2019/1/3  0:25 | 投稿者: おるん

------------------------------------------------------------
#この物語はフィクションであり、
登場する人物・施設・団体は実在のものとは何ら関係ありません。
------------------------------------------------------------

◆◇◆ずっとすきだった◆◇◆

何の気なしに顔を出した同窓会。

久々に大阪転勤で戻ってきたと友達に伝えたら、じゃあ、久々に集まろうってことになった。
同窓会のつもりはなくて、ただ単に気心の知れた友達が数人集まるくらいだろうと思っていた。

10年間東京勤務だったから、行き慣れた繁華街も結構様変わりしたと感じた。
実家の近くはあまり変わっていなかったけど。

「よぉ、久しぶり!こっち!」

LINEで聞いた店に顔を出すと、仲が良かった蓮村が声を上げた。
LINEではちょくちょくやり取りしていたが、会うのは10年振りだ。

「中島、元気やったか?大阪戻ってきたんやって?」
「そうやねん。しばらく居れると良いんやけど、また数年でどっか転勤になるかもな。」
「でかい会社は大変やなぁ。」
「俺はただの歯車。社畜やけどな。」

見渡すと結構な人数が集まっていて、12〜3人といったところか。
俺が少し遅れてきたからか、ほろ酔いになってるやつもいる。

「とりあえずビール飲めよ。」

持たされたグラスにビールを注がれ、近くの人間とグラスを交わす。

「なんや、野郎ばっかりやと思ってたのに、女子も来てるやん。」
「まあ、何人か声掛けたら友達連れて来てくれて。こんなん、オッサンばかりじゃ華もないしな。」
「まあな。」

アラフォーの妙齢なので、大体は既婚者子持ちなんだろうな。
俺もそうだし。

グラスのビールをグイっと飲んで空けたところで、向こうからビール瓶を持って女子がやってきた。

「中島、久しぶりやな!中学生の時とあんまり変わらんね。」

空いた俺のグラスになみなみとビールを注ぐ。

「俺、そんなに子供っぽいかなぁ。西田は随分大きくなったんちゃう?」
「うるさいわ!子供3人も産んだら肉も付くわ。」
「うそうそ。この歳になってきたら、ちょっとポッチャリしてる方がええ感じやで。」
「ほんま?お世辞でも嬉しいわー。」

コイツが今日、ここに来ているとは思わなかった。
昔、片想いしてたけど、一向に気付いてくれなくて。
多分、今も俺がお前に片想いしてたって知らないままなんだろうな。

そんな俺たちを見て、蓮村がニヤニヤしてる。

「西田、良かったらここ座りいや。俺、向こうに行くし。」

蓮村が立ち上がったそのあとに西田がちょこんと座る。
中学生の頃と比べて太めになったとはいえ、元々小柄だったから、やっぱりかわいく見える。
当時と変わらぬ童顔で、実際の年齢よりは若く見える気がする。

同じテーブルの他のやつも交えて、今どんな仕事しているのかとか、結婚しているのか、子供は何歳なのかとか、あんまり興味もないだろうに、社交辞令で話をする。
そこから、当時の先生の話や先輩の話、好きだった人の話になった。

「え、俺?俺はガキやったから、好きなやつとか居らんかったよ。」
「あー!中島、逃げた!ずるい!!」
「そういうお前らはどうやねん!」
「えー。実は俺、3組の山下と付き合っててん。」
「私、一個上のバスケの川上先輩と付き合ってた。」
「ええ!?皆、そんなに付き合ってたん?俺、そんなん全く縁がなかったわ!」

西田は。。
西田は、陸上の高橋が好きやって、告白してた。
今日は、高橋は来ていないけど。。

俺と西田には一つだけ秘密と言うか、思い出がある。
ある日の放課後、西田が高橋に告白して振られた。
その後、鞄を取りに来た西田が、日直で教室に残っていた俺と鉢合わせした。

泣きながら教室に入ってきて、俺が居ると思ってなかったのか心底驚いて恥ずかしそうにしていたけど、余程のショックだったのかフラフラしてて。
思わず正面から両肩を掴んでしまった。

「大丈夫?」
「うん。。高橋に振られちゃった。」

絶句した俺を振りほどくこともなく、両手で顔を隠し、嗚咽をあげて泣き出した。
衝動で西田を抱き締めた。
泣き止むまで、何分もそのままだった。

結局、俺たちにはその後進展はなく、俺が西田を好きだったことは打ち明けられなかった。

「西ぴょん、そういや、高橋のこと好きじゃなかった?」
「そうやねん。黙ってられへん性格やったから、皆知ってたやろ?」
「んで、その高橋は、今日来てへんな。誰か誘わんかったんやろか?」
「あー、、一緒に来よかなって思っててんけど、子供預けられへんくってさぁ。私、アリちゃんとシイちゃんと行く約束してたから、お前行ってこいよって。」

「え!?」
「結婚した相手、高橋?」

西田の友達は知ってただろうけど、俺たちみたいなただの知り合いは知らなかったわけで。
風の噂にも聞かなかった!!

大学生のときにバイト先で再開して付き合い出したらしい。
子守りをする高橋。。想像つかない。。
というか、西田じゃなくて、高橋エリコなわけだ。。

なんだかショック。
俺だって結婚して、二人子供いるけど。

幸せそうな顔の西田がちょっと憎くなった。
ずっと好きだったんだぜ。
結局打ち明けられなかったけど。
これから先も言わないだろうけど。

そこに乱入してきた出来上がった蓮村。
「何?恋バナ?俺、西田のこと好きやってんで!コイツもな!」

なにそのカミングアウト!
しかも俺も巻き沿いかい!

言う気なかったのにぃ。。。

「もう昔のことやんけ!根性なかったから告白できんかったの!
つーか、お前も西田好きって知らんかったぞ!」
「お前がさぁ、めっちゃ深刻な顔して相談してくるから言えんかったんよな。」

ヒュー、と冷やかす声が聞こえる。

「中島って真面目で色恋興味なさそうやったのになぁ。」
「どうせ、俺はムッツリで、モテねぇよ。」
「中島、人気あってんで?でも、相手にしてくれへんやろって、女子は遠巻きに見てるだけやったわ。」
「えー、、、それ、中学時代に知りたかったわ。。」

宴もたけなわになって、店から出る。
何人かはこの後もカラオケかなにかに行くらしい。
「西田は行く?」
「旦那に悪いから帰るわ。」
「ほんなら、俺も帰るかな。歌下手だし。」

他の奴等と別れて、西田と二人きりになる。
改札まできて、別れ際に彼女がこう言った。

「あのとき、何も言わず泣き止むの待っててくれて、ありがとね。
私、あれから中島のこと好きになってんけど、人気あったし、振られるのが怖くて言えなくて。
言えたら付き合ってたかもねぇ。
じゃあね、またね!!」

そうして西田は駅の中に吸い込まれていった。

微かな薔薇の残り香。
お互いに大人になったもんだな。
久々に甘酸っぱいような切ない気持ちになった。
たまにゃ嫁さんといちゃつくかねぇ。

-終-
1

2019/1/3  0:23 | 投稿者: おるん

------------------------------------------------------------
#この物語はフィクションであり、
登場する人物・施設・団体は実在のものとは何ら関係ありません。
------------------------------------------------------------

◆◇◆旅路◆◇◆

楽しみにしていた修学旅行。
その1ヶ月前に交通事故にあって入院していた。

「よぉ、元気か?」
「わぁ!潤くん!」
「ケーキ買ってきた、食う?」
「うん、食べる食べる!!」

潤くんは私の彼氏。
下校中に車に跳ねられ、脚を骨折。
手術をしたので入院していた。

コップにお皿とフォーク。
潤くんが手慣れたようにベッドテーブルを私の手元に引いてきて、サイドボードから取り出した食器を並べる。
ペットボトルの紅茶をコップに注ぎ、好物のモンブランをお皿にのせた。

「いただきます♪」

もったりとしたマロンクリームに、口でホロホロと崩れて溶けるカラメル。

「おいひー!」
「俺にも一口。ん。旨いな。
で、咲、お前、ちゃんと退院できるんだろうな?」
「できるよ!修学旅行には間に合うって!
もしダメでも、車イスで行っちゃうよ!」
「そうだな、そんときは俺が車イス押してやるよ。」

その日の学校の出来事などの他愛もない話をして、その日のノートのコピーを受け取った。

「もうこんな時間か、俺、塾にいかないと。じゃあ、またな!」
「うん、またね!」

◆◇◆

待ちに待った退院!
待ちに待った修学旅行!

東京から新幹線で京都へ。
今時、国内旅行なんて地味だなって思うけど、潤くんと一緒なら、それだけで楽しい!

潤くんとは同じ班で、市内観光は一緒に行ける。
部屋はもちろん違うんだけど。

京都についたらまずは清水寺に。
お寺の外にはお店も一杯あって、お土産選びに悩む。
同じ班の女子とキャッキャと騒ぎながらあれこれ物色する。
男子も女子に合わせて買い物に付き合ってくれている。
「お前らー、買い物もほどほどにしてくれよー。」
「はぁい。」

潤くんが私の隣に来て囁く。
「お前、あぶらとり紙欲しいって言ってたよな?
これとか、入れ物もかわいいかな?」
「うん、じゃあ、これにしようかな??」
「これくらいだったら、俺が買ってやるよ。」
「ありがと!あとで私にもなんか買わせてね。」
「ああ。」

一緒に甘味を食べたりして京都観光を満喫した。
潤くんと一緒に写真をたくさん撮った。

班行動で時折、潤くんが私達から離れて空を見上げていた。
いつもと比べてなんだか静かな気もするし、体調悪いのかな?

「ねぇ、潤くん、体調悪いの?大丈夫?」
「ん?大丈夫だよ、咲。そんな顔するな。」
そういって、優しく微笑んで私の髪をくしゃっと混ぜた。

◆◇◆

翌日。
今日は男子と女子とで行きたいところが別れたので別行動。

女子は当然、縁結びの神社へお参りに。京都に来た一番の目的と言って、過言ではない!
といっても、私には潤くんがいるんだけど。ずっとそばにいれるようにお願いするんだ。

男子はどこに行ったんだろう?大学巡りかなぁ。漫画ミュージアムとかかもしれないし、祇園とかかもしれないなぁ。
お揃いのお守りも買ったし、夕飯の時に渡して、ついでにどこにいったのか聞いてみよう。

◆◇◆

ホテルに帰って、夕飯までの自由時間。
潤くんと話したいなと思って部屋を出る。
なんだか変な感じ。
学校が休みだったりすると2〜3日会わなかったりすることもあるし、いつもはそんなに寂しくないのに。
今日はたったの6時間程度離れていただけなのに、ものすごく寂しくて、潤くんに会いたくて会いたくて仕方がない。
男子の部屋を覗いてみたけど居なくて、あちこち探す。
そしてやっと、ホテルの土産物屋さんに潤くんの姿を見つけた。

「潤くん!」

呼んだのに聞こえなかったのか、こちらを向いてくれない。

潤くんはお土産選びに夢中なのか、一向に私に気付かない。
彼の背後にそっと近づいて手元を覗き込む。
何かマスコットのストラップを探しているみたい。

「あ、たわわちゃん、可愛い♪」

思わず小さな声で呟いた。
あ、流石に気付かれたかな?

私の声が聞こえたのか聞こえなかったのか、潤くんは振り向かないまま、たわわちゃんのストラップを2つ手にとってレジに向かった。

このあと私にプレゼントしてくれるのかな?
そう思いながら、お土産物屋さんの外で彼が出てくるのを待った。

それが、私に気付かないまま、通りすぎて部屋に向かっていった。

◆◇◆

気付かないことってあるかなー?
普通、あの距離だったら気付くと思うのよね。
どうしたんだろ??
まあ、また夕飯の時に会うからそれでいっか。

ぐるぐる考えても仕方がないので、部屋に戻る。
同じ部屋の女子たちが何やら話している。

「そういや、石崎くん、元気ないよね?」
「ああ、潤くんね。そりゃ、あんなことがあったところだもの、無理ないよ。」
「私たちだってショックだったし、心からハシャげるかっていうとさ。。」
「そうだよね、彼が一番辛いよね。」

何の話?って入ろうとしたところで、皆がぞろぞろ出てきた。

「ほら、晩御飯の時間だよ、ご飯食べよ!」

そう言われて、私も一緒に移動することにした。

「待って、私も行く!」

◆◇◆

夕飯を食べようと席につく。端っこの席で、向かいに潤くんが座るはずだった。
男子たちが一向に降りてこないなぁと思っていた。

急にふっと大広間の照明が消えた。
直ぐに薄暗く非常灯が点く。

なにこれ?と思っていると、ジリリリリと非常ベルがなった。
厨房で火事があり、燃え広がっているようで館内放送で避難を呼び掛けるアナウンスが流れた。

キャー!っと女子の悲鳴が上がる。
軽くパニック状態の中、先生が指示を出し、静かに階段を下りることになった。
私はその辺りの席のおしぼりをいくつか持って立ち上がり、移動した。

1階に降りてきたけど、向かいに座るはずだった潤くんと、同じ部屋の男子たちが見当たらない。
見渡しているとそのうちの何人かは降りてきた。

「なんで?なんで潤くんがいないの?」

どうやら何か大切な忘れ物があるとかで、一度部屋に戻ったらしい。

そんな!

居ても立ってもいられなくなり階段を駆け上る。
スプリンクラーが稼働したのか、階段の絨毯が湿っている。
更に上ると、いよいよ火事で防火扉があるのに煙が流れてきた。
身を屈めながら、さっきのおしぼりをひとつ、口元に当てて階段を上る。
途中に消火器があったので確保して潤くんを探す。

火事のすぐ上の階に潤くん達が居た。二人とも煙を吸ったのか、ぐったりしている。

「潤くん!」
「サンキュ。もうちょっとだ、辛抱して下まで歩いてくれ。」

私から受け取ったおしぼりをもう一人にも持たせた。
私は消火器を持って、彼らの後ろについて歩く。
階段を下りていくと、絨毯から火が出だしていた。

彼らの歩くところを確保すべく、床の火を消火器で防ぐ。

なんとか下まで避難できた。
二人と一緒に、念のため病院で手当てを受けることになった。

◆◇◆

「潤くん。」

呼び掛けても返事をしてくれない。

「一体、何を取りに戻ってたの?」

潤くんがポケットの中から何かを取り出した。

「これ、さっきのたわわちゃん。これのために??」
「咲にあげようと思って。俺とお揃い。」

そんな!こんなの、いつだって買えるのに!
私が可愛いって言ったから??

「喜ぶと思って。咲、俺も…。」

そういって、彼が目を閉じた。

「やだ!ねぇ!死んだりしないよね!?」

彼に必死にしがみつく。
が、しがみつこうとしてもしがみつけない。感触がわからない。



私の心の中がざわざわと騒ぐ。



何かがおかしい。
私、なんでここにいるの?
私、本当はここにいるはずないんじゃない?

私は交通事故にあって、入院していて、潤くんがお見舞いに来て。

脚の骨折は大したことがなかったけど。
頭を強く打っていて、数日後に意識は戻って潤くんとも話したけど。
その夜、急変してそのまま死んだんだった。

お葬式に来た潤くんは、目を真っ赤に腫らして、一言も話さず、最初から最後までうつむいて座っていた。

俺も?

潤くんも死んで、私の傍にいてくれるってこと?
嬉しいけど、それは本当の幸せじゃない。
私が潤くんから離れなきゃいけない。

「潤くん、死んじゃダメだよ。潤くんには幸せになって長生きして欲しい。」

本心だけど、でも、嫌だ、離れたくない!
嫌われたわけでもないのに、こんなに好きなのに、好き合ってるのに離れなきゃいけないなんて。
残酷すぎるよ。

ここにいる人たちは誰も私がわからない。
もちろん潤くんも。
人目を憚らず、大声をあげて泣いた。

私はここにいるのに!
ずっと潤くんの傍に居たい。
私の傍に居て欲しい。
離れたくない。
なんでこんな別れ方になっちゃったの?
嘘だって言ってほしい。
夢だって言ってほしい。
いつもみたいに目が覚めて、学校へ行って、潤くんに会うんだ!

看護士たちが慌ただしく、傍にいる私の体をすり抜けて、潤くんの処置を続けている。
煙を吸って意識が混濁しているようで、酸素吸入と点滴が施された。

ひとしきり泣き叫んだあと、周りを見渡すと処置室も落ち着きを取り戻しつつあった。
私の傍にいる潤くんからは静かな寝息が聞こえる。

「潤くん、助かるんだね。よかった。」

◆◇◆

翌朝、潤くんたちは無事に退院した。
ホテルの火事は厨房のフロアだけで済んだらしいけど、そのまま営業するわけにも行かず、途中で中止になってしまったらしい。

分散して帰ることになった新幹線に、私も一緒に乗って帰ってきた。
潤くんは前の日よりもスッキリした顔をしていて、いつもの明るい様子だった。

「潤、昨日の今日なのに、結構元気だな?」
「そうだな、なんか、気分がいいんだ。」
「石崎くん、旅行に来る前より元気になったんじゃない?」
「そうか?そうかもな。
昨日の火事、俺、死ぬかもって思ったんだけど、咲が助けてくれた気がするんだよな。」
「案外そうかもな。49日もまだだし、今も一緒にいたりしてな。」
「ちょっと、やだ、咲だったとしても怖い。。」
「そういってやるなよ、あいつ、めちゃくちゃ楽しみにしてたんだからさ。」

修学旅行、私がすごく楽しみにしてたから、連れてきてくれたんだね。
潤くん、ありがとう。
たわわちゃん、大事にするからね。

-終-
0




AutoPage最新お知らせ