2006/10/5

邪魅の雫  

著者:京極夏彦
出版:講談社ノベルス
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ノベルスで2段組800ページ強という長さ・・・。持ち運びするのが面倒なシリーズ(笑)。

推理小説の場合、登場人物が多少なりとも「間が抜けている」のは構造的とも言える。まあそうじゃないと探偵の「明晰さ」が際立たないからね。
ところがこのシリーズの場合、その「間の抜け方」が頭抜けている登場人物が次々出てくるんだよなぁ。そんでもってその「間が抜けている」理由を滔々と述べ、その「間抜けな」内面描写をグダグダ延々とやるもんだから、ドンドン話が長くなる・・・。
そんなものを読んでると、途中で苛々してきて、「このシリーズに付き合うのも、今回限りかなぁ」などと、最近の数作を読んでるときは毎回思うのだが、話が後半に入って、榎本名(迷)探偵やら京極堂やらが登場して、話が展開し始めると目が離せなくなり、一気に読み上げてしまうんだよな。そんでもって「スッキリ」したカタルシスが忘れられなくて、また新しい作品が出ると、読んじゃう、と。(割とストーリーはすぐに忘れちゃうんだけど)

本作も最後の200ページくらいは出張で京都に向かう新幹線で読んだのだが、少し寝ようと思っていたのに、読み出したら一気にラストまで行っちゃった(笑)。そういう点からすると楽しめるシリーズであり、作品であったと思う。(新作が出たら、また買っちゃうね、これは)

しかし考えてみたら悲惨な連続殺人事件の「動機」が、何だか少女漫画じみた「嫉妬」だからねぇ。
「これだけの分量を読まされて、それかよ。何だかなぁ・・・」
と思わないでもないな。

(本書の中盤で登場人物の一人がこのシリーズの「謎解き」の基本的構図をネタバラシしている。作者自身がバラしているだけあって(笑)、これはなかなか整理された内容。
しかしそういう作品の「裏側」そのものをネタにしちゃうあたり、ちょっと押井守の「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」を思い出したりした。
ま、本作はあの映画ほどのラディカルさはないけどね)



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