将棋舞玉 第1番
『将棋舞玉』の巻頭を飾る力作である。
本局の主題は、3手目1六馬、同飛と1五飛を移動しておいて、この飛車に狙いをつけて2七角と遠角を打つ。玉方は3六角合と強防する一手で、これを同角、同飛としてから再度2五角と遠角を打ち、3四角合を強要し、同角、同飛と移動させる。このくり返しで玉方飛車を5四に移動し、5筋の打歩詰を打開する壮大な構成の傑作である。
九代宗桂は『将棋図巧』第一番の遠飛車のくり返しにヒントを得て、この遠角・角合のくり返し趣向を創作したものと思われる。アイデアはオリジナルでないとはいえ、遠角で取れる飛車を取らずに移動させて打歩詰を打開する構想の実現は至難で、遠角の合い間に歩打ちと歩の成り捨てをからませて、鮮かな構成に仕上げた。
しかし、18手目4三角合以下不詰である。
補正図として北原義治氏より玉方5六歩配置が示されていたが、三手目5三桂不成以下早詰があった。

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