2010/11/10  0:04 | 投稿者: おるん

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◇◆◇3.生徒会へ

夏休み明けに高校に入ってから初めての全国模試を受けた。
その結果に驚いた。

まず、自分の成績。なんと、全国一位を取ってしまった。
今までも三桁位の順位は取ったことがあったけれど、一位は初めてだ。
満点だったから当然で、きっと全国に一位のヤツはたくさん居るはずなのだが。
学校でも初めてのことだったらしく、職員室に行くと色んな先生から声を掛けられた。

それから、あの綾川竜士の成績。流石、綾川先生の弟だけあって、馬鹿ではないらしい。
見た目、おおよそ優等生には見えない彼。
一学期の中間考査、期末考査も学年十位以内だったけれど、全国模試でも校内で学年六位に食い込んでいるらしく、実力は本物らしい。
彼は職員室には近づかないけれど、彼も職員室ではよく噂をされている。

数学の山中先生が言っていた。流石、綾川先生の弟だと。
聞くところによると、綾川先生も白薔薇学園高等学校の卒業生だとか。
山中先生はここだけの話だと教えてくれた。
「綾川も在学中は不良で授業なんかまともに受けていなかったな。
頭が良かったのは間違いないが、その綾川が先生になってここに戻ってきたことには驚いたよ。
確か、綾川の家は祖父の代から白薔薇に通っているとかで、弟が入学してきてもなんら不思議はなかったんだが…。
入試の時には大人しそうにしていたのに、入学してきたらアレだ。これまた絵に描いたような不良で笑ったよ。」
山中先生の言うことがにわかに信じられなくて、呆然としていたら、こう続けた。
「生徒会室の資料室に、卒業アルバムがあるぞ。生徒会役員に立候補するなら見せてやろう。
草間、中学でも生徒会長をやっていたんだろ?悪い話じゃないと思うが。」
ちょうど生徒会役員の選挙期間だった。
アルバムも見れるなら見たいし…。生徒会か…確かに嫌いじゃない。綾乃も生徒会役員だし、悪くはない。
「わかりました。立候補します。」
「よし、決まりだな。
そうだな、今、総務の立候補者が居ないんだが、一年に総務というのもな…。榎本を総務に鞍替えさせるか。
草間は会計で立候補な。数学もできるし、几帳面そうだから大丈夫だろう。」
半ば強引に決められてしまったが、まぁいい。

そのまま山中先生に付いて、三階の生徒会資料室まで上がる。
生徒会室では役員達が体育祭の準備をしているらしい。
先生が生徒会室のドアを開けて役員を呼んだ。
「榎本!ちょっと来い!」
はい、と返事をして、一人、榎本と呼ばれた男子生徒がこちらにやってきた。
「何ですか、先生。」
「おう、生徒会に新人をスカウトしてきた。」
「は?」
「コイツだ。草間薫。今年の新入生代表で全国模試一位のツワモノだぞ。」
榎本さんと目が合って、ペコッと少し頭を下げる。
「へぇ…。で、何で俺を?」
「いや、お前、会計で立候補してたよな?総務に鞍替えしないか?で、コイツを会計に据える。」
「…まぁ、悪くないですね。」
榎本さんが俺の顔を覗き込む。
「…。」
「よろしくな、草間。俺は2-Cの榎本飛鳥だ。」
「…。」
「おいおい…。先生、こんなに愛想無しで大丈夫なんですか?」
さわやかに微笑みかけられて、どんな顔をすればいいかわからなくて、無言になる。
「ははは、多分…。なぁ、草間。」
「…な、何とか…。」
その後から、もう一人誰かがやってきた。
「先生、どうしたんですか…?あ!」
榎本さんの横から見覚えのある顔が覗いた。綾乃だ。
校内で見かけることはあったし、登下校も同じ時間になることはあった。でも、校内でこんな至近距離で対面するのは初めてだった。
なんだか物凄く照れる。
「な、なんだよ…。」
照れ隠しの俺を尻目に、綾乃が先生に語りかける。
「あれ?彼、もしかして生徒会に来るんですか?」
「あぁ、そうだ。なかなか優秀だぞ。」
「全国一位でしょ?聞きましたよ。」
「そうか、草間、お前、こんな美人のお姉さんに知ってもらえてるなんて、羨ましいヤツだな。」
先生が茶化して言う。
「美人のお姉さん…??」
綾乃と顔を見合わせ、二人沈黙した後、俺が耐え切れなくなって噴き出した。
「はは。どこが!」
「あ、笑ったな!こら!!」
綾乃が榎本さんの横をすり抜けて廊下に出てきて俺のわき腹を掴んだ。
「痛てっ!や、止めろって!!」
「謝るまで許さないから!」
「わ、悪かった!ちょっとは加減しろ!」
俺達のやり取りを見ていた先生と榎本さんは訳がわからず驚いていた。
「お前達…。」
「あ、あぁ、先生。彼は私の家の隣に住んでる幼馴染なんです!」
「あぁ、なるほど…。」
先生と榎本さんが呆気にとられたまま、俺達を見ていた。
「よし、じゃあ、生徒会に来たついでだ。帰り、家まで送って。」
「は?」
「ほら、段々日が暮れるのが早くなってきたから…。」
「ふむ…。仕方ないな。一緒に帰るか。」
「よしよし。ついでに何か手伝っていけば?」
「…こっちの用事が済んだらな。先生??」
俺に急に話を振られた先生が気の抜けた返事をする。
「あ、あぁ、さっきの約束のな。」

榎本さんと綾乃と別れて隣の資料室に入る。
山中先生が、キャビネットから卒業アルバムを出してくれた。
「確か、この辺の年だったと思うんだよな…。…3-Bだったよな…、あぁ、これだ。」
そう言って一冊、俺に手渡してくれた。
パラパラとアルバムをめくる。
『綾川 司』
集合写真には辛うじて参加したらしい。周りの生徒と溶け込むことなく浮いた存在だ。
個人の顔写真ではそれがもっと顕著だった。
透き通るような白い綺麗な肌に、端整な顔立ち。今と変わらない口元のホクロ。
思春期特有のものというか、世の中みんな敵と言わんばかりに眉間に皺を寄せた仏頂面で写っている。
今よりももう少しだけ若くて少年らしい雰囲気だ。
今と違うのは髪の色。綺麗な金髪に染めてある。元々の(今の)髪色も薄いから、違和感はそんなにない。
ハーフ(地毛)なんだよと言われれば信じてしまいそうだ。
他のページも見たが、先生が写っているところは他にはなかった。
クラスの寄せ書きがあったが、そこにも誰かが押したらしいゴム印の名前があっただけで、先生の自筆はなかった。
「意外だろ?でも、アイツ、高三になって図書館に入り浸りで。ウチの図書館の蔵書をほとんど読んだらしい。」
「へぇ…。」
「そんなこともあって、アイツを採用したんだ。ちゃんとやってくれるだろうって。」
「…。」
「弟も案外化けるんじゃないかな。見た目は不良だからウチの高校のイメージにはそぐわないけど、元は優秀だからな。」
「そうですね…、彼は案外いいヤツなんですよ。」
「ほう、草間がそんなこと言うとは珍しいな。」
「前、学校の近所の子供たちを遊んでやったりしてましたからね。あと、学校に住み着いてる野良猫にエサやってるところも見ましたし。」
「…アイツ、不良止めたほうがいいんじゃないか?」
「ええ。自分もそう思います。」

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1.本の虫
<2.正反対 4.意外な一面>
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2010/11/5  1:18 | 投稿者: おるん

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◇◆◇2.正反対

白薔薇学園高等学校に入学して一週間。
学年首席で入学して、入学式で新入生代表挨拶をしたせいか、学年ではちょっとした有名人だ。
家からは比較的近い学校で、隣に住む幼馴染の綾乃も通っているのだが、運良く、今年は同じ中学から進学してきたものは他に居ない。
中学では色々と嫌なコトがあった。変な先入観を持たれても困るから好都合だ。

この学校は、派手な制服の割には校風は穏やかだ。
勉強にも力を入れているが、クラブ活動にも力を入れていて、生徒のタイプはガリ勉タイプからスポーツバカ(失礼)まで様々だ。
だが、流石私学だけあって、皆、育ちが良さそうでのんびりしているように見える。

放課後、ごみ捨て当番で食堂裏を歩いていた。そこに一人、茶髪で長髪の生徒が居て、煙草を吸っていた。
目が合ってギョッとした。
「なんだよ?」
「…。」
なんと言い返して良いかわからなくて無言で通り過ぎる。
この学校にも不良が居るんだ。背が高そうだったから上級生だろうか?
でも、制服は比較的新しく見えた。

焼却炉にごみを捨てて、また同じ道を戻る。
さっきの不良、まだ居るんだろうか?
あぁ、まだ居る。向こうから帰れば良かった…。

目を合わさないように彼の前を通り過ぎる。
「おい。」
あぁ、また声を掛けてきた。面倒だな。
「…。」
無視して通り過ぎようとしたのに、ソイツは寄ってきて、俺の肩を掴んだ。
「呼んでんだろうが!」
「…なんだ?」
立ち止まって彼の方に顔を向けると、馴れ馴れしくも肩を組んできて、顔を寄せて話しかけてくる。

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「お前、新入生代表だったヤツだよな?」
なんだ、同級生か?
「…それが?」
「ビビってる?」
「は?」
「なんだ、ビビってねぇのか。」
「ビビったら何か良い事があるのか?」
「…ほら、なんか金目のモノくれたりするだろ?」
「そんなモノは無い。俺は奨学金でないとこの学校に通えないくらいだからな、諦めろ。」
「ちぇっ。」
「そっちこそ、チクられたくなかったら何か出せよ。」
「はぁ?良い度胸してんな、お前。」
「冗談だ。第一、君の名前も知らないからな。」
そう言って、肩に乗っている彼の腕をどけた。
「俺?1-Bの綾川竜士だ。よろしくな。」
「綾川??」
驚いて彼を見る。
「あぁ、司は俺の兄貴だよ。」
「ほう…。」
綾川先生の弟…。似ていないな。髪型は当然だが、目元が違うのか?
「お前とはいいダチになれそうだぜ?草間…なんだったっけ?」
「…1-Aの草間薫だ。」
「カオルちゃんか!かわいい名前だな。」
「うるさい。どうせ女みたいだよ。」
「カオル?」
「名前で呼ぶな。それに煙草臭いヤツなんかとつるめるか!」
「おぉ、優等生は言うことが違うね。」
「金を払ってまで、体に悪いことをする意味がわからない。」
「そうだよなぁ。煙草、やめっかなぁ…。」
いい加減、コイツから離れたいと思うのだが、構って欲しそうにするヤツを置いていくのも忍びない。何の義理もないし、置いていったって何の問題もないのだが。
「大体、こんなところで隠れて吸うのも面倒だろう?上級生にも目をつけられるんじゃないか?」
「上級生?あぁ、そんなの居たなぁ。」
…もしかして、もう締めた後なのか…、そりゃどうしようもないな。
悪いが、当番の途中だから、と言おうとしたところで誰かがやってきた。
「あっ!」
綾川の表情が変わる。誰かと思って見てみると綾川先生だった。
「草間君、遅いので迷子になっているのかと思いましたよ。…にしても意外な組み合わせですね。」
「…。」
「あ、兄貴…。」
綾川はバツの悪そうな顔をしている。
「草間君、彼は私の弟で、今年この学園に入学したんです。どうか仲良くしてやってくださいね。」
「はぁ…。」
我ながらなんとも気の抜けた返事をしてしまった。
「竜士君、こんなところで煙草ですか?いい加減にしないとどうなるか、わかっていますね?」
「うっ…。煙草は今ので止めたんだ!な?草間??」
「…。」
「まぁ、いいでしょう。入学早々、あまり目立つことをしないでください。いくら私でも庇い切れません。」
「わぁったよ。おとなしくしてりゃいいんだろ??」
「ええ、おとなしくしていてください。それでは、草間君、教室に戻りましょうか。」
「はい。」
そして、先生と二人、その場を後にした。
それが綾川竜士との出会いだった。

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