ライブはいつだって同じではない。同じ場所で同じ曲を演奏したとしても同じライブにはならない。ライブの空間にはいつもいろいろなフィーリングがある。そのフィーリングがその日のライブを変えていく。あるいはそのフィーリングの波に乗らないとそれはライブではないとも言えるのだ。
この日の「Helpless」はいつもよりぐっと静かで、それでいて引き締まった表情を見せたし「Takin' it to the Street」ではYasakaが“サラ・マクラクラン・トーン”と呼ぶEmilyのファルセットがスキャットを奏でた。新曲「Mother's Little Helper」のカバーではこれまでのpop popのライブでは見られなかったアップテンポな演奏が繰り広げられた。Yasakaが「ジプシー・ジャズのような熱いスウィング感をイメージした」アレンジはスペインで生まれ、フランスで育ったEmilyの情熱的な一面を引き出しpop popの新しい一面を見せた。
しかし、そのどれもが最初から予定されて用意されたものではなく、この日の夜のSonicBrewの中にあったフィーリングに呼応して出てきたものだった。そしてそれを象徴していたのが「What's Going On」の演奏だった。
曲を弾き始めたその手を止めてYasakaはステージからお客さんのひとりに声をかけた。「せっかくだから、踊りませんか?」声をかけられたその男性は照れくさそうに前にでてきてたが、yasakaが「What's going on」のイントロを弾き始めると、そのリズムに乗って楽しそうにソウルステップを踏みながら踊りはじめた。その楽しそうに踊る姿につられ他のお客さんが手拍子を打ち出した。Emilyが歌いだす頃にはあたたかい空気と笑顔がステージと客席を包んだ。
曲が終わった後の大きな拍手には、そのあたたかさが現れていた。
=== SET LIST ===================================
1stage
1. Come together
2. The Weight
3. Helpless
4. The Stranger
5. Woo Baby Baby
6. Will You Love Me Tomorrow
7. Let it be Me
2stage
1. Takin' it to the streets
2. Beast Of Burden
3. Yesterday
4. God Only Knows
5. Loving you forever
6. Mother's Little Helper
7. Wonderful world
8. What's Going On
-encore-
In My Life
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