将棋無双第15番
本題は、「持駒が歩なら詰むが飛だと詰まぬ」という不思議な作品である。そこで攻方は巧妙な手順で持駒の飛を歩にスリ変えるのが本題の狙いである。
「持駒が強すぎて詰まない」というのは、打歩詰と関係がある。問題は7手目の局面。ここでもし持駒が「歩」なら7三馬、同玉、8三飛、6四玉、6五歩、5四玉、4四角成、同香、5五歩、同玉、5三飛成以下簡単に詰む。
ところが、あいにく持駒は「飛」なので同じ手順ではうまくいかない。
すなわち、7三馬、同玉、8三飛、8四玉、6五飛、5四玉と攻めると、6五飛が強すぎて、次の5五歩が打歩詰になってしまうのである。
さかのぼって、4手目の8四の合駒。どうせ取られるのだからふつうなら弱い駒(桂)を使うところを、玉方がわざと飛車を合駒して抵抗したのが問題の局面である。「持駒が歩なら詰むが、飛なので詰まない作品」の逆用である。
そこで攻方は、獲得した持駒の飛車を歩と交換するように工夫する。
それが9二歩成から9三馬の手順で、9三同玉に9五飛で9四歩合を強要し、飛と歩の交換を図る。虚々実々の攻防である。

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