2011/2/4  9:50 | 投稿者: おるん

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◇◆◇4.転校生

夏休み明け、うちのクラスに転校生がやってきた。
相葉駿が登校してきてすぐさま「今日、このクラスに転校生が来る!かわいいコ!」と騒ぎ、男子達が色めきたった。
聞くところによると、夏休み中に転校手続きに来たセーラー服姿の女の子が居たらしい。
夏休み中にクラブ活動などで登校してきていた男子達の噂の的になっていたようだ。
綾川先生が教室に入ってくる。一緒に転校生が入ってきた。
「はい、皆さん、席に着いてください。
今日からクラスメイトが一人増えます。谷本さん、自己紹介して。」
「父の転勤で神戸の白百合学園から来ました、谷本桜です。よろしくお願いします。」
ぺこりとお辞儀をした転校生は小柄でかわいらしくて、いかにも男子請けがよさそうなコだ。
関西から来た割には訛りがない。栗色のストレートの髪が彼女の清楚そうな雰囲気にピッタリだ。
「皆さん、谷本さんに色々教えてあげてくださいね。…あなたの席はこの列の一番後ろの席ですよ。」
「はい。」
そう言って、彼女が机の間を歩いてこちらに向かってくる。私の斜め後ろの席だ。
椅子を引いてストンと座った。微かに笑みをたたえていた。澄ました感じがお嬢様っぽい。
…なんかちょっと苦手な感じ。

始業式が終わって、終礼も終わった。
帰り支度をしていると、転校生に声を掛けられた。
「あの。明日の時間割、メモしたんだけど、英語と数学、今どの辺りか教えて欲しくて。」
「あぁ、英語はね…。」
彼女が差し出した教科書をパラパラとめくり、指差す。
「たしかこの辺からだったと思う。」
「うわ、結構進んでるね。間の分も勉強しておかなくちゃ。」
「これ、前の学校の?」
「うん。系列校だからかな?大体同じ教科書みたい。」
「で、数学はこの辺。」
「ありがとう…、えっと、山本さん。」
「え?」
「あぁ、それ、ノートの名前見ました。」
「あぁ。いいえ、どういたしまして。」
「じゃあ、帰るね。バイバイ。」
「うん、バイバイ。」
彼女がちょこちょこと小走りに教室から出て行った。

話してみると案外普通のコっぽい。
アリサの家の近所に住んでいることも分かり、学校では彼女と共に過ごすことが多くなった。
一緒に居れば居るほど、普通のコだ。
よく笑うし、表情がコロコロ変わって見ていて飽きない。
たまにドン臭かったり、だらしないところがあったりするのがかわいらしい。
時々見え隠れする女臭さというかシタタカさが嫌だと思う時もあるけれど、それが計算尽くなのか、天然なのかはよく分からない。
私もこんな風なら男子にモテるんだろうな、なんて思ったりもする。
草間君…。いやいや、私と彼じゃ釣り合わない。

しばらく経って気が付いた。サクラが生徒会室に出入りしていることに。
新聞部では草間君のファンクラブが結成されているから、専らの噂だ。
なんで?どうやって隣のクラスの草間君と知り合ったの?
何したら生徒会の作業を手伝うことになるの?
訳が分からない。
転校したてで、役員たちとも何の接点もない部外者。
そんな彼女に生徒会の手伝いが出来るなら、他の人でも良いんじゃないの?
…きっとサクラから言い出したりしないと思うから草間君が誘ったんだ。
滅多に人に話しかけない彼が、廊下でサクラに話しかけているところを見たことがある。
連れ立って歩いている姿はほとんど見ないけど、付き合っているだのなんだの嫌な噂が耳に入ってくる。
どうしてサクラなの?私でもいいじゃない。
草間君もやっぱり所詮はサクラみたいに小柄でかわいらしい女の子が好きなのね。
多分、サクラも草間君が好きなんだと思う。
でも、そんなことは私には一言も言ってくれない。アリサにも多分言ってないんだろう。

「ヒトミ、谷本桜って子、アンタのクラスの子でしょ?」
「はい、そうですけど…。」
「生徒会のこと、何か言ってなかった?」
「え、いや…。私は何も聞いてません…。」
「ふーん。まぁ、いいか。どうせ、会長には綾乃が居るんだし。あの子の入る隙間なんてないもんね。」
「…。」
「それにしても生意気よね。
転校生だから『会長、学校のコト、色々教えてください☆』とかなんとか言って無理矢理押しかけたに違いないわよ。」

やっぱり先輩たちが言うようにどうにか言って草間君に取り入ったのだろうか?
大人しそうな顔してシタタカなサクラ。
私は入学した日からずっと草間君が好きなのに。
どうしてそんなに簡単に私から彼を奪えるの?大嫌い!
…友達にそんなことを思える私自身も大嫌い…。

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1.図書館の君
<3.クラス替え 5.会長とサクラ>
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2011/1/30  3:58 | 投稿者: おるん

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◇◆◇3.クラス替え

二年生に進級した。彼と同じクラスになることを願ったけれど、隣のクラスになった。
彼は今、生徒会長。相変わらず定期テストの席次はいつも首席。

放課後、生徒会室に向かう彼と、部室に向かう私。階段で一緒になった。
「会長、今日も生徒会で作業?」
「まぁな。」
「新聞部で新入生歓迎号を作るんだけど、会長挨拶を載せさせてもらいたいな、なんて。」
「ふむ。…まぁ、良いだろう。何文字くらいだ?文面を考えておくが。」
「ホント?そうだなぁ…。百五十字くらいかなぁ。あと、写真撮らせて!」
「あ、ああ…。」
「後でカメラ持って生徒会室に行くからね!」
「…。」

カメラを持って生徒会室に行く。コンコンとドアをノックして呼びかける。
「新聞部です。取材させてください。」
カチャとドアを開けて出てきたのは草間君だった。
「どうぞ。まだ他の役員は来ていないが…、問題ないだろう?」
「うん。写真だけだし。
挨拶は明日にでも届けてよ。2-Bに来てくれてもいいし、放課後、部室でも構わないから。」
「ああ、分かった。」
「ええっと、背景はどうしようかな…。会長机で座っている所にしようか?」
「ふむ。」
二人で机に向かって歩く。執務机の上に花が活けてあった。
「スイセン?」
「ああ、母が好きで。家でたくさん咲かせたんで持たされた。」
「会長が持ってきたの?ふふっ、似合わない!」
「俺は断ったんだ。そうしたら代わりに結城さんが持たされてだな。」
「あぁ、なるほど。」
「ラッパスイセンの花言葉を知っているか?」
「ううん。」
「生まれ持った素質というそうだ。スイセンの花が少し好きになった。」
「じゃあ、スイセンも入るように撮ろうか。」
「そうだな。」
彼が席に着き、私のほうを向く。
「うーん、角度は…もうちょっと右向いてくれる?」
彼が左に椅子を回す。
「あ、ごめん。会長から見て右向いて。」
あぁ、という顔をして向き直した。
「うん。じゃあ、撮ります!」
カメラのピーピーという小さな音が生徒会室に響く。カシャっとシャッターが下りる音がする。
デジカメの画像を見ながら言う。
「表情硬いなぁ。」
「そういわれても、これが精一杯なんだが。」
「まぁ、会長挨拶だし、いいか。」
「ではこれで…。」
「待った待った!もうちょっと撮らせてよ。」
「えぇ?」
「もうちょっと普段の会長ってヤツも見てみたいじゃない?」
「…。」
彼が辟易した顔をした。
「ほら、今度はその窓のところに立ってみてよ。」
ふぅっとため息をつきながら、席を立ち、窓の前まで歩いてきた。
「ほらほら、笑って。」
「…。」
ますます仏頂面になる。
気にせずシャッターを切りまくる。
「窓の外を眺めてみて。」
なんだかんだと指示を聞いてくれている。
「おい、まだ撮るのか?」
彼がちょっと困った顔をする。もちろん気にせずその表情もカメラに収める。
夢中でシャッターを切っていると、自分の背後の椅子にぶつかって、拍子に転んで尻餅をついた。
「おい、大丈夫か!?」
「痛ったー…。カメラは無事だから…。」
「…カメラの心配か、仕方のないヤツだな。」
そう言って私に近づいてきた彼が手を差し伸べて微笑みかけた。
もちろんその表情も写真に撮った。
「おいおい、そこまで撮るのか…。」
「だって、今凄くいい顔したもんね。」
「はぁ…。その写真、どうする気か知らないが、悪用するなよ。」
彼が差し出した手に捕まり立ち上がった。
「悪用…はしないと思うけど…。」
「?」
「まぁ、私のカメラテクの練習台ということで。」
「ふーん。まぁいい。今日はこれくらいにしてもらおうか。」
「ありがと。じゃあ、また明日ね。」
生徒会室を出て、部室に戻る。
彼の写真を自分のメモリカードにコピーしてカメラから削除する。
ついでにあの微笑みかけてくれた写真をプリントアウトした。
「いつもこの笑顔で私に微笑みかけてくれたらいいのにな。」
宙に向かって、はぁっと大きなため息をついた。

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1.図書館の君
<2.取材 4.転校生>
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