2006/7/27

戦後政治の総決算  雑感

ココのところ妻は、妙に読書が進んでいる。読むものがなくなって、普段なら手にも取らない安倍晋三の「美しい国へ」まで読んだりしている。
その読後。
妻「この人、総理になったら絶対、憲法改正するね。トンデモナイ!」
僕「まあ、そう簡単にはイカンと思うけど、半世紀以上経ってるんだから、見直してもおかしくないんじゃない?」
妻「そんなこと言って、息子が戦争に行くようになったらどうすんのよ!」
僕「・・・(それは飛躍し過ぎちゃう?)」

今週は僕のの母が上京してきているのだが、新聞を読んだ後、ポツリと一言。
母「分祀、ブンシって言うけど、一度、靖国神社に祀られたら、神さんを分けるって言うのも変でしょうに。お国のために亡くなられた人やし」
僕「戦死した人と、戦争を指導した人とを一緒に祀ること自体が問題なんじゃないかなぁ。僕は釈然としないけど」
母「死んでしもたら、皆、ホトケさんよ」
僕「・・・(神と仏がゴッチャやがな)」

我が家の戦後政治の総決算は、なかなか多難なようである。

2006/7/26

最近のBGM  音楽

最近、ちょっと読書録が多くなっていて、かつ一本一本が短めなのはちょっとした事情がある。
ま、そこら辺は追々と思っているのだが、久しぶりにCDを一枚。
Fried Prideの「Musicream」。
クリックすると元のサイズで表示します
Fride Prideのことは前々から知っていて、多分アルバムは全部持っていると思うのだが、正直、「ちょっとヴォーカルが力入りすぎ?」ってな感じで、僕の中では「聴きはするけど、勧めはしない」というポジションだった。
でも何かこの一枚ははまったんだよネェ。最近の通勤のBGMになっています。
興味あったら、聴いてみて下さい。ポップスのカバー(「君の瞳に恋してる」とか、「リバーサイドホテル」とか)がメインだから、入りやすいと思うよ。

2006/7/26

情と理<上・下>  

「情と理<上・下>カミソリ後藤田回顧録」
著者:後藤田正晴
出版:講談社α文庫
クリックすると元のサイズで表示します

一世代、二世代前の官僚・政治家のレベルが如何に高かったかが良く分かる一冊。
何となく「政治家」というと、「口だけ」というイメージが個人的にはあるだが(笑)、なかなかどうして、知識、見識、腹の据わり方、どこをとっても感心せざるをえない(まあ後藤田さん個人だけかもしれんが)。直前に安倍晋三氏の著作を読んでいただけに、ちょっと考えさせられた。(やっぱ「軽い」わ。安倍さんは)

個人的には後藤田氏の立場には賛成できるものばかりではない。それに、理念を貫くか、政治的な対処(妥協、撤回等)をするか、その線引きの部分が、少し政治的な方向に寄りすぎているような感じもする(まあ「政治家」だからね)。ただその底にあるのは、利権や権益、自身の権力拡大などではなく、現実主義者としての処し方であるというところはハッキリしていて、不浄な感じはしない。
警察時代、後藤田氏は大衆運動を取り締まる立場にあり、その点で種々の軋轢も生んでいる。少し前なら僕自身も「後藤田は右翼的だ」と思って反発していたところだが、当時のことを色々知るようになり、なかなかそんな単純なことではなかったんだな、と思うようになった。少なくとも後藤田氏の言う、「自国の軍隊が自国民に銃を向けるようなことがあっては絶対にならん」との信念から自衛隊の介入に断固反対した経緯は、日本の戦後にとって大きなプラスになっていると思う。

しかしまあ、こういう経歴、考え方の人が、今の日本の状況では「リベラル」に位置づけられるというのが(解説は「筑紫哲也」だし)、社会全体の右傾化を反映しているようで、何とも言えんね。

2006/7/22

出口のない海  

著者:横山秀夫
出版:講談社文庫
クリックすると元のサイズで表示します

作者が苦労してた時代にマンガ原作として書いたものを、小説に仕立て直した作品らしい。まあそれにしても、マンガにしては内容が暗い・・・(笑)。
よく調査されているし、ストーリーも面白く、感動もできる内容になっている(映画化されるくらいだから)。ただ作者の他の作品に比べると、個人的には一歩劣る印象だ。

一番のポイントは「視点」だろう。僕が読んだ横山作品の多くは「三人称」で書かれているが、そうでありながらも物語の「視点」(誰の立場に沿ってストーリーが展開するか、ということ)には相当計算されたものを感じることが多かった。連作短編が多い警察ものもそうだし、「半落ち」なんかはそこに作品の妙味があると言ってもいい。

それがこの作品では今ひとつなんだよね。
導入部で主人公のことを謎めいた人物として挙げておきながら、本編に入るといきなりその主人公の心情をあからさまにした展開となり、終盤再び主人公の心情が伏せられ(遺書でのみ明らかとなる)、エピローグとなる。
他の作者の作品を知るだけに、この構成の「揺らぎ」はすごく気になった。元がマンガ原作だけに仕方がない部分はあったのだろうが、題材が面白いだけに惜しい気がする(例えば「半落ち」のように、主人公に接した人物の視点を通して、主人公の心情が明らかになるような構成にすれば、もっと引き立った作品になったと思う)。

ま、楽しんだんだから、どーのこーの言わなくてもいいんだけどね(笑)。

2006/7/22

美しい国へ  

著者:安倍晋三
出版:文春新書

ここ数日の報道によると、福田氏の総裁選出馬がなくなり、ポスト小泉は安倍氏の独走状態に・・・ということのようだが、まあ政治は「一寸先は闇」だからね。ただ安倍晋三が今の日本の政治家の中で重要なポジションを占めていることは確かだろう。

本書はそういうタイミングで出版されたミエミエの一冊(笑)。「マニフェスト」と言うには具体的な詰めの部分が今ひとつだが、思ったよりは結構具体的なことにも触れられていて面白かった。「映画」や「小説」等を引き合いに出すケースも多く、読みやすい構成にもなっている。(ちょっと媚びてる感もあるが)

個人的には「安倍晋三」については「顔と姿勢が今ひとつ」というところなのだが(笑)、大筋では同意できる部分が多かったのは意外の感があった。
ただ「米国のイラク侵攻際して、『大量破壊兵器』を根拠としたことに対する評価」「イラク戦争の際の民間人拉致に関する『自己責任発言』」「中国の反日運動や、韓国の反日的な動向」等について、コメントがなかったり、あまり触れてなかったりするのはどうかな。
また「靖国神社参拝問題」については、戦争指導者と戦死者を微妙に混同して論じたりして、正面から応えていないのも気になった。祖父である岸信介の評価についても、この点はコメントすべきだと思うんだがね。

本書の発売日に、A級戦犯合祀に関する昭和天皇の発言メモが公表された。ある程度は知られていた内容とは言え、このタイミングでの発表には何か裏があるのかな、などとも思ったりした。
いずれにせよ、この戦後を何らかの形で捉えなおす作業が求められているということか?

2006/7/22

緋色の研究  

著者:アーサー・コナン・ドイル、日暮雅通・訳
出版:光文社文庫
クリックすると元のサイズで表示します

シャーロック・ホームズの記念すべき初登場作。
長編なんだが、ホームズの長編のパターンとして、2部構成になっていて、1部が事件の経過、2部がその背景となる(歴史冒険小説風の)ドラマとなっている。
でもこの「2部」が苦痛なんだよね(笑)。論理と科学を主とするホームズのドラマはあまり風化していないのだが(とは言え、印象ほど「科学的」でも「論理的」でもないんだが)、「歴史冒険小説」の方はスッカリ古臭くなっちゃってるんだよ。
まああまり厚い作品ではない(文庫で200ページ余り)ので、何とか読み通したがね。(本作の発表は1879年。この時代にはアメリカ合衆国は「後進国」だったのが良くわかる。「2部」はその「野蛮な国・アメリカ」が舞台だから。でもここで描かれてる「モルモン教」ってどの程度史実に基づいているんかね?「一夫多妻制」やら「復讐の天使たち」やら・・・。「モルモン教」っちゅうと、お恥ずかしながら、「ケント・デリカット」のイメージしかないモンで)

ところで本書の題名の由来は、
「人生という無色の糸の束には、殺人という緋色の糸が一本混じっ
ている。」
というホームズの台詞から出ている。スッカリ忘れてたけど。

2006/7/19

灰色のピーターパン  

「灰色のピーターパン 池袋ウエストゲートパークY」
著者:石田衣良
出版:文藝春秋
クリックすると元のサイズで表示します

TVドラマ化もされたI.W.G.P.シリーズの第6弾。
この作者の作品は前々から気に入っていたのだが、どうも直木賞を受賞して以来、マスコミの露出も激しく、「何だかなぁ」って感じもあって(ちょっとナル?)、最近は新作からも遠ざかり気味であった。ただこのシリーズは1作目から続けて読んでいるので、少し迷ったんだけど、購入した。(TVシリーズのDVDボックス持ってるくらい気に入っているシリーズだからネェ)

このシリーズの構図はロバート・B・パーカーのスペンサー・シリーズを真似ていて、法の内側にいる主人公(マコト/スペンサー)と、法を破ることも辞さない相棒(タカシ/ホーク)の対峙が妙味となっている。「クール」担当の「タカシ/ホーク」が魅力的に描かれているのも同様だね。
ただスペンサー・シリーズに比べるとコッチのコンビは若い分、(「甘さ」もあるけど)ビビッドな感じがして、僕は気に入っている。

作品としては(その「若さ」故かもしれないが)理想主義的なところもある。本作でも「野獣とリユニオン」での加害者と被害者との和解や、「池袋フェニックス計画」での外国人労働者への視線に強くそこら辺が窺うことができる。
「被害者感情重視」や「外国人犯罪者への反発」の流れの中で良く書くなぁというトコロだが、作者自身の心情は案外保守的なところに近いんじゃないかと思う(「法」を超えた対処をする「タカシ」の存在を許容しているあたり)。その心情のフレを理性で振り戻しているところで作品を構成する・・・そんな感じじゃないかな?
このバランス感覚は現在の「リベラル」に求められるところであり、僕自身も共有できる感覚。
「甘い」と思いつつ、このシリーズを見捨てられないのには、そこら辺もあるんだよね。

2006/7/16

ウルトラセブンには鼻がない。  雑感

息子に「ウルトラセブン」を描いてやっていて、ど〜もその出来具合に違和感があった。
まあ書き手の腕の問題はあるのだが、「仮面ライダー」や「ウルトラマン」の方はさほどでもないので、これはやはり僕自身の記憶に問題があるのであろう。

…と言うことで、トイザラスでセブンのフィギュアを見て、ビックリ!

「ウルトラセブンには鼻がない!!!」
クリックすると元のサイズで表示します

…41歳になるまで気付きませんでした。

2006/7/16

日本のいちばん長い日 決定版  

著者:半藤一利
出版:文春文庫
クリックすると元のサイズで表示します

戦後保守党の流れを一覧したので、その原点である「8月15日」のドラマを…という訳でもないんだけど、癖になるね、ノンフィクションは。

「8月14日」から「8月15日」にかけての日本におけるドラマチックな群像劇を描き出した本書は、既に「傑作」との評価が定着している作品と言えるんじゃないかな。随分昔に読んだのだが(その頃はまだ「大宅壮一・編」だった)、その時も「凄い」と思ったし、今回も一気に読み上げてた。歴史に対する知識や、人間に対する経験を重ねた今回の方が、読後感は深かったかもしれない。
それにしても僅か「1日」の間に、こんなドラマがあるとは!!

少し前に読んだ本に沿って言うなら、日本の「ポツダム宣言受諾」は、ヒーロー型決断を昭和天皇が下し、それを現実化するために鈴木総理が静かなリーダーシップを発揮した、と言えるかもしれない。「歴史的」観点からは、この二人の決断と行動にこそ重要な意味があるといえるだろう。
ただ本書の焦点はそこにはない。
その「決断」を受け、それを徹底することに努力するもの、覆すために足掻くもの、確たることは分からずに振り回されるもの、それらの群像が本書の中核をなしている。
その中でも重視されるのは、陸軍の「最期」を全うするために自刃する「阿南陸相」と、反乱に決起する「畑中少佐」だろう。彼らの行動に対して、著者の筆は、客観的であろうとはしながらも、情を移らせた描写を見せるときがある。筆者の立場は、組織としての「陸軍」には強い批判を持ちながら(日中戦争を泥沼化させ、太平洋戦争に突入した経緯における陸軍の役割 等)、個人としての「軍人」には共感を寄せる部分がある、というところだろうか?
正直言って、ここら辺は僕には違和感があるのだが(権力を握った者として、「軍人」にも強い責任はあるし、個人の身の処し方によってそれが免責されるわけではない)、まあそれでもここに描かれた何人かの軍人の姿の中には心を打つものもある。
「行動する」ことがその感動を生み出すのだろうか。
本当の苦悩と責任を背負った決断は、行動しなかった存在(昭和天皇)にこそあるのだろうが…。(と書くと、右翼的すぎ?笑)

本書を読むと、「ポツダム宣言の受諾」が際どいドラマだったように思える。
ただ歴史の流れの中では、これは「必然」に近いものだったのだろう。例え反乱が成功したとしても、より壊滅的な打撃があったにせよ、大筋での流れは変わりようがなかったと思う。
だが歴史の一点にあってはそのようなことは分からない。だからこそ人々は足掻き、それを後世から俯瞰するとき、本書のような哀感に満ちた作品が出来るのだと思う。
「大和」作るより、これを再映画化したらよかったのに(笑)。

2006/7/15

うつうつひでお日記  コミック

著者:吾妻ひでお
出版:角川書店
クリックすると元のサイズで表示します

僕の中・高時代、「吾妻ひでお」は、「メジャー」とまでは行かなくても、「知る人ぞ知る」という存在だった。それがまさかこんな変遷を…と言うのが、前作「失踪日記」。
まあ何たって、家出、ホームレス、アル中、肉体労働者(ガス管工)、うつ病…(順不同)という具合だからネェ。「失踪日記」自体はあまり陰鬱なムードのない作品なんだけど、描かれていることはハードな世界であった。(いやはや、奥さんがよく我慢したよ…)

本作で描かれているのは「失踪日記」時代以降、まがりなりにも社会復帰して、「失踪日記」が発売されるまでの時期。正直言って、な〜んのドラマもないので、「吾妻ひでお」に興味がない人には全く面白くもなんともない作品(笑)。
劇的展開を期待するなら「失踪日記」をお薦めします。ま、あれはあれで、「劇的」過ぎて、ちょっと現実感がないけど…(笑。「傑作」なのは確か)

本書を読んで実感したこと。

「偉大な人に『読書家』は多いが、『読書家』が偉大な人とは限らない」

この時期、吾妻ひでおは一日2冊くらいのペースで本を読んでたらしいけど、まあ彼の人生、褒められたモンじゃないことだけは確かだからね。



teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ