2006/1/8

国家の品格  

著者:藤原正彦
出版:新潮新書
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雨後の筍のように出版されている反動保守の道徳本の類の気がして避けてきたのだが、かなり売れているようなので、「話題づくり」のために読んでみた。
で、読後の感想。

「意外にマトモ」(笑)

少なくとも本書の主張の大筋は賛同できるものであった。おそらく作者が持っている歴史観や道徳観には僕と相容れないところもあるとは思うのだが、それでも現在の日本や世界を語る切り口も、そこから考えられる日本にとって必要な処方箋についても頷けるところが多かった。

まあ色々あるんだけど、要は「教育」。
特に「教養」を蓄積したエリート層を構成するために、「読書」の習慣が重要だと言うのは、全く仰るとおり。常々僕もそう思ってきた。
柱として「武士道精神」を、というのも良くわかる。「神道」や「皇室崇拝」を持ち出すよりはズッとまともだし、意味もあると思う。

「民主主義」や「平等」「自由」の跋扈に疑念を呈しているのもナカナカ爽快だ。「民主主義」においては、三権分立の上に「マスコミ」が位置してしまうと言う分析も至極尤もだと思う。

まあ問題はこれをどうやって現状に反映させていくのか、という点だろうなぁ。作者自身は単なる「戦前保守への回帰」では無意味であることを十分に認識していると思うが、利用する側にはそういう短絡的な輩が出てきそうな気がする。「旧制中学」「旧制高校」への言及は、食いつきやすいしね。

まあいずれにせよ、本書が高い問題意識の下に戦略的に書かれていることは確か。「品格なき筆者による品格ある国家論」と自分でコメントしているが、この「品格のなさ」は現状への「挑発」であろう。
そういう意味では効果的な挑発が出来たのではないかと思う。
後はどういう波紋が広がるか、だ。



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