2013/2/10  1:50 | 投稿者: おるん

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◇◆◇生徒会感謝の日2012

「そうか、今日は勤労感謝の日なんだな…。」
布団の中から天井を見つめながら大きなため息をついた。

文化祭も終わり、クリスマスパーティまでには少し時間があるこの時期。
油断したのかせっかくの休みだというのに熱を出して寝込んでいた。

プルルルル…プルルルル…

枕元の携帯電話がなる。
手を伸ばして電話を取り、着信表示を見る。
(ノリオか…休みの日まで何の用事なんだ?)
無視しようか悩んだがとりあえず出る。

「はい。」
「会長?今日は生徒会感謝の日、やらないのか?」
「…やりたかったら勝手にやりたまえ。」
「冷たいな、会長が居なかったら始まらないだろ?」
「あいにく、風邪をひいてしまってだな、熱出して寝込んでるんだ。」
「へぇー!珍しい!鬼の撹乱?じゃあ、見舞いに行くわ。」
「いや、来なくていいっ…切りやがった。なんであいつは人の話を最後まで聞かないんだ…。」

あいつ、本気で家まで来るつもりなんだろうか…。
………。
いや、一人で来るならまだかわいいほうだな。
きっと色々連れてくるぞ…。

流石に茶の一つも出さないのは失礼だな。そう思って布団から出て、階下の台所まで壁伝いで移動する。

熱で体が熱くて寒い。手足が自分のものでないような重たさだ。
ティーセットを5人分出す。なんとなく役員以外のヤツも来そうでマグカップやらコーヒーカップやらを7つ出す。

…全員揃ったら12人。この狭い家に12人入ったら堪らないな。でも、あいつらならやりかねん。
家中のお菓子を集めてみる。スナック菓子が3袋、昨日焼いたクッキーが大皿一皿分。
あとは、弟のゲーム機でも置いておけばいいか。ソフトはよくわからんが、ぷ○ぷ○でもあれば勝手に遊ぶだろう…。

ああ、だめだ。もう限界。布団に戻ろう…。

その時、玄関のチャイムが鳴った。ゴホゴホと咳をしながらドアを開けに行った。

「会長!?」

ノリオの声が遠くに聞こえて、そこから意識が途切れた。

◆◇◆

額に冷たいものを感じて目を覚ます。

「あ、会長、気がついた?」

俺の顔を覗き込んでいるノリオとサトシ。

「え?あ?ああ…ありがとう。」

どうやら玄関で気を失って、2人に2階の部屋まで運ばれてきたらしい。

「あっぶねえなぁ!サトシも連れてきて良かったぜ。一人だったら会長担げなかったし。」
「にしても、下、たくさん出してあったけど、お客さんの予定だったのか?」
「え?いや、お前たちがたくさん連れてきそうだと思ってだな…。」
「流石に病人の家に何人も連れてこないぜ…。ただ、もうじき集まってくる気がするけどな。」
「ノリオが大騒ぎしてあちこち電話したからな!」
「るせっ!会長が倒れるほど具合悪いと思ってなかったんだよ!」

ピンポーン♪

チャイムが鳴った。
ノリオが下りていってドアを開ける。
ドヤドヤと複数人入ってくる音がする。

入れ替わり立ち替わり、やってきた人間が俺の部屋を覗いていく。
最初にモエとショーコ。完全に面白がってる。
「会長も寝込むんだね。」
「会長の部屋ってシンプル!」
次に綾川兄弟。案外近所に住んでるんだよな。
「風邪薬とビタミン剤買ってきたぞ。」
「おうちの人は何時頃戻るんです?酷いようなら病院に連れて行ってあげますよ。」
続いて相葉姉弟。比較的マトモだな。
「氷枕と湯たんぽ持ってきたんだけど使う?」
「バスケットリ要る?」
そして何故か西園寺と伊藤。
「薔薇を持って参りました。」
「花瓶持ってきたから生けてくるね。」
最後に七瀬なな。
「薫くん、お腹空いてない?プリンとスポーツドリンク買ってきたんだけど…。お粥とかの方がいいかな?」

サトシが立ち上がって部屋を出る。
ななを部屋の中に入れて、下に下りていく。
「会長がもてなす用意してくれてたから俺たちは下に行ってるわ。ナナちゃん、あとは頼むな。」

ななが俺の布団の傍らに座る。
階下ではゲームをし始めたらしく、騒ぐ声がする。

「薫くんも寝込むんだね。」
「当たり前だ。俺だってたまには風邪くらいひく。」
「みんなで押し掛けてきてごめんね。」
「別に…。元々はノリオのバカが騒ぐからだろう?」
「そうなんだけど、休みの日に薫くんに会えないのが寂しくて。その上熱出してるって聞いたら心配になっちゃって。」
「俺は近寄りがたいのかと思っていたのだが…。」
「ふふ、気難しいもんね。でも、みんな、薫くんのことが好きなんだよ。」
「ななもか…?」
「わたし?私は違うよ。」
「…。」
「私は薫くんのこと、大好きだもん。みんなのとはちょっと違って、トクベツ。」
「そうか…、良かった。」
「あれ?今日は素直なんだね?」
「う、まぁ、熱のせいだな。」
「起きれる?プリン食べない?」
「ああ、いただこうか…。」

起き上がって、君が差し出したプリンを食べたあと、そのまま手に口づけをした。
プリンも良いが、君が良い。と言いかけて、ドアの方を見ると、隙間から何人かがこちらの様子を伺っていた。

一部始終を見られていたかと思うと一気に汗が吹き出して目眩がした。

「か、薫くん!?」
「草間!?」
「会長!!」
「草間くん!」

ななに倒れそうになった体を支えられている状態になったところで、部屋にドタドタと覗いてた綾川兄弟と相葉が入ってきた。

「先生まで一緒になって何覗いてるんですか。」
「ははは!若いっていいですよねー!」
「先生、俺が悪かったから病院に連れていってください。これじゃ熱が下がる訳ありません。」
「いっそ、ななにうつしちまえば、熱が下がったんじゃねーの?」
「綾川!そ、そんなことできるか!」
「何考えてんだよ、やらしーなー!!」
「先生、マジで早くコイツら隔離して…。」

そのまま先生に連れられて病院に行く羽目になった俺。
生徒会感謝の日とか言いながら、何の労いもなかったんだが。
とりあえず、今年もドタバタしたからいいか。

-終-
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2013/2/10  1:49 | 投稿者: おるん

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◇◆◇二人だけの夏の風物詩

事の発端は先週。
人影もまばらな夏休みの図書室。
彼と二人並んで勉強していたら、唐突にこんなことを言い出した。

「おい、火曜日の夜、俺に付き合ってくれないか?」

動かしていた手を止め、彼の顔を見ると、彼も私の顔をじっと見つめていた。
「え?いいけど…なんで夜なの?」
「それは…毎年恒例の夏の風物詩の準備のためだ。」
「準備?…だから、なんで夜なの?」
「まだ企画中なんだ。君に先に感想を聞こうと思って。昼間だと雰囲気が出ない。」
「…えぇ…やだよ。薫君の夏の風物詩、怖いんだもん。」
「ふふ、それはそれは。怖がってもらわないと意味がない。」
ニヤニヤと不敵な笑みを浮かべている。

この人、ホントにドSだよね。
私が転校してきて初めての夏休みの時だってすごく怖くて途中で動けなくなってしまったんだから。
それを面白がって、こうして私を実験台にするんだ。

◇◆◇

当日。
昼間は図書室で勉強して、そのまま夜に。
学校には文化祭の準備だと言って生徒会室での作業として書類を提出したらしい。

生徒会室の黒板に、薫君が紙を一枚貼り付けた。
「今年の肝試しは、屋外で行う。」
「え!?」
「昇降口前で集合し、中庭を抜けて焼却炉⇒花壇⇒プールサイド。そして校舎裏から戻ってきて非常階段を上って屋上。」
「ふうん。」
「もちろん歩くだけではつまらない。今年はスタンプラリーだ。中庭、焼却炉、花壇、プールサイド、校舎裏にスタンプ台を設置する。」
「スタンプラリーって、全然怖くないじゃない。」
「そうだ。当日はゾンビが出る。奴等は歩くのは早くないが、水鉄砲や水風船を持ってる。プレイヤーには人形を持たせて守らせる。塩化コバルト試験紙をつけておくから、屋上についた時点で赤くなっていたら失格だ。」
「えー!汗かいてもダメだよね。」
「そうだな。雨天かもしれないしな。まぁ、クエン酸でも入れて、pH試験紙にするとか、色々方法はある。」
「なるほど…。」
「じゃあ、始めようか。」
「えぇ!?今日はゾンビ、居ないよね??」
「ああ。二人きりだから安心しろ。当日もゾンビはそんなに多くないから心配するな。」

懐中電灯を手に、昇降口前までやってきた。
生徒会室の灯りも消してきたので、職員室の灯りの他は非常灯が光っているだけで肝試しコースは真っ暗だ。
「夜の学校ってやっぱり不気味…。」
「そうだな、ここの学校には色々噂があってだな…」
「いやーーーー!やめてーーーー!」
「こら、騒ぐな!先生が出てくる!ほら、行くぞ!」
二人で手を繋ぎながら歩き出す。

最初は中庭だ。
桜の大木の裏側にスタンプ台を置くらしい。
「この桜の木、昔、大学受験に失敗した男子生徒が首を吊ったらしいぞ。」
「!!!!!!」
声にならない悲鳴を上げる。
それを見て彼がクククと笑う。
「冗談だ。」
冗談じゃねぇぞ。ゴルァ!!!
それでも彼が私の手を離したら、私はたちまち腰が抜けそうだから反抗できない。

次が焼却炉。
スタンプ台は焼却炉の横に置くんだって。
「ここの焼却炉、出るらしいぞ。」
「…何が?」
「病気で死んでしまった生徒の幽霊が。
彼女の使っていた上履きだけが、遺族に忘れられて引き取られなかったのを燃やしたそうだ。
そうしたら、夜な夜な、彼女がその上履きを探しに来るようになってしまったらしい。」
「うぅ、ウソだよね?」
「いや、本当だ。俺は会ったことないけどな。」
「!!!!やだ!もう早く次に行こうよ!!」

続いて花壇。
「ここにはどんな話があるのよ?」
「…ここに白い花を植えると、何故か全部、ピンクや赤い花が咲くそうだ。」
「もしかして、何か埋まってたりするんじゃ…?」
「さぁな。この学校、空襲の跡地に立っているから、色々埋まっていても不思議はないな。」
「薫君!もう止めようよ!!怖い!!!」
「怖い?」
彼がクスッと笑って、私の手を離し、懐中電灯を消した。
「いや!!!止めて!」
「君の声、そそるな…。」
「バカ!!」
彼がそっと私の体を抱き寄せ、耳に息を吹きかけた。
「あぁん。」
「ふふ。君は時々、すごく可愛いな…」
「薫君、ヘンタイ!!」
「あぁ。俺は人間じゃないからな。君の美しい髪が欲しくて、ずっと機会を伺っていたんだ。」
そう言って私の髪を撫でたあと、おもむろに毛束を引っ張った。
「きゃーーーーー!」
「あはは!ジョークだ。」
「バカーーー!」
私が既にぼろぼろ涙を零しているのにも気付かないまま、彼が私の手を引いて歩き出す。

プールサイドに差し掛かる。
ここは更衣室の入り口の照明が点けてあった。
水面に灯りが反射してキラキラ光っている。
「ほっ…。ここはちょっと明るいから怖くないね。」
「まぁ、水に落ちると危ないから、当日も照明を点ける。
ただ、ここの学校内ではプールが一番出るんだけどな。
ほら、そこの壁、人の顔が見えないか?」
彼の指が私の体に接しそうな塀を指していた。
「きゃーーーーー!!!」
「あ!こら!」
彼の手を払いのけて走り出したら次の瞬間、足元の感触がなくなって、見事にプールに落ちてしまった。
制服を着ているせいか、スカートやシャツが体に纏わりついて、上手く泳げない。
もがけばもがくほど誰かに足を引っ張られているようで、どんどん水に沈んでいって、パニックになった!

バシャンと音がして、誰かが私を引き上げてくれた。
薫君だ。水を飲んでむせた私の背中を叩いている。
「かはっ!ごほっごほっ!!」
「落ち着け!足が着くんだ、ココは!!」

はたと気が付いて、立ってみる。
ほんとだ。普通に立てる。さっきの足が引っ張られる感覚はなんだったんだろう?

「そそっかしいな、君は。」
薫君のバカ…!
「ううぅ。ふぇっく…。ふえぇ…。」
薫君の首に腕を回し、しがみついた。
彼の首筋に顔をうずめてわぁわぁ声を上げて泣いた。
「すまない。調子に乗りすぎた。君がすごく怖がるものだから、面白くてつい。」
面白くて、じゃないよ!酷い!!
「君が色んな表情をするのが見たくてだな。
笑顔って皆に見せるけど、泣くところとか取り乱すところとか、見せたことないだろう?」
「…。」
「俺だけしか知らない君が欲しくて。…ほら、俺に見せろよ。」
「薫君のバカ!!」
どれだけドSなのよ。信じられない!
「可愛いな、君は…。」
そっと離れた私の顔を引き上げると、頬を撫でて、涙を拭った。
「会長命令だ。…目を閉じてくれないか?」
「ヤダ。」
「俺の誕生日なんだぞ。目を閉じたまえ。」
「誕生日プレゼント?仕方ないなぁ。」

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-終-
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