先日東京国際映画祭で上映された森岡監督の「子猫の涙」を観に行きました。
六本木ヒルズの映画館に行くのは初めてで、きれいで洒落た雰囲気に
驚きました。無茶苦茶で何をやってもうまくゆかないけれど、人間み溢れ、
愛情深い憎めないメキシコオリンピックメダリスト森岡栄治さんの生き方を、
しっかり者でかわいい娘治子の目を通して描かれていました。観る方も映画の
登場人物と同じように彼の自由な生き方に振り回されつつも不思議と、
ボクシングで世界に感動を与え、不器用に家族や回りの人を愛し、味のある
生涯を生きた彼を愛おしく感じてしまう物語りでした。
他にも子供を捨て去り葬式で泣き崩れた妻や、借金で生活を追われ弟に
すがる兄の姿などそれぞれが不器用で人間くさく描かれて、だからこそ
言葉や眼差しが心に響いてきました。時々、大阪の町の生活感ある路地裏、
団地、河沿いの風景が温かい印象で映し出され、ノリのよい関西の笑いの
テンポもあり、過激でハラハラする部分がありながらほっと心温まる
作品だと思いました。審査員特別賞を受賞され、実際に存在した
森岡栄治さんという人間の生涯をを知ってもらう為にもこれからも
もっと多くの人に観てもらいたい映画だと思いました。

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