「もう1曲やろっか」とYasakaは言った。
Emilyもすぐうなずいた。
そして、この日のライブの本当の最後の曲「Wonderful World」が演奏された。
7月16日、この夜、ライブが行われたシャンパンブランチはpop popにとって初めてライブを行う場所だった。
数カ月前、ちょっとした事がきっかけで、二人が1曲演奏したのをお店の人がとても気に入ってくれた事から始まった今回のライブイベントは、お店のスタッフの宣伝の甲斐あって予約で満員、ついに入れ替えまで行うほどの盛況振りとなった。もちろんpop popもそれにこたえて1ステージしか聞けない人の事を思い、通常よりもセットリストの曲数を多くしてそれに応える事にした。
夜8時、ほぼ定刻通りにライブはスタートした。今夜のライブでもEmilyは生声で歌った。シャンパンブランチの店内にEmilyの歌声とYasakaのつま弾くLivの音色が溶け込んでいく。一番前に座っていた女性はずっと目を閉じてEmilyの声に聞き入っていた。奥の席に座っていた男性はYasakaのギターの音色を楽しんでいた。
ライブはエヴァリ−・ブラザーズの「Let it be Me」のカバーで一旦幕を閉じたが、すぐにアンコールを求める拍手がわきおこったので、アンコールナンバーとして「Don't know why」が演奏されてライブは終了した。誰もが笑顔でいっぱいの顔をして「また見に来るよ」と二人に声をかけて帰って行った。
しかし、この日のライブはここで終わっていなかった。
お客さんのほとんどが帰ったあと、店内にはpop popの二人とお店のスタッフ、そしてスタッフの知り合いの女性二人だけが残っていた。予想以上に忙しかった一日をやっと終えかけてお店のスタッフが客席でpop popと話していた時にYasakaが何やらEmilyに耳打ちしたあと、お店のスタッフに声をかけた。
「今日、お店が忙しくて二人はゆっくりライブを聞く時間もなかったから
よかったら今から二人だけのために1曲演っていい?」
pop popの二人にとっては、ある意味この日誰よりもライブを聞いてほしかったのはお店をきりもりしていたスタッフの二人だった。二人がお店のお客さんに「pop popっていう素敵な歌を聞かせてくれる人たちがいるんですよ」と宣伝してくれたからこそ、今夜のライブでたくさんの人たちと出会えたのだ。
でも、ほんとは今日のライブを誰よりも心待ちにしてくれていたのは、お店の二人だった。だから二人にゆっくり座って聞いてもらいたかった。
そして、この日、本当に最後の1曲「Wonderful World」が
お店をのスタッフ二人へのお礼として演奏された。
曲が終わると、二人が「一日の疲れがふっとんだ」と言わんばかりの
とびきりの笑顔をpop popの二人にくれた。
誰もが素敵な時間を過ごせた夜だった。
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-1stage-
1. Ol' 55
2. Big Yellow Taxi
3. In My Life
4. Feel Like Makin' Love
5. God Only Knows
6. Turn Me On
7. Wonderful Tonight
8. Loving you forever
9. Will You Love Me Tomorrow
-2stage-
1. Close To You
2. We've Only Just Begun
3. Yesterday
4. L'ete
5. Beast Of Burden
6. You send me
7. Don't think twice It's alright
8. What's going on
9. Let it be me
-encore-
Don't know why
-bonus stage-
Wonderful world

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