロー物語」になっている。その理由はやはり「短編」という形式による部分が多いだろう。
それにここに作品を寄せた作者は、多かれ少なかれ「フィリップ・マーロウ」にシンパシーを感じているだろうからね。作者にとって「ヒーロー」の人物を描くんだから、それが「ヒーロー物語」になっても仕方がないだろう。
そして僕自身も「ヒーロー」として活躍するマーロウを楽しく読むことができた。

収められた(チャンドラー以外の)15名の作者のうち、僕が読んだことがあるのは8名。
多いのか少ないのか何ともいえないけど、読んだことがない作者の作品についても楽しい時間を過ごせることは間違いない。
ただ思っていた以上に「遊んだ」作品が少ないのは、チャンドラーに対する畏敬の念が深すぎるからかなぁ。個人的にはもう少しそういう「遊び」があっても良かったとは思うのだが。

2007/4/1

TBS vs 不二家  雑感

TBSの「朝ズバ!」で報道された問題について、不二家の信頼回復対策会議が異議申し立てを行い、双方の意見が対立している。

まあこの手の問題、「どちらの主張が正しいのか」は慎重な判断が必要なんだが、今回の場合ちょっと違うのは、当事者である「不二家」ではなく、第三者機関である対策会議が意見を出しているところかな。この機関は「不二家」にも結構厳しいことを言っているから、それだけに信憑性が高く見られるというところはある。(確かなところは分からんけどね)

僕は問題となっている「朝ズバ!」の放送も見たんだけど、見たときも、「廃業して欲しい」と言ったみのもんた氏の発言にはちょっと違和感があった。その根拠となる情報そのものが間違っていたとしたら、確かにコレはまずいだろう。
人気のある番組、影響力のある人物の発言だ。一企業の存続そのものに影響を及ぼしかねない発言だったと思う。単なる「みのもんた個人の感想」という訳には行かない。

朝の報道番組は民放のどの局も「バラエティ化」している。その中でも「朝ズバ!」はニュースそのものをネタにしているところが他局に比べて一歩突っ込んでいるところだろう。
それだけに見る者の琴線に触れる部分が多いのかもしれない。しかしそれ故に今回のようなことが起きてしまうと、その影響も大きいということだ。

それにしてもTBS。「またか」って感じですナ。
「あるある」で関テレは民放連を追放されたけど、さて今回の件でどうするつもりか。「実害」という点では今回の方が遥かに大きいと思うのだが。

あとは「みのもんた」の対応。
確かに報道内容についてはみのもんたが調べているわけじゃないだろうから、彼に責任があるわけじゃない。しかしその内容を伝え、インパクトを与えたのはみのもんただからね。「頬っかむり」っちゅうわけにはいかんだろう。
先週の放送では「触れずじまい」だったようだが、こういう時の対応に真価が問われるんだと思うんだけどね。



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