長々と続けてきた「突然小樽・2007初夏」シリーズも
今回が最終回です。
「港が良く見える場所」というイメージを持って訪れたのが住吉神社です。
ところが近づくにつれてちょっとした不安が…。

緑が濃くなるこの季節…鳥居の向こうは鬱蒼とした森。
森の中から果たして港は見えるのかしら?
まずは頂上の拝殿を目指します。
暑くてたまらないのに先は長いです。

歩きながら昔の色々なことが頭をよぎりました。
住吉神社の例大祭は「小樽まつり」と呼ばれるだけあって
昔は多数の露店が出て賑わっていました。
子供の頃は、自分の町内会のお祭りでもあったので
欠かさず(というか期間中毎日!)行っていました。
近年は露店も激減して淋しくなったようですが
それでも小樽の代表的な神社の一つであることには変わりありません。
昔は鳥居を入ってすぐにおばけ屋敷があって
その隣に見世物小屋がありました。
おばけ屋敷は、単純な怖さで好きでしたが
見世物小屋はなんだか物悲しい怖さがあって見ることができませんでした。
当時(1970年代前半?)は傷痍軍人が義足や義手を見せつけながら
ハーモニカやアコーディオンを演奏しながら
物乞いをする姿が多く見られました。
彼らはきっと、国のためと信じて戦った末の負傷なのに
なんの補償もなく働くこともできないために
プライドを捨てて物乞いをしていたのかもしれませんが
当時の私にはちょっと許されない気持ちもありました。
その頃は母方の祖母と一緒に行くことが多かったのですが
その祖母は、戦争で夫を亡くし
残された小学生の息子と乳飲み子の娘(私の母)を必死に育ててきました。
食べ物にも困るような時代に死ぬ気で働いて来たんです。
そんな祖母の苦労を知っている私は
「うちのおばあちゃんの方がもっと大変だったんだから!」と思い
物乞いをする傷痍軍人が甘ったれに感じていたのです。
…そんなことを思い出しながら階段をのぼり
わずかながらの賽銭を入れて拝みました。
そして、振り返ると…

不安は的中…広がった木々が視界を遮り港はほとんど見えません。
それでも薄い水色の空と濃い水色の海…水平線が見えます。
階段をおりながらもう少し良く見えるポイントはないかと探しましたが…

良く見える場所は見つからないまま終了です。
港が見えなかったのは残念でしたが
階段をのぼりながら、忘れかけていたことを思い出したり
色々と考える時間ができたことは良かったと思います


0