2010/10/28

読書録「小惑星探査機はやぶさ物語」  

・小惑星探査機はやぶさ物語
著者:的川泰宣
出版:NHK出版生活人新書

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「宇宙戦艦ヤマト」の最終回。
イスカンダルへの旅を終えようとする沖田十三は、館長室から広がる地球を見て呟く。
「地球か…。何もかも、みな懐かしい…」
…そして息絶える。
苦難の旅を終え、地球への帰還目前にしながら、地球の土を踏むコトなく…。

「はやぶさ」帰還を巡る一連の出来事に接し、僕が思い出したのは、このアニメのラストだった。
(個人的には、「誤診」はなかったことにしてるのでねw)
「はやぶさ」は大気圏突入前、宇宙から見た地球の姿を写真に収め、地上に送信している。
大気圏突入によって「はやぶさ」は燃え尽きてしまう。
その「はやぶさ」が最後に送って来た「地球」の姿。
それが沖田十三が死の直前に眺めていた「地球」姿に重なっちゃったんだよねw。

何とおセンチな?

確かにねw。
ただこの写真は、「はやぶさ」計画の川口プロジェクトマネージャーの、こんなセリフから、予定外に撮られたらしい。

「最後に、はやぶさくんに地球を見せてやりたい」

確かに、そう言いたくなるドラマが「はやぶさ」旅にはあるんだよね。
フィクションであるヤマトの苦難の旅に重なる程のサ。

最近の出来事でこの「はやぶさ」の帰還と、チリの炭坑事故からの脱出は、「科学」の、プラスの価値を強く印象づけてくれたトピックだったと思う。
特に「はやぶさ」には、日本技術の誇るべき現状のようなモノが集約されていて、安全志向に囚われるあまり、チャレンジングな姿勢を失いつつある現在の日本に異義を申し立てるようなところがあった。
一度その「旅」についてまとまったモノを読んでみたいな、と思ってて、新書の本書を選んだ訳だ。
作者はJAXA所属している人物。
内部からの視点だと身内に甘くなるってのはあるかもしれないけど、全体の概要を知るには、丁度いい分量の作品なんじゃないかね。

作者自身、閉塞感と安定化志向に覆われた現在の日本の状況には憂慮しているようであり、そうした視点からのコメントがソコココに散見される。

〈今の日本を見ると、どうしてもやりたいという気持ち基づいて動いているのではなくて、決められたものをいかに安全に守って行くかという考えに基づいて動いているように見受けられます。壁を打ち破ることができない感じがあり、どうにも窮屈です。
人間ですから、壁があると気持ちが萎えてしまうこともあるでしょう。しかし、自由な発想や型にはまってない考え方がないと、今の日本にある壁は打ち破れないのではないでしょうか。
「はやぶさ」こうした壁をほんとうに打ち破ってくれるものだったと思います。〉(p.188)

まさにね。
そしてソレを風化させないように語り継ぐこと。
これも重要だ。
本書の位置づけはそこにあるのではと思っている。

美麗な写真も収められてて、ナカナカいいんじゃないですかね。



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2010/11/7  19:33

 

小惑星探査機 はやぶさ物語 (生活人新書 330)(2010/10/07)的川 泰宣商品詳細を見る

秋葉原の書泉ブックタワーにはやぶさ関連本が並んでいたので、一番安かった本書を購入したのであった。
内容が面白か... 



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