2015/10/12  5:14 | 投稿者: おるん

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#この物語はフィクションであり、
登場する人物・施設・団体は実在のものとは何ら関係ありません。
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◆◇◆7.文化祭◆◇◆

中学生活最後の文化祭。
私もあっちゃんも文化祭委員をやっているので、是非とも盛り上げて成功させたいところ。

文化祭が近づいてきて、何かと放課後に作業がある。
会議室で、文化祭委員が集まり、文化祭用のポスターを作っている。
私は文化祭の最後に踊るフォークダンスに参加を促すポスターを描いていた。
他のクラスの女子が私のポスターを見て言う。

「この絵の男子ってさ、津川?」
「え!?」
「この女子はむんちゃん?」
「ええ!?」

本人もいるところでそんなこと言われると、付き合っているとはいえ、ちょっと恥ずかしい。

「つうかさ、むんちゃんと津川って付き合ってるんやろ?放課後一緒におるん、よく見るけど。」

ざわっと周りの人間が色めき立った。

「付き合ってるって、やらしーこといっぱいしてるんちゃうん?」

面白がって男子が囃し立てる。

「あほ!俺らそんなん違うぞ!」

あっちゃんが叫んだところで先生が入ってきた。

「お前ら、なに騒いどんねん!はよ作業せんか!」

◆◇◆

文化祭当日。
文化祭委員は展示部屋の当番や舞台発表の進行などで、各自ドタバタでゆっくり見物する暇もなかった。

あっちゃんとは朝、委員の召集で顔を見たきり、まったく口も利いていない。

やっと最後のフォークダンスの時間。
去年は別の輪になったから踊れなかった。
2年振りのフォークダンス。
2年前は私の手も握ってくれなかった。
今年はちゃんと踊ってくれるよね?

オクラホマミキサーの音楽が流れる。
文化祭委員はクラスの輪とは違って人数も少ない。逆方向に回っていくけど必ず回ってくるはずだ。

しばらく踊って段々あっちゃんに近付いてくる。
あっちゃんとちゃんと手を繋いで踊りたい。

(あっちゃん!)

ドキドキする。あっちゃんが私の手を取ってくれた。
彼と寄り添うようにして次のステップを踏み出そうとしたその時、2年前と同じように曲が終わってしまった。

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(圭子、今回もオクラホマミキサー、踊れんかったな…。)
(うん、ちょっと残念。)

体を離す前にあっちゃんが私の耳元で囁いた。
2年前にはこんな言葉を交わすこともなかったのに。
あっちゃんの優しい声が嬉しかった。

◆◇◆

後片付けも済んで、ほとんどの生徒が帰った放課後。
鞄を取りに教室に上がる。

「あっちゃん、待っててくれたん?」
「うん、まあ、俺もさっき仕事終わったところやったし。」

あっちゃんが教室の一番後ろの席に鞄を置いた。

「なあ、オクラホマミキサー、踊らん?」
「え?でも、音楽無いで?」
「歌えばええやろ?音痴でも笑うなよ?…ほら、来いよ。」

あっちゃんが差し出した手に私の手を乗せた。

-続く-

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1.序章
6.進路
8.佳境
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2015/10/12  5:11 | 投稿者: おるん

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#この物語はフィクションであり、
登場する人物・施設・団体は実在のものとは何ら関係ありません。
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◆◇◆6.進路◆◇◆

勉強の甲斐あって、模擬試験の結果は上々。

「おおお!社会の偏差値上がったー♪」
「俺も!数学の偏差値上がったー!!」

二人して模擬試験の結果表を見てホクホク。

「なぁ、圭子。志望校どこに決めるん?」
「あっちゃんと一緒のところがいいと思ってるけど、公立やったら、私、体育あかんから入られへんし…。」
「俺、私立の男子校に行くつもりやねん。今回の模試、結果が良かったから、本命で進路希望出そうと思う。」
「へぇ…、どこに行くん?」
「上町高校。」
「そっか…。」
「圭子は?」
「私は…私立やったら桜泉女学院にしようと思ってた。上町とちょっと近いな。」
「ほんまやな。合格できるようにがんばろな。」
「うん。」

◆◇◆

いつもの通り下校すると、家の前であっちゃんの妹と会った。

「お兄ちゃん、圭ちゃん、おかえり。」
「ただいま。」「ただいま。」
「お兄ちゃん、圭ちゃんと付き合ってるん?」

なんて答えるんだろう?

「付き合ってるよ。亜由美、お母さんに言うなよ。」
「なんで?」
「絶対色々うるさいから!」

なるほど。それはそうかもしれない。

「圭子、また明日な。亜由美、家に入れ。」
「はーい。圭ちゃん、バイバイ!」
「バイバイ。」

◆◇◆

夕食を食べ終わって、皿を下げようとしたとき、亜由美が唐突に喋り出した。

「お父さん、お兄ちゃん、圭ちゃんと付き合ってるんやって!」
「へぇ。そうか新もそういう年頃か…。」
「亜由美!喋んな言うたやろ!」
「お父さんにとは聞いてないから。」
「お母さんもおるんやから一緒やろ…。」

お母さんが流しの皿をカチャンと鳴らして言う。

「新、そのままそこに座ってなさい。亜由美は自分の部屋に行きなさい。」

ダイニングテーブルに俺とお母さんとお父さん。
気まずい雰囲気が流れる。

「新、今がどういう時期か分かってるでしょ?」
「…」
「しっかり勉強しないといけない時期でしょ?」
「…」
「あとで後悔したって遅いのよ?圭ちゃんだって同じ受験生なんだから!」

ガタンと立ち上がって言う。

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「わかってる!俺と圭子、一緒に勉強してるだけや!
成績だって上がってる!何の問題があるねん!?」
「勉強なら塾でもできるでしょ?よりによって圭ちゃんと付き合うなんて!」
「別に勉強なんか誰とやったって一緒や。」
「女の子と…間違いがあったらどうするの?」
「間違いってなんやねん。まだ中学生やし、お母さんが心配することなんか何もないわ!」

そのままダイニングを飛び出して自室に上がる。

「新!」
「お母さん、新もああ言ってるねんから、そっとしとき。」
「お父さんまで!!」

間違い…。
何考えてるねん、大人の方がよっぽど間違ってる。

-続く-

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1.序章
5.テスト勉強
7.文化祭
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