新聞の人生相談を読んでいたら、こんなのがあった。
「娘が、夫からいきなり離婚を言い渡された。傷心の娘の姿を見て親としては納得がいかず、腹が立つばかり。他に好きな人が出来たから、慰謝料100万円で離婚してくれというが、それを受け入れようとする娘に親として何をしたら良いか。」というものだった。
回答としては、「娘さんの気持ちを第一にして親は協力するだけにしなさい。腹立たしい気持ちに任せて親が話を進めては、娘さんが傷つくだけです。…」
それを読んでいて自分の親のことを考えた。
私は正式に離婚する前に、借金だらけで生活できなくなったのに疲れて、最後の賭けでというか、疲れを休めたい気持ちで子供を連れて実家に帰った。
実態を知った父親は、それきり私を家から出さず帰れないようにした。そのお蔭で私は自分の仕事を全て捨てる事になった。
思うに、親の立場になると非常識と思われる事も親の常識には勝てないのだ。
だって、父親が経営する店でアルバイトしている学生が学校の行事や急用で休んだりしようものなら、「非常識だ。もっと早くに言ってくれないと都合がつかないではないか。」と怒り心頭なのに、自分の娘を守るためには、娘の仕事を勝手に辞めさせてもなんともないのだから。それは、当たり前の事になってしまう。
確かに、生活費を稼いでこない事も一種のDVになるから、仕事を捨てても自分と子供を守るために全てを捨てても、責められないよとカウンセラーの人に言われたけど、その言葉が安心感に変わるためには「自分で決めて仕事や今までの生活を捨ててきた。自分自身で。」というステップが必要だと思う。
私には、そのステップがなかった。前にも書いたが、そのカウンセラーの言葉が励みになったのは、離婚が正式に決まる前にだった。本当なら実家に帰って、親に全部話して、「自分で始末つけてから離婚する」となれば、気持ち的にすっきりしたのかもしれない。
たぶん、普通は離婚したら心の傷で何ヶ月かいや、もしかしたら1年とか何も出来ない状態になるのだと思う。(離婚した友達は何人もいるから、だいたいそうらしいが)
しかし私の両親は、「しっかりしろ、はっきりいって、孫なんてどうでも良い。自分の娘さえ手元に戻ってくれば。子供を抱えて生きていくつもりなら、ぼやぼやするんじゃない。家長としてしっかりしろ」と、精神的に休ませてくれる事はない。いまでも、毎日頑張っているのに、そんな中でボーっとして抜けた事をしたり、言葉や挨拶が足りないなんて事をしようものなら、「だらしがない。あんな男と一緒だったから、性格まで移ってしまって、何考えているんだ!!」と、こてんぱんにやられる。「グチグチは言わない。1回で直せ。」
父親本人は、素晴らしい「叱り方」をして娘を矯正していると思っているらしい。
しかし、正直な話私は気持ちが休まる事はない。
母は母で「子どもがいるんだから躾のこともあるから、仕事しないでずっと生活保護で生活してくれたら良かったのに。」というのだ。
女が仕事をすると、子供がちゃんと育たないと思っているのだ。多分自分が仕事をさせられた、娘が高校卒業と同時に親元を離れるような育て方をした事を悔やんでいる様なのだが、それと私の人生とは関係ないと思うのだけれど。
先の新聞の人生相談の回答の様に「娘さんの気持ちを最優先に親は協力」というのは、実際にはうちの親だけでなくどの親も出来ないんだろうな、きっと。
今の私に求められているのは、「娘のいる幸せ」であって、「私自身、女としての幸せ」は頭の中にないのだろう。
親がいることはありがたい。しかし、お互いの気持ちのバランスを取ることは、ものすごく難しい。

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