2009/11/11

生命保険のカラクリ  

・「生命保険のカラクリ」
著者:岩瀬大輔
出版:文春新書

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通販生命保険会社「ライフネット生命」副社長が著者の作品。
なんだか題名だけを見ると「暴露本」っぽいけど、隣接業界に身をおく僕から見れば、割と「その通り」って感じなんだよね。
だから一般の人がコレを読んでドレだけショックを受けるのかは、正直ちょっと分らない。
ただ非常に分りやすく、整理されて書かれているので(加えて、キチンと細かいところにも目配りされている)、1・2年目の後輩には「推薦図書」としてお薦めしとこうかな、とも思っている。

個人的興味は、こうしたネット商品と、ライフコンサルティングがどのように連携していくのか、ってところに興味がある。
その点は本書にもこんな指摘がある。

<ネットや通販のような手数料が安い保険会社は事業経費が安い分、対面営業によるきめ細やかなサービスはない。その分を、安い保険料として顧客に還元しているからである。したがって、割高の保険料を払っても手厚いサービスを望むのか、あるいは自分でいくらか手を動かすことで、その分の保険料を浮かせるか、その「選択」が迫られているわけである。>(P.100)

こういう点を理解し、自ら考え、最初に加入するときだけでなく、自分のライフステージに変化が生じたときには、都度自ら保険内容の見直しを行えるような、保険リテラシーの高い人間にとっては、コスト対効果を考え、ネット通販生保を活用するのが合理的な選択肢であろうとは思う。
しかし大半の一般の人はそうじゃないんだよね。
「家を買うのに続いて、人生で二番目の高額商品」
なんだから、その購買コストを考えるのは合理的だとは思うんだけど、なかなかそんな風にはなれない現実がある。

作者も語る。

<生命保険という目に見えない、必要性も効用もすぐに感じることができない商品には、長くて複雑な購買プロセスが伴うものであり、何らかの形で「人間の関与」が不可欠であることは、よく理解している。>(P.225)

営業職員制度の弊害や限界は十分に承知しているが、この「人間の関与」の部分が営業職員に担わされていたと言う構図なんだよね。
それをどう変革していくか。
「生保商品」の改革と同時に、この「販売経路」の改革も重要だと思うし、個人的な興味はそちらにある。

まあ現状では、こういうのが一番合理的なのかな。

<いまの時代、本当にかしこい消費者であれば、来店型の代理店に行って無料でプランを作ってもらい、それを自宅に持ち帰って、割安な通販やネット系で同じ内容の保障をオーダーすることだろう。>(P.232)

しかしこれでは消費者は「自らアクションを起こす」必要がある。
かつ「ライフプラン」という長期での対応が求められる中、「来店型の代理店」が長期間にわたって、責任を持った対応ができるのかに不安もある。
また「ライフプラン」の場合、保険で備えるだけではなく、他の金融商品や貯蓄での対応と言う選択肢も重要なのだが、「来店型代理店」が自らの収入に直結しないアドバイスをしてくれるかどうかというのもあるだろう。

「保険料を安く引き下げ、その削減されたコストで、第三者的なアドバイスを購入する」

こういうサービスがあれば一番いいんだろうけどね。
個人的にはFPに期待するところもあるんだけど、現状だとナカナカ大きな流れになりにくいかなぁ。

「答え」があるわけじゃないし、「答え」を作者やライフネット生命に求めているわけでもない。
ただライフネット生命の一石は、そういう未来への道の一つを拓いてるんじゃないかと、個人的に感じてる次第。

面白い時代になってきた、とも言えるかな。
まあ従来型の営業職員さんは大変だろうけどねぇ。



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