将棋妙案 第75番
本局は名付けるなら「歩智恵の輪」である。
三段目に5三歩、6三歩、7三歩と並べ打って玉を8筋に追い、7二歩成、6二歩成と成り捨てて玉を5筋に呼び戻す。これを2回繰り返すのである。
一往復するたびに持ち駒の歩を3枚消費するから、完全な無限軌道(千日手の局面)ではないが、手法は「智恵の輪」である。
一回目は玉を8筋に追い、9三桂を入手して『9四歩』と根拠地を作り、ついで5筋に追い戻して19手目で邪魔になった馬を『2五馬』と捨て、続いて『8八飛』同馬と守備駒を移動し、詰上がりの6五桂を実現する。
「智恵の輪」構想を歩の連打に展開した興味深い趣向詰である。

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