2015/8/9  22:47 | 投稿者: おるん

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注)本文中にある名称は実在の物・人・団体とはなんら関係ありません。
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◇◆◇キラキラしたもの

夏の暑い日、君が校庭を駆け抜ける。
私はそんな君の姿を目で追いかけるけど、キラキラ眩しくって見つめられない。

君が、私のそばにいてくれたらいいのに。
君が、私だけに微笑みかけてくれたらいいのに。
君が、私だけにこっそり弱音を吐いてくれたらいいのに。
ずっと前からそう思ってるけど、そんなこと言えなくて。

現実では、君は私ではない誰かのそばにいて、
君は私ではない誰かにだけ微笑みかけて、
君は私ではない誰かにだけ弱音を吐いてるんだろう。

私は君の隣には不釣り合いで。
こんなに好きなのに、彼には振り向いてもらえず。
神様って不公平だ。

君の姿を目で追いかけてたら、涙が溢れそうになった。
こっそり見てるしかできないの。
見てるだけじゃどうしようもないけど、見てるしかできない。
好きって言いたい。

◆◇◆

今日も暑いな。
そう思いながら、校庭を走る。
乾いた砂が舞い上がって、暑い空気と一緒に肺に入って息苦しい。

この時間になるといつも、校舎の窓からの視線を感じる。
薄汚れた校舎の壁も、太陽の光を反射してキラキラ眩しく見える。
いや、君がそこにいるからかもしれない。

君は、一体誰を見つめているのだろう。
その熱っぽい視線の先が俺だったらいいのに。
その微笑みの相手が俺だったらいいのに。

君は、俺が見つめ返すと目を逸らす。
君は、俺が微笑みかけると泣きそうな顔をする。
君は、俺が話しかけようとすると逃げてしまう。

きっと俺は嫌われているんだろうな。
君に好かれている男が羨ましい。
神様は不公平だ。

俺は君に嫌われたくないから、君の横顔しか見つめられない。
本当は君の顔を正面から見たいのに。
それすらできなくて辛い。
好きだって言いたい。

◆◇◆

突然の夕立、傘を持っていなくて昇降口で立ち尽くす。
こんなとき、君が私に声をかけてくれたりしないかしら?
そんな都合のいい妄想をしても、君は私の事なんて気にも留めないんだろう。

気配を感じて振り向くと、廊下の向こうに君が居た。
君が何か言いたそうにしたけど、怖くて逃げてしまった。

君は私から目を逸らし、そのまま傘を差して校門から出ていった。
他の人たちもどんどん下校していって、私一人が取り残された。

◆◇◆

君が傘を持っていなくて困っていそうだった。
俺のでよければ傘を貸したのに。
俺は余程嫌われているんだな。

傘を差してトボトボ歩く。
小さい傘でも、君と一緒に歩けたらよかったのに、
なんて妄想をしてみる。
君は小さいから、並ぶと俺の肩くらいだろうか。

どんどん雨足が強くなるので、君のことが心配になった。
ちゃんと彼氏が来て、傘に入れてもらえたんだろうか?
踵を返し、来た道を戻る。

「おい!」

豪雨の中、ずぶ濡れの君がトボトボ、こちらに向かって歩いてくる。
傘を持って君に駆け寄る。

「あ…。」
「なにやってんだよ!ずぶ濡れじゃないか!」
「……。」

俯いた君が微かに震える。
しまった、泣かせてしまった。
これでは益々嫌われてしまう。

傘に入れと肩を抱き寄せたくても、君が壊れそうでできない。
濡れた夏服に透けた下着の線が目に毒で、ドキドキする。
濡れた鞄からスポーツタオルを取り出して、君の肩に掛けた。

「ちょっと湿ってて汗臭いかもしれないけど、無いよりマシだろ!」

そのまま俺の傘も君に握らせて、俺は君から走って逃げた。

◆◇◆

君が私にタオルと傘を貸してくれた。
優しくて余計に泣けてくる。
彼女だけじゃなくて、こんな私にも優しくて。

タオルと傘をどうやって返そうか、途方に暮れる。
君の匂いがするタオルを肩に掛けたまま、君の後を追う。
まだ雨が降っているのに、傘も差さずに走っていった。
君が嫌じゃなかったら、相合傘が良かったのに。

そう思ったのも束の間、夕立が止んで、空が明るくなった。
雨が空気の汚れを洗い流して、清々しい。

君の家の前までたどり着いた。
ずぶ濡れの君が空を見上げている。

「あ、あの、傘、ありがとう。」
「虹…。」
「え?」

君が見上げる先を見る。
大きな虹が出ていた。

「キラキラだな。」
「うん。キラキラだね。」
「君も。」
「…私より、そっちの方が眩しくて。」

二人で虹を眺めながら、無言になる。

「……」

声にならない二文字が君の耳に届いたか。

-終-
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2011/3/1  17:20 | 投稿者: おるん

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注)本文中にある名称は実在の物・人・団体とはなんら関係ありません。
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◇◆◇クリスマスの日

今日はクリスマス。
起き上がってカーテンを開ける。窓の外には雪がちらついてる。
「寒いと思った…。ホワイトクリスマスか…。」
彼氏も居なくなって久しい。
今年もまた一人ぼっちなんだよな…。
そこにユリからメールが届く。
『今晩、みんなで飲みに行こーよ!どうせ一人なんでしょ?』
む…。大きなお世話!
…確かに一人ぼっちなんだけどさ。
誘ってくる時点で、自分も一人な癖に。

夕方、待ち合わせのターミナル駅の西口に行く。
いつもと違って、イルミネーションでキラキラになっている。
「おーい!ケイコ!!こっち!!」
向こうで私に向かってユリコが手を振っていた。
…女ばかりの集まりかと思っていたら、数人、男子も来ていた。
「ごめん、待たせた!…で、今日はどういう集まりなん??」
「見て判らん?一人身の寂しい奴らの集まり。」
「あ、そう…。」
メンバーは結構な人数。大体見たことのあるヤツばかり。中学の同級生だ。
女子が私とユリとナオコとサヤカとアカネとキミ。
男子が広田、新谷、栗本、島野、安藤…。

持っていた鞄を落としそうになった。
誰だよ!コイツ呼んだヤツ!!
色んな思い出がリフレイン。
止めて、恥ずかしすぎる。もう私を辱めないで。

河合純。

幼馴染。と言っても高校入ってすぐに私の家が引っ越して、学校も別だったから、かれこれ10年ぶりくらいなんだけど。

もう会えないと思ってた。
もし会っても、お互い顔も判らないだろうって思ってた。
でも、判っちゃった。何も考えなくてもビビッと来た。
あぁ、ダメだ。今も好きすぎる。
心臓の鼓動が早く激しくなる。平静を装うのが大変なほど。
彼には聞きたいことが山ほどある。
出来れば彼の傍に居て、ずっと話続けたいほど。
でも、そんなことできっこない。
彼に嫌な顔されるだけだし、自分自身でも制御できなくなるのは目に見えているから。

結局、入った居酒屋で彼が一番奥に座ったのを見届けて、一番手前に座る。
対角線上に座ったので、なんとか、チラ見は出来るけれども。
さすがに独り者の集まりと言うことで、みんな盛り上がっている。
このままカップル成立するヤツもありそうだな、なんて傍観していた。
「田村、飲まへんのか?グラス、空いてる。」
隣に座っていた新谷が声を掛けてくれた。
「あ、あぁ、ほんまやな…。梅酒ロックおかわりしようかな。」
「梅酒ロックね…。」
他の人の注文も聞いていたらしく、店員にオーダーしている。
昔から思ってたけど、この人、気が利くのよなぁ。
「新谷、ありがとう。」
「どういたしまして。…田村、なんで向こうに座らんかってん?」
「別に意味はないけど?」
「ふーん。」
なんか腹立つ。私の気持ちを悟られていそうで嫌になる。
対角線上の純を見つめる。向こうもそれなりににこやかに話して盛り上がっているようだけど、控えめに見える。
「なんや、羨ましそうに見るやん?」
「あほ!そんなことないわ!大体、こっちは盛り上がりに欠けるんちゃう?」
「はいはい、そうですね。」
ニヤニヤした新谷。コイツは中学時代、純と仲良かった。
だからきっと、私のことも聞いているだろうし…ある意味最悪の席に座ったかもしれない。
近況や思い出話でそれなりに盛り上がり、時間が過ぎていく。
近くの席のヤツらとメアドの交換をして、お開きになった。

「うわっ、さぶ!!」
店から出ると、冷たい風が吹いていて、温まった体を一気に冷やしていく。
「じゃあ、この後カラオケ行くヤツー!!」
誰かが言い出して、数人、手を上げた。
「ケイコは行かへんの?カラオケ好きやん?」
「うーん、明日もあるし、また今度にしようかな…。」
ユリが誘ってくれたけど断る。
「そっか、また今度。気ぃつけてな。」
「じゃあ、またな!メリークリスマス!」
手を上げたメンバーが明るいイルミネーションの方に消えていく。
手を振って見送った私。
トボトボとターミナル駅の東口に向かって歩き出す。
街はクリスマス一色。恋人達が一杯。
私は今年も一人ぼっち。ユリが誘ってくれたお陰で少しはマシな時間を過ごしたけれど。

「ケイコ!」
後から呼ばれて、肩を叩かれた。
「え?」
その声は純。どうして?みんなとカラオケに行かなかったの??
「駅まで?」
「うん…。」
「ちょっと飲み直さへん?」
「…。」
「やっぱあかんか。」
「…。」
なんて言えばいいのか、何を話せばいいのか分からなくて無言になってしまう。
「…みんなと一緒にカラオケに行けばよかったのに。」
「カラオケはあまり好きじゃないから。」
「誘うのは私じゃなくてもいいんやろ?」
「…。」
彼が黙った。ついつい憎まれ口を叩いてしまう。
「私、ずっと純のこと…。」
「ん?」
「………大嫌いやった!!!」
大嘘つき。駅に向かって細い通路を全力疾走。
彼がつられて走りだす。
「待てって!」
「バカ!!ついてくんなーーー!!」
「俺に敵うと思ってんのか!」
そういいつつ、酔っているのか追いついてきそうにはない。

「ケイコ!好きやー!大好きやぞーーーー!!!」

後から純の声が通路中に響いた。
いろんな人が私たちを見ている。
は、恥ずかしい…。どこかに隠れたいくらい。
でも、走ったせいで、私も酔いが回って動けなくなった。
目が回ってぐるぐるする。お酒の酔いと、彼の告白で動転してるのと。

彼が追いついてきて私を後から抱きしめた。
「ケイコ…。」
「バカ…。恥ずかしすぎるやんか…。」
「ごめん。でも、ケイコを捕まえられてよかった…。」
「きもちわる…。お酒が急激に回った…。」
「お、おい!?吐くなよ!?」

そのまま近くのホテルでご宿泊。
そんなところにさらっと入れるような歳になったんだなと苦笑い。

「私も純のコト、ずっと好きやった。」
「知ってた。」

なんでもっと早くこうして、彼の胸に飛び込まなかったんだろう?
ま、いいや。メリークリスマス。

-終-
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