将棋妙案 第76番
「智恵の輪」シリーズで古来正式に題名のついているのは「金・銀智恵の輪」の二作だけであるが、本局は名付けるならば「二枚馬智恵の輪」。
二枚馬を互い違いに駆使して、斜めの階段を上がったり下がったり二往復の愉快な趣向詰である。
往復運動の意味(鍵)は、
(1)9六馬と桂を入手
(2)その桂を2四桂と打ち、同桂、同桂、同銀と収束に入る工作をし
(3)収束に備えて7九桂と捨て、同龍と守備駒を移動し
(4)2三馬捨て、同玉、2四金以下収束に入る
という構成である。
大模様のわりに構成は単純であるが、「智恵の輪」シリーズの一翼を担う興味深い作品である。
趣向局にかかわらず、本局のように実戦型の桂香配置や、自陣成駒の不自然さが極めて少ないのは、作風を示す一端である。
残念ながら、平成12年5月12日に早詰が発見された。

0