コレクションに是非とも加えたかった、地球堂模型の「ジープ」です。
模型店での展示品であったようで、45年ぶりに倉庫から出てきたもののようです。
未走行のようでしたが、それなりに、経年の傷みや埃は蓄積されています。
日々、これらの傷みは進行しますので、最優先でレストア〜フレッシュアップに取り掛かりました。他にも宿題は溜まっていますけど・・・^^;
まずは、細部を注意深くチェックしながら、バラしていきます。
一番の注意は、ねじ山を潰さないように、CRCやマイクロバーナーを使いながら慎重に行うことと、不注意な破損をしないようにすることです。
ネジは、大方錆びていて、また、ネジのピッチも旧JISですので、再利用できるものと、交換を要するものを、区別しなければなりません。
ゴムやプラスチックは、常々劣化は避けられませんが、ラッキーかな、タイヤは表面に少しひび割れが見られるものの、ホイールを外すと、45年ものとはいえ、内面はきれいで、エアー漏れも無く、弾力も十分にありました。
しかし、シャーシやギア類のサビや埃のこびりつきは思った以上に見られます。
ボディー、タイヤ、シャーシ、ギアボックス、デフ、前後のサスリンク などにわけて、各々を構成するパーツを外して、必要に応じて、洗浄〜サビ落とし〜ポリッシュ・塗装をしていきます。
【ボディー・シャーシ】
スチールでできたボディーのサイズは50cm以上大きく、サンドブラストが使いづらく、塗装剥離が大変です。シャーシも50cm以上ありますが、なんとかサンドブラスト内で、四苦八苦しながら、吹き落とし、あとは真鍮ブラシでクリーニングしました^^;。塗装の剥離は、ホームセンターで売っている、塗装薄利用のスプレーや剥離剤を使用して、古い塗装を剥がしていきます。剥離スプレーは、吹きかけて、数分すると、薄皮のように浮き上がってきますので、スパーテルや真鍮ブラシ、ピンセット・割り箸などをつかって、はがれしていきます。細かい場所は剥離剤を筆で塗布しますが、剥離剤は乾いてしまうと再び固着してしまうようですので、部分部分に分けて塗り、乾く前にふき取る方が無難です。
しかし、下地が錆びていると、剥離スプレーでも容易にはがれませんので、真鍮ブラシやサンドペーパー(600〜1000番くらい)で、根気よく落としていかねばなりません。
きれいに落とせたら、一度、お湯で洗って、直ぐ、パーツクリーナーで水分を除去し完全に乾かします。このままでは、再び表面が酸化していきますので、直ぐ、サーフェーサーを数回吹いてコーティングしておきます。ちなみに、タミヤのサーフェーサー(グレー)が2本半必要でした。これで、一安心です^^v
サーフェーサーがしっかり乾いたら(まる2日くらい)、早めに塗装します。
今回のカラーは、タミヤのTS-70(陸上自衛隊・オリーブドラブ・艶消し)をチョイスしました。ちなみに、4本半くらい必要でした。在庫分6本買っててよかった^^;
シャーシとバンパーの方は、スプレーブラッセン(ファインケミカル)でもいいかと思ったのですが、艶消しよりも、若干艶があった方が良い感じなので、エンジンカラーのブラック(完全な艶ありではなく、半艶で、耐グロー燃料でもあるし、シャーシには良い感じです^^v)を使用しました。
模型用の缶スプレーは幾種類かありますが、塗料のきめの細かさや吹き付けた時の塗料ののり具合や仕上がり具合など、やはり、タミヤさんが秀逸ですね。せめて、1本300円くらいか、容量が倍くらいなら言うこと無いのですけど、、、。^^; 使いきりのために、この量なのかもしれませんが、大型模型用にお徳サイズも出して欲しいです^^。
【タイヤ・ホイール】
タイヤは、MK製の100x36という大型スケール機用バルーンタイヤが使われています。
このサイズのものは今は無いのでしょうか? 直径75mmはあるのですが、100mmは見当たりません。 探し当てたら、予備にストックしておきたいと思います。
45年経過とはいえ、エアー漏れやフラットスポットや変形も無く、表面のかすかなヒビ割れだけとは、立派な材質です。
アーマーオールを塗って、一度水洗いして乾かしてから、ゴムスプレーを吹いておきます。
ゴムスプレーは、いつもの「PLASTI DIP」。少しお高いですが、仕上がりは絶品です^^v
ホイールはアルミ製で、4種類のパーツから構成されていますが、油や汚れがこびりついていました。サンドブラストで汚れを落とし、ステンレスカラーコート(ファインケミカル)を吹いて仕上げておきます。
【ラジエター・ギアボックス〜デフ周り】
とても立派なラジエターが付いていますが、このラジエターだけでも、大変貴重です^^。
上と下にタンクがあり、間のフィンをはさむ形で、真鍮やアルミ、スチールから出来ています。上のタンクにキャップが付いていますが、内部にはサビは出ていませんでした。ラッキーです^^v。
フィンが曲がらないように配慮しつつ、サンドブラストで処理して、サビ止めのオイルを塗っておきます。
面白い動力伝達方式で、『エンジン・動力伝達ピニオン〜スパーギア〜ギアボックス(クラッチ・2次フライホイール・ブレーキ)〜ユニバーサルリンク〜リアデフ』となっています。
エンジンとフライホイールの間に動力伝達ピニオンを挟んで取り付けますが、このピニオンと29エンジン用のフライホイールが欠品でした。
スパーは、「歯厚3mm・47T・基準円半径36mm・ボス部5.5mm」ですが、ピッチが不明です。概算で0.75と断定^^;。ピニオンは、歯車屋さんに既存のものを加工してもらい、ハブは自分でカットして取り付けることにしました。しかし、この加工オーダーが、ただ内径5mmを7mmに広げるだけなのに、結構高い^^;。自分でボール盤で加工すると、中心軸がずれそうです。しかし、これが無いと意味がありませんので、やむなくオーダーです。ちなみにこのピニオンは、「0.75ピッチ・16T・歯厚8mm・内径7mm・基準円半径12mm」です。ハブの部分を2mm程残してカットして、ジャストフィットでした^^v。ピッチが合っててよかった〜^^;。
ギアボックスに内蔵されているクラッチシステムも面白い構造です。
エンジンから伝達された回転の遠心力で、3本のオモリの爪が傘のように広がり、この動きがコアをギアボックス内の2次フライホイールに押し付け、デフへ駆動が伝わる仕組みになっています。
3本の爪の根元には、コイルスプリングがあって、この締め付け具合で、広がる回転数を調整できるような感じです。
グリスが劣化して固着し、一部サビが出ていましたので、ボックス内は全てばらしてクリーニング・グリスアップして組み上げます。
クラッチプレートはコルクではなく、レザーでした。
デフは、2ベベル式のデフです。ケースは真鍮ブラシでクリーニングして、内部のグリス(ホルマリンを含んでいたのでしょうか?、きつい臭いでした@@;)は劣化していましたので、きれいに除去して、再びヘビーグリスを注入・密閉して組み上げます。
【諸々のパーツ】
付属の地球堂製機械式サーボ、ヘッドライト周り、テールライトまわり、エンジン(ENYA29W)、ハンドルやスイッチ、写真にはありませんが、ごついリンケージと、キャンバストップの幌などなどです。
サビ落としやクリーニング、ポリッシュや塗装が必要です。
ENYA29Wは未使用でしたが、内部のグリスが固着していましたので、こちらも分解洗浄オイルアップです。
ヘッドライト用のランプも生きています^^v
サーボは、地球堂模型の謹製でボート用ですが、当時はかなり高価なものだったようです。
ジープには、操舵用にN-50型。エンコン・ブレーキ用にD-100型というものが使われていました。
付属していたサーボは、操舵用のN-50型は、サビでボロボロです。モーターはマブチの15Rというタイプで、プラのピニオンともストックを持っておりますので、交換は出来そうです。
エンコン・ブレーキ用は、ほぼピカピカです。
しかし、偶然にもオークションで、両サーボの普及型(ジープ用は少し加工してある)を譲っていただきましたので、代用可能です^^v
これらのサーボだけでも大変貴重です。
【シャーシの組み上げ】
仕上がったパーツをサクサクとくみ上げていきます^^v
楽しいです^^v
あとは、ボディーのパーツ(ヘッドライトやスイッチ、ハンドル、幌など)の装着、リンケージとサーボの設置などです。
サーボは、この地球堂模型製の可動は難しいので、実装させるならちょっと工夫が必要そうです。
たとえば、『現在の小型サーボとマイクロスイッチを使って、この地球堂模型のサーボのモーターの正逆回転をコントロールする』といった具合です。
ボディーを装着しながら思案してみます^^v
ボディーを、仮載せしてみようと思いましたが、どうも標準のENYA29エンジン用のマフラーではボディーの内側の前輪のタイヤハウスと干渉します。資料を見ると、マフラーのマニホールド部分が極端に短いようです。マフラー本体から5mmほど残してカットしなければ、ボディーが被さりません。悩んだ挙句、いいものを見つけました。当時のOSエンジンのパーツに、20FP・25FP用のユニバーサル・サイレンサーというのがありました。排気口のサイズはピッタリ^^v。しかし、マフラーの取り付けネジの穴(3.5mm)をマークの位置に開けなければなりませんが、装着してみると、まさにジープ純正品のごとしです^^v。
欠品パーツに、動力伝達ピニオン以外に、フライホイールの先端に付ける、ファンプーリーがありませんでした。はじめ、ゴムホースを切ってナットにかぶせるようにして代用?していましたが、かっこ悪い^^;。いいものはないか探していましたら、ありました^^v
POPナットというものです。板に穴を開けて、このPOPナットを差し込み、かしめると、固定用のナットが容易に装着できるというものです。材質は色々ありましたが、加工を考えアルミを選択。片方にはネジが切ってありましたが、エンジンのネジは7mmでピッチは1.0。7mmというネジのものはなく、結局、フライス盤で6.5oに広げ、7oのタップを切って一見落着です。ウレタンベルトを作って、そこそこの収まりです^^v
ラジコン技術2008年12月号『馬庭貴彦コレクション ノスタルジック・シリーズ@』に、地球堂模型のJEEPが掲載されていますが、ラジコン技術1972年4月の臨時増刊号「ラジコン・カーの作り方」と、モデルジャーナルの0978年3月号にも、記事が掲載されていました^^*

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