2011/2/20  3:41 | 投稿者: おるん

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注)本文中にある名称は実在の物・人・団体とはなんら関係ありません。
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◇◆◇8.雨降って地固まる(前編)

週明けに学校にやってきたサクラ。
他の生徒に比べて妙に荷物が多い。
あぁ、革靴は燃やされる前に見つけられたのね。
色んなものが壊されたり失くなったりするんだから、そりゃ自分で持っておくしかないもんね。
サクラは、いよいよストレスもピークなのか、先週はまだ怖がっている感じだったのに、今日は逆に殺気立っているような気がする。
もう少し突付けばボロが出るかしら?
早くあなたから別れるか、草間君に愛想つかされるかして!

放課後になって、彼がサクラを廊下で待ち受けていた。
草間君も既にストレスが溜まっているのか、かなり機嫌が悪そうだ。
逃げようとするサクラの行く手を阻んで説得したようだ。
そのまま彼の後ろについて歩いていった。
多分、生徒会室に行くんだろう。

部室に上がって、たむろしている先輩達に報告する。
「サクラが会長と一緒に上に上がっていったんですけど、生徒会室ですかね?」
「えぇ?ここ数日来てなかったから懲りたのかと思ったのに!」
その場に居た部員達で相談し始めた。
「ちょっと、もう一回締めたほうがいいんじゃない?」
「じゃあ、みんなで行く?」
「ヒトミ、あんたも一緒に行くでしょ?」
「すみません。私、先生に呼ばれていて…。
サクラが上がっていくのが見えたから、先輩達に言っておいたほうがいいかと思って…。」
「そう…、じゃあ仕方ないわね。」
サクラとは相変わらず友達をやっているんだから、そんなリンチに参加できるわけないでしょ。
みんなで行くって子供じゃあるまいし。そんなカッコ悪いこと、先輩達で勝手にやってよね。
どうせまた、ちょっと文句言って終わりなんだ。
サクラは思っていたよりも気が強いから、それくらいじゃ折れないと思う。
大体、ここまで弱らせたのも私なんだから。
先輩達が生徒会室の周りでうろうろしている間に、綾川先生のところに質問に行く。
適当に今日の授業の復習を兼ねて質問する。
先生も勘がいい人だから、私が質問する気がないのを分かっているかもしれないけど、邪険にするはずがないので、これで時間が稼げるはずだ。
しばらくして、先生にお礼を言って廊下に出る。
生徒会室は静かそうで誰も居なさそうだ。先輩達の話し声も聞こえないから、部室に戻ったのかもしれない。
ということは、サクラはもう帰ったかな?
もう一押し、またやっておくか。
誰も居ない教室。サクラの机の中を見る。
「もうほとんど何も入ってないな…。次はどうしようか…。」
カチャっと音がして教室のドアが開いた。
振り向くと、ドアのところに草間君が立っていた。
「おい。」
「会長。どうしたの?サクラならもう帰ったでしょ?」
「…。俺と一緒に居たことを知っているだろう?今、資料室に待たせてある。」
「じゃあ、どうしてここに?」
「さっき、嫌がらせされていることを聞いて、な。」
「彼女のために犯人探し?」
「まぁ、そういうことだ。」
「犯人、新聞部の先輩達でしょ?」
「ふむ、知っていたのか。」
「だって、新学期に入ってから、会長とサクラの話で持ちきりだったもん。」
「残念だが、アイツらは犯人じゃない。」
「どういうこと?」
「こういう写真を見つけたんだが。」
そう言って、彼が教室に入ってきて、私のすぐ傍まで来た。
見せた写真はあの、クリパの二人が抱き合っている写真だった。
「綺麗に撮れてるじゃない。」
「あぁ。これは誰かのブログに上がっていたものだ。」
「じゃあ、そのブログの主が犯人?」
「そうかも知れないが、この際ブログは関係ない。」
「…。」
「この写真、おそらくかなり本格的なカメラで撮ったものだ。
この角度で撮るなら体育館の方向からだ。あの時、俺達の周りには人が居なかったはず。少なくとも体育館との間には。
体育館の影から撮ったとしたら望遠レンズが必要だろう。
あの日、そんなに本格的なカメラを持っていた人間を見かけなかった。君以外には。」
「…案外目ざといのね。そうよ、その写真は私が撮ったのよ。」
「…この写真でアイツらをたきつけただけではないよな。」
「なんのこと?」
「谷本への嫌がらせ。色々したそうじゃないか。」
「ちょっと待って!私を疑ってるの?」
「君が一番谷本の傍にいるからな。机なんかにいたずらするなら、他のクラスの人間ではやりにくい。
同じクラスの人間なら、こうして放課後に教室に居ても、不自然ではないからな。」
「…そんなのただの想像じゃない。」
「そうだな。証拠なんて何もない。」
「馬鹿なんじゃないの?」
「俺もそう思う。けど、彼女を傷つけるヤツを放ってはおけない。
そもそも、今、君が立っている場所。谷本の席だな。何をする気だった?」
「…たまたまよ。私は忘れ物を取りに来ただけ。」
「…。」
冷たい目で私を見る。完全に私を疑ってる。
「…私だって言ったらどうするの?」
「…そうだな、手荒なことはできないから、大人しく引き下がってくれるとありがたい。」
「嫌だって言ったら?」
「…それは困るな。」
「そんなことで困っちゃうんだ。全国一位でも大したことないんじゃない。」
「ま、先生に相談するのが定石かな。」
「そんなの堪えないわよ。」
「それ以上の手もあるが口に出すのもはばかられるのでな。」
「…それもどうせ大したことないんだろうけど。良いわよ、引き下がってあげる。」
「賢明な判断だな。」
そうして彼がドアに向かって歩きだそうとした。

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1.図書館の君
<7.嫉妬の果て 9.雨降って地固まる(後編)>
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2011/2/15  0:46 | 投稿者: おるん

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◇◆◇7.嫉妬の果て

冬休みが終わる。
始業式の後、部員たちが部室に集まる。
当然のことながら、プリントした二人の写真が目に入るわけで。
「きゃー!!なにこれー!!」
先輩の一人が悲鳴をあげた。
みんなでその写真を囲む。
「誰が撮ったの?」
みんなが首を横に振ったので、自分が認めることとなった。
「私、クリパに行ってて、イルミネーション撮ってたら、たまたま出くわしちゃって。」
「これ、あの子じゃない?許せない!!」
「会長もなんでこんな子と!」
ほらほら、みんなもっと怒っていいよ。そしてあの二人を離れさせて。
「この後、キスしそうな感じだったんですけど、流石に見ていられなくて。
会長に限ってそんなことしそうにないと思いますけど。」
「えぇ!?キス!?そんな訳あるはずない!」
「そうですよね!でもクリスマスだったし…。」
「許せない!!谷本桜!ちょっと締めてやろう!!」
はい、一丁上がり。
さて、サクラがどうなるのか見モノよね。あの人達のことだから一人では行かない。リンチだな。

翌日、先輩達が会長のスキャンダルを広めて回っている。
キスしたとは言わなかったけど、尾ひれが付いてそれ以上に楽しいことになっている。
昼休みに先輩達が来て、サクラを連れていったけど、大したことはなかったらしい。
なんだつまんない。
まあ、サクラがちょっと困っていたみたいだから、いい気味。
放課後になって、サクラがそそくさと帰るのを追いかける。
昇降口には草間君が居た。
なに?まぁ、これくらいじゃまだ離れないか。
サクラが帰っていったのを見届けて部室に行く。
「今日は谷本、生徒会室に来てないみたい!」
「よかったー。これでちょっとは懲りたんじゃないの?」
部室前の廊下で先輩たちが話していた。
「さっき、帰りましたよ。会長と昇降口で一緒だったみたいですけど。」
小声で先輩達にそう囁く。
「え!?なんか腹立つ。」
「まぁ、今日は帰ったんだからいいじゃない。」
「それもそっか。そのうち会長が相手しなくなるよ。」
あーあ、先輩達、甘いなぁ。
アレは、サクラもだけど、草間君がゾッコンだからそう簡単には離れないと思うよ。
人気がなくなる頃を見計らって、教室に戻る。
「先輩達、甘いのよ。アレくらいじゃ何の効果もありゃしない。」
サクラの机の中を覗く。副読本が数冊入っていた。
新品のコンパス。針のカバーを外して、副読本の間に差し込んだ。
そのままさっさと下校した。

次の朝、早速あのコンパスで手を引っ掻いたらしい。
気味悪そうにしているサクラ。
ほら、誰がしてるか分からないって気持ち悪いわよね。
でも、あなたには心当たりがあるでしょ?
ほらほら、早く草間君と別れてね。
案外気丈なサクラ。
私達には何も言わない。後で草間君に言うつもりなのかしら。
移動教室で廊下を歩いていると、サクラの少し斜め後辺りに草間君がやってきた。
小声で何か言っている。
「谷本、顔色が優れないぞ?」
「ううん、平気だから。じゃあね。」
あら、強がっちゃうんだ。これは彼にも相談しない気だな。
それは好都合。頑張ってね。じわじわ追い込んであげるから。
今日もまた、放課後、人気がなくなった頃に教室に行く。
今日はサクラが気に入っているコンパクト。
早く別れないと、あなたがこうなるわよ。
手にした定規で鏡を叩き割った。

その次の日。
いよいよ悲惨ね。私が登校した時には机の上のコンパクトがもうなかったけど、サクラを見れば一目瞭然。
顔面蒼白で、自席で小さくなって座っていた。
休み時間も席から立たず、ずっと机に突っ伏したままだった。
昼休みに草間君が珍しく2-Bの教室のサクラの席までわざわざやってきた。
彼もここ数日、サクラの様子がおかしいことに気が付いたらしい。
「谷本、ちょっといいか。」
「あ、今からちょっと当番で、先生のところにね、行かないと…。ごめんねっ。」
サクラは草間君を避けて教室から出て行ってしまった。
残された草間君は呆然とその後姿を眺めていた。
「…。」
草間君が私を見た。
「…山本、谷本のヤツ、何かあったのか?」
「さぁ…。」
「…そうか。今のは気にしないでくれ。」
そう言うと彼は自分の教室に戻っていった。
五時限目が始まる。体育の授業で体育館だ。サクラが当番で先に着替えて教室を出て行った。
その隙に昇降口に行く。体育館シューズと一緒にシューズバッグにサクラの革靴を入れた。
走って体育館に向かう。
そ知らぬ顔で授業を受けた後、落し物をしたと言って一人体育館に戻り、
裏の焼却炉に寄って革靴をごみの山の上に置いてきた。
焼却炉には誰も居なかったから分からないだろう。

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1.図書館の君
<6.恋人達のクリスマス 8.雨降って地固まる(前編)>
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