象棊攻格 第50番
本局は非常に美しい趣向詰である。
持駒の歩12枚から察せられるとおり例の銀のスリ上げ歩連打趣向である。
ところで本局はこれが2回、しかも1回目のスリ上げと2回目のスリ上げを相接した別の筋で行うのが面白い。
離れた筋での2回スリ上げは例がないこともないが、最初の追い落としが5筋で、2回目が6筋で行われるのは例が少なく珍しい。
手順は全然難しくない。紛れのあるのは導入部だけで、初手6九馬から5九銀が良い手順。この後すぐ趣向手順に入る。
第1回の追い落としは4一歩成により香を入手するためである。第2回は41手目5七香により玉が6筋に変り、角を持駒に入手し、その打場所を得るための追い落としである。
手順は古来より習いある筋であるが、それを2回実現した点に言い知れぬ巧みが感じられる。

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