「この本にはランプシェードの作り方もコッパーテープの使い方も書いてありません・・・」という前書きから始まる本書はフランス国立工芸美術学校ステンドグラス科で学んだ志田政人さんと草間幸子さんの2人の共著です。ヨーロッパの伝統的ステンドグラスである鉛線と絵付け技法の手順を豊富な写真と丁寧な解説で紹介しています。136頁。日貿出版社刊。
SGS品番 MB224: 2,940円
第1章ではステンドグラスの絵付けパネルの制作手順を流れに沿って紹介しています。
(1) 採寸
(2) 原画
(3) 製図
(4) 拡大
(5) トレース
(6) 型紙作り
(7) ガラスについて
(8) ガラス切り
(9) ガラスの色あわせ
(10) 炉について
(11) グリザイユによる絵付け
(12) 焼成
(13) 組み立て(鉛桟組み)
(14) ハンダ付け
(15) パテ詰めと仕上げ。
第2章、3章、4章はそれらの技法によるパネル制作の実例(プロジェクト)です。
===ヨーロッパの伝統的なステンドグラスでは===
・なぜダイヤモンドカッターを使うのか。
・ルーターを使用しないのはどうしてか。
・アメリカタイプやラウンドでなくフラットタイプ(プロ用)鉛線なのか。
・パネルの周囲に使う鉛線もなぜH型なのか。
・絵付けの焼成温度は何度が適当かという問いに正解がないのか。
・液体フラックスはなぜ使用しないのか。
・格子組みの時、なぜ鉛線で1本の直線を使うということをしないのか。
・市販の速乾性のパテをどうして使用しないのか。
読むうちに、こんな疑問も次第に分かってきます。
これまで主にランプや小物を制作してきたという方にも鉛線(桟)による伝統的な絵付けステンドグラスの世界の深さを伝える貴重な技法書と言えるでしょう。個人的には「こんなことまで紹介しても良いの?」ということが多く、やや驚きです。それだけに、伝統技法を多くの方に知ってもらいたいというお二人の著者の誠実さがよく顕れていると感じました。Iとありますので、続編のIIの計画があるのかも知れません。楽しみです。
なおSGSでは、ご紹介の書籍のほか、本書に紹介された下記工具・資材を取り扱っています。
ドイツ製職人ハサミ(2mm)、ダイヤモンドカッター、マルトリンヌハンマー、鉛線用ナイフ(ひょうたん印)、白パテ、プロ用鉛線、絵付けセット、グリザイユその他。またサンゴバンやランバーツのアンティークグラスは取寄せになります。

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