2006/2/18

硝子戸の中  

著者:夏目漱石
出版:岩波文庫
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…と言う訳で、早速「夏目漱石」(笑)。
夏目房之介が一番好きな作品として挙げていて、僕は読んだことがなかったので、買ってみた。ま、随筆だし、薄い(岩波文庫で140ページ足らず)からね。

「硝子戸の中」というのは、この頃、病気がちで家にいることの多い漱石が、家に居ながら色々なことに思いをめぐらせ、執筆するというスタンスからついた題名。
そこに正岡子規の晩年を重ねるのは無理のある想像ではないだろう。そんな記述は一つもないが、この題名を考えたとき、根津の小さな部屋に伏せながら、広大な世間に対峙した子規のことが思い浮かばなかったはずはない。

しかしまあ、漱石と言うのは徹底して「小説家」なんだなぁ、というのが読後の感想。
確かに本書は「随筆」ではあるのだが、取り上げられた題材やその記述はどうしてもドラマチックになってしまう。いや、大したことのない話でも、漱石の筆に掛かると、「短編小説」のような出来栄えになってしまうのだ。
鏡子夫人の「漱石の思い出」で後日談が暴露されているらしい自殺願望の女性の話なんか、後日談を考えれば「笑い話」なのだが、本書の中における「完成度の高さ」は、そうした「事実」そのものを度外視させるくらいのモノになっている。
ラストの締めなんか、なかなか書けるもんじゃないよ。
(もっともその完成度の高さゆえに、随筆としては今ひとつ「近寄りがたい」感じもするのではあるが)

ところで、過去僕が夏目漱石を読むときは「新潮文庫」を選んでいた。最初に買ったのが新潮文庫だったからなのだが(確か「三四郎」。「坊ちゃん」は家にあった選集でよんでいた)、紐のしおり(?)が付いているのと、表紙が渋くて気に入っていたのだ。
ところが久しぶりに手にとってみると、表紙に「絵」が入るようになってるんだなぁ。
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まあ悪くない「絵」ではあるんだけど、ちょっと気分じゃない。
で、今回は「岩波文庫」を買った次第。活版が少し薄くて気になるんだけど、新しく付いた表紙はコッチの方がズッといいからね。
格好で本を選ぶわけじゃないが、存外これは重要な視点です(笑)。



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