2006/10/11

金融史がわかれば世界がわかる  

「金融史がわかれば世界がわかるー『金融力』とは何か」
著者:倉都康行
出版:ちくま新書
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本書の中に「35歳ルール」という言葉が出て来る。これは「金融派生商品(デリバティブズ)の仕組みや運用を理解するには、35歳を過ぎた頭ではとても理解できない」ということらしい。
著者は、
「確かに難解な部分はあるが、最も重要なことはその商品や技術の本質は何かを知ることである。三五歳ルールを言い訳にしてデリバティブズへの興味を失ってしまうことは、現代の金融力への理解を諦めたことになるといっても過言ではなかろう。」
と指摘し、極力分かりやすく説明してくれるのだが、
…やっぱり僕には「35歳ルール」はあったようだ(涙)。

本書は世界経済の歴史的な俯瞰をする上で、「経済力」ではなく、「金融政策への信頼性、民間金融機関の経営力の強さ、市場構造の効率性、金融理論の浸透度、新技術や新商品の開発力、会計や税制などのインフラの強さ、お金の運用力、金融情報提供・分析力など」を総合的に評価する「金融力」という概念を創造し、その視点から世界経済の変遷、そして現代の状況、課題点を論じた意欲的な本である。
植民地主義や産業革命を背景として英国が「金融力」による覇権を確立し、二度の大戦を経て、その覇権が米国に移行。その後、金本位制が放棄され、米国の「経済力」が衰えを見せる中で揺らいだ覇権が、FRBへの高い信頼と、デリバティブズを始めとする多様性に応えうる金融市場を構築することで持ち直す流れ。更には「ユーロ」の登場により、覇権の二極化の可能性が窺える現状…。
…とまあ、この歴史的な流れはナカナカ面白い。
「日本経済は『世界第2位』の実力を持ちながら、なぜ世界経済の中核とはなりえてないか」
そこら辺も(「歴史認識」とか何とかじゃない理由で)何となく分かるようになっている。

そういう意味では非常にタメになる本だったんだが、そのなかで「現代」を語る上で欠かせない視点である「デリバティブズ」(本書でもそのためにワザワザ歴史の流れとは別に1章が設けられている)に関しての理解が及ばないという悲しい現実。
これじゃあ肝心のところを抜かしちゃったみたいなものだ。
誰か「35歳未満」の後輩にでも本書を読ませて、デリバティブズの内容を教えてもらおうかね?

ナンにせよ、「金融史」がわかんなかったので、「世界」は未だ謎に満ちている、というのが結論。

2006/10/11

有頂天時代  

「三谷幸喜のありふれた生活5 有頂天時代」
著者:三谷幸喜
出版:朝日新聞社
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このシリーズ、特段「大好き」というわけでもないんだけど、何となく全部読んでいる。
確かに三谷幸喜は好きだ。
「新選組!」はここ十年で唯一観た大河ドラマだし、「古畑」も(イチローほどじゃないけど)大好きな番組だった。機会がなくて舞台は観れてないんだけど、3本の映画はどれも「お気に入り」と言ってもいいと思う。

まあだからと言って、本業じゃないエッセイまで追いかけるほどかと言うと、そこまでじゃない気がするんだけどねぇ。でも事実として、シリーズ全部を読んじゃってるんだから、何だか「熱狂的ファン」みたいで、ちょっと気持ち悪い(笑)。

多分、この「ヌルさ」がいいんだろうな。
勿論、好きなドラマや映画の「裏話」も面白いんだけど、それ以上にダラダラと書かれているように読める日常の生活の様や、出会ったテレビ界や映画界、歌舞伎界の人々を「素人の目」で見たように描いているあたりが、「箸休め」的読書に向いているのだろう。(簡単に見えて、こういう風に書くのは結構大変だとは思うが)

あとは何と言っても「和田誠」の挿画。
三谷幸喜も認めてくれると思うが、本書の価値の半分はソコにある。

とは言え、価格「1,100円」で、往復の通勤時間で余裕で読了できる分量。
チョットもったいないかな(笑)。



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