2011/1/24  1:29 | 投稿者: おるん

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◇◆◇2.取材

あっという間に夏休みになり、二学期になった。
彼が全国模試で一位を取ったということが学校中、瞬く間に知れ渡る。
それから、生徒会役員選挙に立候補して当選。
「草間君ってカッコいいよね。」
そんな声がちらほら聞こえるようになった。
新聞部では、先輩たちが草間君のファンクラブを作って、彼の情報を集めていた。
「カッコいいですよねー。」
「ん?ヒトミも草間君が好きなの?」
「え?やだ、部長!私は違いますよー!カッコいいとは思いますけど、そういう恋愛対象ではないです。」
「あ、そういうこと。ふーん。」
ファンクラブってったって、やってることはミーハーでストーカーなんでしょ?
私は純愛。一緒にしないで。まぁ、使える情報はいただきますけど。

「さてと、生徒会のインタビューに行くわよ。メモ係はユカとヒトミ、カメラ係はマユミとナオコで。
残り、行きたい人は付いて来て良いわよ。但し、静かにしててね。」
「はーい。」
結局全部員総勢八人で生徒会室に行く。
「新聞部です。学校新聞の記事の取材に来ました。」
部長がドアをノックして、書記の結城さんが中に入れてくれる。
「どうぞ。」
生徒会室の会議机が隅に寄せられて椅子が部屋の真ん中に輪になるように並べられていた。
「また、随分と大人数で来たものですね。」
「草間君、そういうことは言わないの。」
皮肉を言った草間君を結城さんがたしなめた。
「…二、三人だと思ってたから、つい。」
「気をつけてね。」
何?なんか凄く親しげじゃない?
先輩達も少し強張った表情だ。
「皆さん、どうぞ掛けてください。」
結城さんがそう言って、私たちに椅子を勧めた。
役員達の椅子も私たちで使ってしまったので、彼女が隅から五人分の椅子を引っ張ってくる。
「結城さん、そういうのこそ、俺に頼めば良いのに。」
「じゃあ、三つ運んでね。」
二人で仲良く椅子を運んでる。何か気に入らない。
「じゃあ、始めましょうか。」
そう言って、彼らが運んだ椅子の一つに腰掛けたのが平山つばさ生徒会長。
「はーい。」
資料整理をしていた残りの役員もこちらに来て、それぞれ椅子に座った。

「コホン。では、新聞部から、生徒会役員の皆さんへのインタビューをさせていただきます。
インタビュアーは私、新聞部部長3-B有岡です。よろしくお願いします。」
早速、メモを手に取り、日時・場所・出席者を書き込む。
「皆さん、選挙当選おめでとうございます。まずは皆さんの自己紹介をお願いしたいのですが。」
平山会長、片岡副会長、榎本総務、結城書記、草間君の順に自己紹介が行われた。
「では、次に抱負をお聞かせください。」
これもまた、五人順に話した。
「皆さんの趣味と好きな食べ物を。」
四人は素直に答えてくれたものの、彼だけは答えなかった。
「趣味…特にありません。食べ物も特にこれと言っては。」
「薫、ちゃんと答えなさいよ。」
小さな声で結城さんが草間君に耳打ちした。近くに居るので丸聞こえだ。
「うぅ…うるさいな。」
「彼は、読書が趣味で、甘いものが好きです。」
「綾乃!」
彼が顔を赤くした。
それにしても、名前で呼び合うなんて…。
「あの…結城さんと草間君は恋人同士なんですか?」
部長が単刀直入に聞いた。
「ち、違う!!俺と綾乃っ……結城さんは幼馴染なだけだ!!」
さらに顔を赤くした草間君が椅子から立ち上がって否定した。
明らかに動揺してうろたえている。
「草間君、そんなに否定しなくてもいいのに…。でも、事実、ただの幼馴染ですよ。」
結城さんがにこやかに答えた。気に入らないけど、この二人なら、確かにお似合いだと思う。

この後のインタビューはほとんど草間君に対してのものばかり。
「草間会計は全国模試一位を取られたということですが、勉強のコツなどありますか?」
「…生徒会には関係ない質問だと思いますが?」
「生徒の模範だと思うのです。きっとみんなも知りたがっているかと。」
「…ありきたりなことしか言えませんが、予習復習をしっかりすること。
基本を押さえれば応用もできるようになります。」
「では、久々の一年生役員となりましたが、それについて思うことはありますか?」
「いえ、特には。自分が出来ることをしっかりして、生徒会運営が円滑に進むように頑張りたいと思います。」
「顧問の先生方の印象は?」
「そうですね、皆さん親切で、一から指導してくださいます。」
「担任の綾川先生については?」
「は?それも生徒会には関係ない質問だと思うのですか?」
「綾川先生とは仲が悪いように見えますが、本当は仲が良いのではないですか?」
「はぁ?何を言っているんです!
綾川先生とは図書委員でお世話になり、色々な本について教えていただきました。
それ以上、仲が良いことも悪いこともありません!」
「では草間会計、続いて…。」
「なぜ自分ばかりに質問するんです?生徒会への質問なのであれば、まずは平山会長に聞くべきでしょう?」
怒った草間君が再度椅子から立ち上がる。そのまま部屋から出て行ってしまいそうな剣幕だ。
「そうね、もう十分記事になる質問をしたでしょう?作業があるのでこの辺にしていただきたいわ。」
見かねた平山会長が立ち上がって部長に言った。
「分かりました。では最後、皆さんに。好きな異性のタイプは?」
草間君の顔が益々険しくなる。流石に部長の無神経さに他の役員達も呆れ顔だ。
それでも順番に答えてくれた。
「そうね、思いやりのある人が良いかしら。」
「うーん、気が利く人が良いかな。」
「俺は…明るい人が良いですね。」
「私は偉そうにしない人が良いです。」
「…タイプなんかありません。」
やはりつっけんどんに答えた草間君。
「強いて言うなら?」
部長が食い下がった。
「…優等生的回答で、好きになったらその人がタイプ、ということにしておいてください。」
おぉ!と新聞部員たちがどよめいた。
「…ありがとうございました。次回の学校新聞を楽しみにしていて下さい。」
「程々に楽しみにしておきます。」
会長がそう答えて再び立ち上がり、ドアを開け放った。
部屋から出るように新聞部員達を促した。

結局のところ、新聞部が作った生徒会の記事といえば、ほとんどが草間君のインタビューで、後は結城さんと付き合っているらしいという憶測が付け加えられていた。
自分の所属する部ながら、みっともない記事だと思った。
ただ、彼の写真をたくさん入手できたのはラッキーだった。

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1.図書館の君
3.クラス替え>
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2011/1/22  1:22 | 投稿者: おるん

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◇◆◇1.図書館の君

高校入学の日。
昇降口で出会った。たまたま隣り合わせでクラス分け表を見ていた草間君。
涼しげな顔。一目惚れだった。
そのあとの入学式で彼が首席入学生だと知った。
彼とは同じクラスにはならなかったので彼とはなかなか会えない。どんな人なのかもわからない。
インタビューとか取材とかにかこつけて、話したり写真を撮れたりするかもと新聞部に入部した。

彼は図書委員だったから足しげく図書館にも通った。
淡々と手続きする彼は私に笑いかけてくれることもなかったし、世間話も私が話しかければ一言二言返してくれるくらいだった。
多分顔と名前位は覚えてはくれただろうけれど、全く興味を持ってくれる気配はなかった。
そりゃそうか。165cmの長身、ショートカットで見た目も男っぽい私。
彼は私より少し背が高いくらいで、体重なんか、もしかしたら変わらない位かもしれない。

放課後、いつものように図書館に行った。
いつものカウンターに彼が居ない。
あれ…?今日は休みだったのかな?
仕方なく、なにか小説でも探そうと書架の間の通路に入った。
適当な本を手に取って読んでいると、何かがこちらに近づいて来ている気配がする。
そちらを見ると、大量に本を積み上げられたワゴンが目の前に迫っていた。
「きゃっ!!」
「うわっ!!」
ワゴンが私に当たり、バサバサとワゴンに積まれた本が崩れ落ちた。
降ってきた本を避けようと反射的に座ってしまい、余計痛い目に遭った。
「痛ったー…。」
「すまない!大丈夫か?」
ワゴンを押していたのは草間君だった。
心配そうな顔をして私を見つめる彼。
いつも表情を滅多に変えない彼が、動揺しているっぽい。
「あ、うん。大丈夫!」
「やはり、横着はダメだな。一遍に運ぼうとしたから前が見えなくて。」
彼と一緒に崩れ落ちた本を拾い集める。最後の一冊を手に取ろうとして彼の手と触れた。
「あっ!」
思わず声を上げ、手を退いてしまった。一気に体中が熱くなる。
一瞬止まった彼の手が、その最後の一冊を拾い上げる。
「ありがとう。助かった。」
そう言って本をワゴンに載せ、歩き出そうとしている彼。
私は通路を空けようと書架にぴったりへばりついた。
彼がそのまま私の後ろを通り抜けるのかと思いきや…。
「君、本が好きではないだろう?」
「え?」
「結構難しい本を借りていく割にはすぐに返却するし、読んでいないのではないか?」
「そ、そんなこと…。」
「カラマーゾフの兄弟、一日では読めないだろう?」
「よ、読んだわよ…。」
「…他にも夜明け前と封神演義。どれも小説だが趣味が違いすぎやしないか?」
「私は雑食だから何でも読むの。」
「…まあいい。期限どおりに返却してくれれば。
読まないなら他の人の機会を失うから止めろと言いたいところだが。
たまにはちゃんと読んでみることだな、山本。」

彼と喋っちゃった!!うわー、こんなに話をしたのは初めて!
しかも、手まで触っちゃったし、名前まで呼ばれちゃった!!
すんごい嬉しい!!!

今日も何か本を借りようと思ってたけど、彼の顔を見て冷静に振舞える自信がなくて、そそくさと下校した。
帰りに書店に寄って、彼が言っていたカラマーゾフの兄弟を買って帰る。
もし内容を聞かれたら困る。
彼が指摘したことは本当で、彼と話すためだけに毎日本を借りていたのだから。
彼の気を引きたくて、読めもしない小難しそうな本ばかり。
これをちゃんと読み終わったら、彼になにかオススメを見繕って貰いたいな…。


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1.図書館の君
2.取材>
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