2011/2/11  19:40 | 投稿者: おるん

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注)本文中にある名称は実在の物・人・団体とはなんら関係ありません。
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◇◆◇6.恋人達のクリスマス

草間君なんか大嫌い!
結局女の子をルックスで選ぶんだ。
そんな人じゃないって思ってた。そうあってほしかった。
でもやっぱり男なんかみんなそう!
幼馴染みの結城さんとならまだ年季の分許せる。
でもサクラはまだ知り合って三ヶ月程じゃない!
サクラって最低!
…こうやって自分を庇うように誰かを責めてみるものの、やっぱり一番悪いのはこの私。最低だ。
毎日毎日、こんなことばかりをぐるぐる堂々巡りで考えてる。

クラブ活動の日、部室街のある一般教室棟の四階から向かいの特別教室棟の三階をそっと見下ろす。
相変わらずサクラは生徒会室に出入りしていて、生徒会室前の廊下で二人、何か話している。
草間君も彼女には気を許しているようで、他の人には見せないであろう笑顔で話していた。
サクラは何も言わないから確証はないけど、二人は既に付き合い始めているような気がする。
それでもなんとか二人が離れてくれないかと、必死で祈った。
そうしたら私にも頑張ればどうにか出来るかもしれない。
…そう思いながらも草間君に対して何かアクションを起こす勇気は出なかった。

もうすぐクリスマス。
学校でクリスマスパーティが催される。
去年は、草間君は裏方でバタバタしていたようで、特にパーティを楽しんだようには見えなかった。
もしかしたら、結城さんと楽しんだのかもしれないけど。
今年は…。今年はきっとサクラを誘うんだろう。
サクラがクリパに来なければ、せめて二人が一緒にいるところを見なくて済むかもしれない。

「ねぇ、サクラ。今度の木曜日って空いてる?」
「ん?木曜日…、あぁ、クリスマスイブだよね!」
「うん。」
「えっと…昼間は空いてるよ?」
「親戚の子がね、うちに遊びにくるんだけど、プレゼントを買いに行きたくて。」
「そうなの?何歳くらいなの?」
「ええっと、小学校四年生くらいだったかなぁ…、女の子なんだけど。」
「へぇー、じゃあきっと、キラキラしたやつが好きだよ!」
「一緒に選んでくれない?」
「うん。いいよ!」

そうして、クリスマスイブ。
ターミナル駅で待ち合わせして、いくつか店を回る。
あれでもない、これでもないと彼女を連れまわした。
夕方になって、辺りが暗くなり始めた頃、サクラはそわそわとしきりに時間を気にし始めた。
「どうしたの?」
「あ、うん…。もうそろそろ帰らないと…。」
「あ、そっか!この後用事があるんだったね。」
「うん。」
「うーん…。じゃあ、このレターセットとペンケースにするかな…。ありがと、サクラ。」
「ううん、こっちこそごめんね。ゆっくり選べなくて…。」
「…この後、デート?」
「え!?…あ、うーん…、デートではない…かな…。」
申し訳なさそうにしたサクラがかわいそうになって解放した。
それでも、これで少しは遅れるだろう。

サクラと別れた後、自分も急いで帰宅し支度する。
そこそこ着飾って学校に行く。部室からカメラを持ってきて、取材用の腕章を付けてクリパ会場に入った。
草間君は舞台の装置を確認しているみたいだ。
ぼちぼちパーティが始まる時間。一般の生徒も集まりだした。
しばらくして、照明が暗くなってBGMの音量も小さくなる。
「皆さん、白薔薇学園クリスマスパーティにようこそ。心行くまでお楽しみください。」
草間君の挨拶でパーティが始まった。

舞台から下りた草間君がそそくさと出入口に向かっていく。
多分、サクラを迎えに行ったんだと思う。
出入口が見える場所に立ち、しばらく喧騒をカメラに収めていた。
草間君が戻ってきた。やっぱりサクラと一緒だ。
サクラを椅子に座らせて飲み物を取りに行った。
その隙に誰かがサクラに声を掛けたけれど、草間君が戻ってきた。
あぁもう、完全にデキてる。

またしばらくして二人が外に出て行った。
カメラを持ったまま違う出口から出て、体育館の影から望遠レンズで二人を盗み見る。
そしてその様子を写真に撮った。
なにやら二人、ベンチに座って話している。
どうやらプレゼントを交換したらしい。
サクラが手を空にかざしている。指輪?
立ち上がってはしゃいで…雪が降ってきた。
転んだサクラを草間君が手を差し伸べて立たせた。
そのまま草間君がサクラを抱きしめる。
その瞬間でシャッターを切る。
二人、離れるのかと思いきや…。

やめて…!

草間君とサクラ。二人、雪とイルミネーションの中でキスしてた。
華奢な草間君と小柄なサクラ。
誰がどう見てもお似合い。
目を逸らしたかった。
でも、あまりにお似合いで、カメラ越しにしばらく眺めていた。

サクラたちが体育館に入るのを見届けて、部室に戻った。
「うぅっ。」
カメラを机の上に置き、腕章を外す。
涙がパタパタと落ちる。
分かっていたはずなのに、いざ、その現場を見てしまうとショックだ。
「草間君…、ずっと好きだったのに…!」
告白もできないまま失恋。
分かっていたけど、分かっていたけど…!
どうしようもない悲しみと憎しみ。

とりあえず、今日撮った普通のパーティの写真データをパソコンにコピーする。
あの、例の二人が抱き合っている写真はプリントし、部室のパソコンの横に無造作に置いておいた。

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1.図書館の君
<5.会長とサクラ 7.嫉妬の果て>
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2011/2/9  2:47 | 投稿者: おるん

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◇◆◇5.会長とサクラ

体育祭が終わった翌日。
朝礼でサクラが倒れて保健室に運び込まれた。
朝礼が終わると私はアリサとアキと保健室に行った。後から野次馬なのか相葉駿もやってきた。
ベッドの周りに私達と相葉駿、そして綾川先生。
みんなで心配して彼女の顔を覗き込む。
顔面蒼白で唇も青い。たぶんただの貧血なんだろうけど、人って倒れるとこんなことになるの?
私も生理痛が酷かったり、貧血になったりするけど、倒れたことはまだない。

そこに背後から人が来て、私に声を掛ける。
「谷本は?」
その声に驚いた。草間君だ!!
「会長!?びっくりしたー。珍しいなぁ。サクラ?まだ起きないんだよね。顔色はマシになったけど。」
私の心臓が今、止まりそうになった。
彼は背伸びして、私の肩越しに彼女を覗く。
そっと盗み見た彼の表情。一瞬目を見開いて硬直したのが分かった。
目を潤ませてとても心配そうにしていて、それはまさしく恋人に向ける表情だと思った。
まもなくサクラが目を覚まし、起き上がる。
「いたたた…。なんか頭とか肩とか痛い。」
「谷本、まだしばらく横になっていた方がいい。また脳貧血を起こすぞ。」
私の肩越しに彼がサクラに声を掛けた。
彼がこんなことを言うなんて珍しい。物凄く必死じゃない。
「会長って…、意外。」
彼が私の顔を一瞥した。
「それでは失礼する。お大事に。」
眼鏡のブリッジを押し上げた。多分照れてる。
そのまま彼は踵を返し、保健室から出て行った。

あぁー、もう、嫌になっちゃう。
草間君、もうサクラにメロメロじゃない。
先輩達、目が節穴だよ。どう見ても結城さんじゃなくてサクラが勝っちゃってるよ。
私は入学した日からずっと彼だけを見てきたんだから、分かっちゃうの。
分かりたくない。何も気付かないままなら、単なる甘酸っぱい片想いで済んだのに。

草間君とサクラは普段はほとんど話しているところを見たことがない。
ただ、あれ以来、放課後はほぼ毎日一緒に居るみたい。
生徒会がない日でもどこかの教室や図書館で勉強したりしているようだ。
…草間君と勉強。
彼は不得意な科目がないから、専ら先生役なんだろう。
どんな風なのか気になる。
優しく、
「どれ、どこがわからないんだ?…ふむ、それはこの公式に当てはめるんだ。」
とかなのか、普通に、
「こんな問題もわからないのか?仕方がないヤツだな。」
とかなのか、厳しく、
「おい、ちゃんと予習してきたのか?呆れるな。」
とかなのか。
…いずれにしても、いいなぁ。うらやましい…。

そんなことを考えながら廊下を歩いていると、向こうからなにやら大荷物の草間君とサクラが歩いてきた。
「あ、ヒトミ!」
私に気付いたサクラが、荷物を片手に寄せて手を振った。
色とりどりの模造紙の筒や画材の入った紙袋を抱えている。
「あぁ、サクラ。今日も生徒会?」
「うん、もうすぐ文化祭だしね。」
「そっか、頑張ってね、二人とも。」
「うん、ありがとう。」
私とすれ違って歩いていく二人。
草間君は静かに私とサクラを見ていただけで、何も話してくれなかった。
「ヒトミ、また明日ね!」
私の背後からサクラの声がする。振り向くと、彼女がこちらを向いて手を振っていた。
持っていた荷物をいくつか落とす。
「きゃっ。」
「ほら、前を見て歩け。君はそそっかしいな。」
サクラが落とした荷物を草間君が受け止めて、そのままサクラには返さず自分で抱え込んだ。
「ごめん!私、持つよ。」
「君に持たせ過ぎた。落とした分は俺が運ぶ。」
不機嫌そうに言う彼。でも、その声には優しさがあった。
ああいう風になんだかんだ文句を言っているものの、彼女と一緒に居るのが嬉しそうに見える…。

他の学年ではどうなのか分からないけど、サクラは転校生で目立つからか、男子生徒が噂しているのをよく耳にする。
相葉駿や綾川弟もサクラに話しかけたりしているし、担任の綾川先生も頻繁に彼女を国語準備室に呼び出している。
相葉駿は同じクラスだし、綾川先生は先生なんだから当たり前と言えば当たり前だけど、綾川弟は絶対、その気があるんだと思う。
いっそのこと、綾川弟とくっついてくれればいいのに。

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1.図書館の君
<4.転校生 6.恋人達のクリスマス>
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