2006/6/30

気楽な稼業  雑感

僕が勤めている会社の定期異動は7月1日付。
今回、僕の異動はなかったんだけど、一番長く在籍していた部下が転出するので、その引継ぎやら何やらに加え、同期や先輩、後輩の送別会も重なって、この一週間は「酒漬け」の日々であった。
そんでもって、来週は今度は歓迎会があって、オマケに出張まで、という状況で、なかなか身体を休める余裕がない。

しかしまあ普通に営業があって、その一方でコレだけ宴席があって、それでも会社は回ってるんだから、
「サラリーマンは気楽な稼業」
ってぇのも、的外れじゃないような気がするヨ(笑)。

2006/6/30

王になろうとした男 ジョン・ヒューストン  

著者:ジョン・ヒューストン  訳:宮本高晴
出版:清流出版
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「『マルタの鷹』『白鯨』『アフリカの女王』など不朽の名作の制作秘話に加え、赤狩りに抵抗した不屈の反逆精神、ヘミングウェイ、サルトルなど芸術家たちとの友情、五度も結婚した波瀾に満ちた生涯を素直に語ったハイウッド・メモワールの最高傑作!」という帯のアオリ通りの作品。
一つ一つが小説や映画の題材になるようなエピソード(実際、クリント・イーストウッドが「アフリカの女王」の撮影現場をモデルにした映画「ホワイトハンター、ブラックハート」を作ったりしている)が次から次に披露され、2段組430ページを飽きずに読ませる。登場人物も多彩で、名前を知ってる有名人がゴロゴロ出てきて、楽しませてもくれる。
まあ個人的にはもう少し個々の映画現場の話や、俳優の話なんかを読みたいなぁって気持ちもしないではないんだけど、それはジョン・ヒューストンに言わせれば、「終わった話。映画を観てくれ」ってことなんだろうね。(これ以上、長くなっても困るし)

かなり強烈な人生を送っているヒューストンだが、案外「まとも」という感じもする。「赤狩り」に対するスタンスなどは、「まとも」であるが故、孤高を保たざるを得なかったみたいなところもあって、その男気には感心させられる。
ご面相はとてもプレイボーイに程遠いのだが(笑)、5回も結婚して、愛人も数知れずというモテッぷりは、ここら辺に起因しているのかもしれない。あんまり「羨ましい」とは思えんけど。

僕はハンフリー・ボガートのファンで、ボギーの最良の作品「マルタの鷹」と「黄金」を監督していることだけでもヒューストンは尊敬している。ほとんどの人類が観ていると言う「カサブランカ」は確かにボギーの代表作だが、完成度の点では遠くこの2作には及ばない。この2作は「ボギー出演作」ということを考慮しなくても、ほぼ「完璧な映画」だけどね。

ジョン・ヒューストンの「人生がやりなおせるものならどうするか?」に対する回答。

自分の子供たちともっと多くの時間を過ごす。
金を使うのはまず金を手にしてからにする。
きつい酒ではなくワインの楽しさを覚える。
肺炎になったらタバコは控える。
五度めの結婚はしない。

2006/6/25

ツレがうつになりまして。  コミック

著者:細川貂々
出版:幻冬舎
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例によって、「My Wife's Choise」。
「新聞の広告で見たんだけど、『元気が出る』って感じだったんで」
ということで購入したものの、読後の感想は、
「このネタは重過ぎる」(笑)。

確かに。小ネタで結構笑えはするんだけど、全体としては深刻すぎて笑い飛ばせる感じじゃない。
「ダーリン・シリーズ」の小栗左多里のトーンで、ネタとしては吾妻ひでおの「失踪日記」ノリで…
ってトコかもしれないが、「失踪日記」はあまりにネタが凄すぎて、逆に現実感が捕らえらえられなくて笑えたが、本作で取り上げているくらいの「うつ病」だとリアリティがあり過ぎるんだよね。実際、近い経験をしてる人間も何人か知っているし…。

個人的にはあまり「うつ」に近しい性格ではないと思っているのだが、こればっかりは、ねぇ。「ウィルスが原因だ」という説もあるくらいだから(科学的根拠があるのか知らんが)、自分や家族に無縁な病だとは断言できまい。

と言う訳で、何だか「その時」のための「心構え」を読まされたような気がしている(笑)。
真面目で、悪い作品じゃないけどね。

2006/6/25

ヤバい経済学  

著者:スティーヴン・D・レヴィット、スティーヴン・J・ダウナー、訳:望月衛
出版:東洋経済新報社
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かなり面白い本だった。ハードカバーなんで、2,3日はもたせようと思ってたんだが、面白いんで一気に読み上げてしまった。(早起きしてみたサッカーがあんまりなんで、途中から読書に切り替えたというのもあるが)

エッと思うようなこと(「中絶緩和が犯罪減少に役立った」)、やっぱりと感じること(「相撲における八百長」「KKKの力の源泉」)、ふ〜んて感じのこと(「麻薬売人の経済」)、「そうかもしれんが…」と思わせること(「子供が上手くやって行くには『親が何をしてやるか』ではなく、『親がどういう人間か』が重要」って、…ねぇ)色々載っているけど、どれも「話」として面白い。「経済学」と言いながら、殆ど数式なんかは登場せず、「数学オンチ」の僕にでもチャンと理解できる内容になっている。

個々の内容について当否を判断できる知識は僕にはないが、「物事を少し違った視点で見ると、案外スッキリと説明できる論理が見つかったりする」というのが本書の意味なのかもしれない。「文系の論理」って訳。
結論が割りと「常識ハズレ」になってないあたりに、逆にその論理の妥当性を見るような気がする。

ま、グダグダ言わずに楽しめば良いんだけどね。

2006/6/22

環境問題のウソ  

著者:池田清彦
出版:ちくまプリマー新書
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「環境問題」は現代人にとって目を背けることのできない問題だと思っている。ただそれが「環境保護運動」になったとき、何となく疑念が兆すことがあるのもまた事実。
こういう点を判断するには正確な情報が必要なんだが、専門的過ぎて、チャンと問題点を把握できないことも多いんだよな。この手の本ならそこら辺も簡単に書いてくれてるかな、と思って購入した一冊である。

小さいところや「煽る」ようなスタンスには「?」でもあるが、大筋では納得できる内容だった。「二酸化炭素による温暖化」「ダイオキシン」「外来種」「自然保護」に関する主張が展開されているのだが、知ってることもあれば、始めて知ることもあり。でも総じて自分の考えを整理するには役に立ったような気がする。

作者自身も人間が環境を無闇に変えてしまうことには注意喚起してるんだよね。むしろ「利権」等によって歪められた保護運動に対する批判の側面が強い。
二酸化炭素の排出については、例え温暖化に繋がらなくても排出システムそのものに問題はある(例えば化石燃料)ので、「誤った情報でも環境保護が進めばいい」というマキャベリズム的な思考が、あるいは環境保護推進の中にはあるのかもしれない。ただ現在は情報の取得へのハードルが低くなっており、そういう手法は、底も割れやすくて、成り立ちにくくなっている。そうなるとその戦略は効力半減してしまうので、それ以上に「利権」によって歪められてしまうことのほうが問題として浮き彫りになってしまうと言えるだろう。
「情報をオープンにする中で、真っ当な運動をするしかない」ってことか、結局は。

2006/6/22

クライマーズ・ハイ  

著者:横山秀夫
出版:文春文庫
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横山秀夫の作品では「第三の時効」が一番の出来と思っていたが、世評に高いだけあって、この作品が(読んだ中では)作者の最良の作品と言っていいだろう。
組織の中で、組織の論理と閉塞感、惰性に囲まれ、足掻きつつ、自分を立てようとする人物を描くのが抜群に上手い作者だが、その技量は本書でも遺憾なく発揮されている。奥歯が軋るような展開の中で、不意に差し込まれる日航機事件に関わった者の生々しい想い(例えば現場からの「一報」や、被害者の「遺書」)が、不意に読む者の心を突き動かす。
ラスト近く、引き絞られた矢が放たれたような瞬間のカタルシスは何ともいえなかった。

まあ読み終えれば「仕掛け」っぽいところで色々気になるところも多いんだがね(息子との和解を示すシーンも。グッとは来るんだけど、チョット出来すぎだろう)。ただそういう感想を超える「熱さ」がある作品だと思う。

本書は札幌に向かう飛行機の中で読み終えたんだが、何せ日航機墜落事故を題材にした作品。悪天候で大揺れの飛行機だったので、かなり怖い思いをさせてもらった(笑)。

2006/6/19

「決定的瞬間」の思考法  

・「『決定的瞬間』の思考法 キャリアとリーダーシップを磨くために」
著者:ジョゼフ・L・バダラッコ  監訳:金井壽宏  訳:福嶋俊造
出版:東洋経済新報社
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「ビジネス書」なんだけど、HOW TO本でも、人生訓でもなくて、哲学的思考をビジネスシーンに持ち込んだ、少し毛色の変わった本。
「『正しいこと』と『正しいこと』の間での選択の重要性」を説き、具体的な3つの例(「マイノリティ故の優遇への対処」「優秀だがシングルマザー故、十分に能力が発揮できず、組織にもしわ寄せをもたらしている社員の解雇問題」「反発も含め、社会的に影響力の大きい新商品の販売」)に即して深掘りして、なかなか興味深い論を展開してくれる。

「重大な選択には人生観が顕われ、それを通じて人生観が構成される」
まあ考えてみれば「当たり前のこと」なんだが、こんな風に詳細に語られると、改めて気付かされることも多い。個人的には「哲学」に弱いので、古今の哲学者の思想を豊富に引用した論の展開にも魅了された。
ビジネスにも勿論活かせる内容だが、広く一般的にも十分に興味深い内容を持っていると思う。「リーダー」論というのは、突き詰めれば「人間哲学」の話になるからね。

でもすぐに役に立つようなことが書かれている訳じゃないんだよね。要すれば「日々勉強」ってことかも(笑)。

2006/6/18

至福のとき  雑感

溜まっている代休の消化と、「父の日」を兼ねて、16日に休暇を取って、一泊二日の旅行に行ってきた。
基本的に僕は「温泉」に行きたかったので(なかなか一歳児を連れては行けないからねぇ)、その手の雑誌から「露天付き個室」をベースに、部屋で食事が取れる宿をピックアップ、ネットで評判などを確認して、予約した。

予約したのは「高原のホテル ラパン 別館『森の月』」
じゃらんの口コミで評点が「4.5」前後だったのが最大の要因だった。

ホテルの場所は嬬恋、まあ軽井沢にあるので、ホテルに入る前に「軽井沢おもちゃ王国」(平日なのでガラ空き。幼児には十分の施設で、「プラレールの部屋」で息子は狂乱状態に陥っていた)などに立ち寄り、5時過ぎにホテルに入った。

いやぁ、いいホテルでした。
部屋としては「和室+ベッドルーム+小ダイニング+半露天風呂」。雰囲気も抜群だし、従業員も、変に洗練されてなくて、誠実さが伝わる気持ちのいいサーブをしてくれる(これは本当に気持ちよかった)。「幼児連れ」なので、ホテルに入ってからは殆どの時間を部屋で過ごしたけど、全く息苦しくなく、リラックスすることが出来た。

夕食は6時半から、地元の食材を中心とした創作フレンチ。まあ「滅茶苦茶絶品」って訳じゃないけど、素材がチャンとしていて、堅苦しくもなく、楽しく美味しく食べることが出来る。息子用の「お子様ランチ」も頼んでいたのだが、こちらも美味しかったらしく、息子としてはナポリタン初体験で完食していた。
コースとしては結構量があって、9時くらいまでかけてタップリ食べる感じだった。
…となると普通であれば、息子の入浴に困るところだが、ここはダイニングつきの部屋。
食事の途中、ダイニングを出て、息子を風呂に入れちゃったりなんかもできるわけだ。
ま、マナー上は問題大アリだが(笑)。
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メインの前に息子と露天風呂を楽しみ、メインは浴衣姿でいただいちゃったりした。

翌日の朝食もダイニングで食べたのだが、これもサラダをメインにしながら、ドッサリ食べるものが出てきた。それが全部食べれてしまうのは、やはり美味しいからだろう。
野菜もそうだが、やはり軽井沢。パンが美味しかったのが嬉しい。

食事前に親子三人で露天風呂に入ったりして、ノンビリと高原の朝を楽しみ、ちょっと飲み会続きで疲れていた身も心も解きほぐして、ホテルを後にした。
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ホテルの従業員が車を誘導して路に出てきて、ズッと頭を下げて見送ってくれるのが、ちょいと気恥ずかしかったが(笑)

親子三人(といっても一人は幼児だが)で、夕朝食つきで「約6万円」。
まあ安くはない遊びだが、満足度はかなり高い。何より一時もジッとしていない幼児を抱えて、これだけノンビリと出来るのは特筆すべきだろう。(まあ難点は、クレジットカードを使えないことかな)
僕としては(ちょっと貯金して)秋の軽井沢にも訪れてみたいナァなどと思ったりした休暇であった。

2006/6/17

代表的日本人  

著者:内村鑑三  訳:鈴木範久
出版:岩波文庫
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「武士道」(新渡戸稲造)、「茶の本」(岡倉天心)に並ぶ、日本人の文化・精神を欧米人向けに記した明治の作品。文明開化後の日本人や日本の劇的な変容(特に大正以降、戦後)を反映しないこういう作品を読めることは喜ばしいことだが、一方でそういう作品に感銘を受けると言うことに、日本人としての自分の欠落を見るようであり、複雑なものも感じるのも確かだ。

本作は正確な「伝記」というのと違う。例えば「上杉鷹山」の生涯など、ここで描かれたような順調なものではなかったことは、藤沢周平の作品を読めばすぐに分かる。
つまり本書で描かれている「人物像」は、内村鑑三の思想を反映した「人物像」なのだ。そしてその「人物像」が魅力的に見えることが(ま、「西郷隆盛」の侵略主義的な部分なんかはいただけないが)、本書の「価値」なんだろう。
ケネディ大統領が「最も尊敬する日本人」として「上杉鷹山」を挙げたのには本書の影響があるはずだが、それも納得できる。

ちなみに本書は95年の「新訳」。お蔭で読みやすい、読みやすい(笑)。
同じ岩波文庫の「武士道」を読むときは、内容よりも「訳文」を読みこなすのに苦労したもんなぁ。
ただここには日本文化や精神だけではなく、言語においても急速な変容を被っている日本人の姿があると言えるのかもしれない。
単なる僕の勉強不足に過ぎんかもしれんが(笑)。

2006/6/13

ロハスの思考  

著者:福岡伸一
出版:ソトコト新書

妻はちょっとミーハーなところがあって、その傾向から「『負け犬』的ミーハー」と密かに僕は呼んでいる(笑)。「LOHAS(Lifestyles of health And Sustainability)」も彼女が我が家に持ち込んだものだ。

でも案外僕はこれはこれでいいんじゃないかなと思っている。
「ロハス」という言葉は(本書でも指摘されている通り)ある意味「マーケティング用語」なんだけど、別な視点から見ると、商業主義を排除しない視点だとも言える。この高度消費社会で商業主義を完全に排除してしまうことは、それ自体が社会的に許容される「幅」を狭めることになってしまう。
「ロハス」という考え方は、一方で過度な環境保護主義には一定の距離を置いており(その点は本書でもハッキリと述べられている)、この点も僕の感覚にフィットするところがある。
まあ悪い取り方をすると「いい加減」なんだけど、そこがいいところだとも思うのだ。(勿論、単なる流行で終わってしまう可能性もかなり高いけどね)

本書は「ロハス」に関する概念書というよりは、個々の事象を「ロハス」という視点から考えてみたという形式の本。狂牛病について、そのメカニズムと検査方法を延々と専門用語つきで記述されたのには参ったが、「食」や「水」に関して述べられていることは割りと勉強になった。
全部を理解しようと思うと、結構大変かもしれないが、「まあこんなもんかな」と読んで行く分には、考えの整理に役立つ本と言えるだろう。
巻末の対談も、短いんだけど、なかなか楽しめた。
坂本龍一の「ロハスぶり」にはちょっと驚かされたな(笑)



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