2011/8/19  12:37 | 投稿者: おるん

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注)本文中にある名称は実在の物・人・団体とはなんら関係ありません。
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◇◆◇そのほかの人たち8

歓談が始まって、しばらくは入れ替わりに人がやってきて、俺に話しかけてきた。
俺が覚えているヤツも居たが、忘れていたヤツの方が多かった。
やっと人が来なくなってきたので、残った料理を皿に取り、食べようとしたその時、また背後から声を掛けられた。
「よぉ!草間!」
振り向いて、やけに親しげに話しかけてくる声の主を見た。
「ん?…あぁ、君か。久し振りだな。」
あまりの変わりように息を呑んだが、よく見ると変わったのは髪形くらいで、表情は昔のままだった。
「お前は昔とちっとも変わらねぇな!」
「君は随分と上品になったじゃないか。」
「はははっ。なかなか様になってるだろ?」
「そうだな。昔からそうしていれば、先生にも目をつけられなかっただろうに。」
「俺には、お前みたいなのは似合わねぇし。…今はサラリーマンだから仕方ねぇよ。」
そう言って少し拗ねたような顔をした綾川。昔と変わらない。
先生と似ていないと思っていたけれど、こうやって同じような髪型をすると、雰囲気はそっくりで、流石兄弟だと思ってしまう。
「そんなことはないさ……。俺は綾川が羨ましかったんだよな。」
「は?お前がそんなこと言うようになるなんてな。…俺もお前と同じだけどな!」
「ふふ。」
「…桜と結婚するんだろ?おめでとう。幸せにな。」
「ああ。ありがとう。」

二人で話しているところに綾川先生がやってきた。
「草間君。竜士君も来ていたのですね。どうですか?久々の母校は。」
「んー、悪くはねぇな。」
「で、先生、どうしたんです?」
「いえ、実はですね、今、スペシャルゲストが到着したので、紹介してもらおうかと。」
「はぁ、スペシャルゲストですか?」
「食堂の外で待ってもらってるんですよ。呼びに行きましょう。」
そして綾川と二人、先生に連れられて、食堂の外に出た。

「よ!久しぶり!ご両人!!」
こちらを向いて手を上げたその人物。
「相葉じゃねぇか!久しぶり!」
綾川が同じように手を上げて相葉に近づいていく。
「綾川っち、髪の毛、さっぱりしたじゃん?草間っちは変わらないね?」
「相葉、背が伸びたな…。俺と変わらなくなったんじゃないか?」
「でしょ?大学でかなり伸びたんだよねー。」
得意そうにした相葉を綾川がからかう。
「へっ、それでも俺や兄貴よりチビだけどな!」
「へーんだ!バスケなら負けないもんね!」
「…当たり前だろ。それで俺らに負けたらプロ辞めちまえって話じゃねぇか。」
昔と同じように綾川と相葉が話している。十年経ったのに高校の時と変わらない。
「じゃあ、中に入ろうか?…先生は?」
周りを見渡しても先生が居ない。その横で相葉もきょろきょろ周りを見ている。
「あれ?お姉ちゃんも居ない…。さっきまで居たのに。」
「姉ちゃん?お前、姉貴と来たのか?」
「うん。だって、お姉ちゃんが来たいって言うから。」
普通に明るく話す相葉から目を逸らした綾川が言う。
「…お前の姉貴さ、ウチの兄貴と付き合ってるよな…?」
「そうなの!?知らなかった!」
「えぇー。何度かウチに来たことあるぞ?」
「じゃあ、お姉ちゃんは綾川先生目当てってコト?」
「そうなんじゃねぇの?」
動揺している相葉と綾川を尻目に、面倒臭いことを押し付けられたと思っていた。
「…まぁいい。あんまりのんびりしていると会が終わってしまう。早く入ろう。」
そう言って、二人を食堂の中に連れ戻す。

「皆さん、注目!我らが白薔薇学園110期生の星、相葉駿君が駆けつけてくれました!拍手!」
紹介するのが面倒で宴会のノリで叫ぶ。
同調して綾川がビールを波々注いだグラスを相葉に持たせた。
こちらを向いた出席者たちも一斉に拍手し、歓声があがった。
「えー、皆さんお久しぶりです!相葉です。…バスケ頑張ってます。…言うこと無いんで、乾杯!」
相葉はそう挨拶すると、手に持ったグラスのビールを一気に飲み干した。
わーっと歓声が上がる。
「じゃぁ、皆さん、続きをどうぞ。」
相葉がにこやかに近くの空席に座ると、女子達が群がって、相葉を質問攻めにしていた。
その光景を見ながら、綾川がボソッとつぶやいた。
「…変わらねぇなぁ。」
「…全くだ。」
「この後仕事なんだよなぁ。かったりぃ。ちょっと飲んでくかな。車じゃねぇし。」
「じゃあ、適当に座れよ。」
使っていないグラスを渡し、ビールを注いでやった。

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十年後1.約束の日
十年後そのほかの人たち
<十年後そのほかの人たち7 十年後そのほかの人たち9>
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2011/8/19  12:36 | 投稿者: おるん

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◇◆◇そのほかの人たち7

振り向いて声の主を見た。
「………あ、あやかわ、君?」
「おう!久しぶりだな、桜!」
彼の笑顔は当時と同じだった。
でも、赤毛で長髪だった頃の面影は全く消えていて、どこにでも居る普通のサラリーマンだった。
「綾川君、髪型!!」
「ははっ!当たり前だろ?社会人が赤毛で長髪とか無理だろ?」
綾川君は先生とは似ていないけれど、こうしてみると、どことなく先生と似ていると思った。
体格、髪質、髪の色…。
綾川君の地毛の色って、先生と一緒で元々薄いんだ…。
一緒に居た友達も皆、彼の変わりように驚いていた。
でも、当時不良だっただけあって、皆、彼とは話した事が殆ど無いらしく、何か話しかける素振りを見せなかった。
私だけが懐かしくて、彼に話しかけた。
「元気にしてた?仕事忙しいんでしょ?」
「まぁな。海外出張とかも多いからな。」
「へぇ。社長になるのも大変だね。」
「はは、俺はまだまだ社長になんかなれねぇさ。兄貴も居るしな。」
「??だって、綾川先生はここで先生をしてるじゃない?」
「そうなんだけど、親父は本当は兄貴に継がせたいんじゃねぇかな…。
兄貴が継いでくれるならそれもよし、継ぎたくねぇならそれもよし。俺はどっちにしても頑張るだけだ。」
「綾川君って、真面目だったんだね。」
「うるせー。昔から真面目だったんだよ、俺は。」
「ウソだー!授業サボりまくりだったくせに!」
「サボるのもなかなか根性居るんだぜ?」
「そんなの聞いたこと無い!」
「ははは…。なぁ、桜。兄貴から聞いたんだけどよ?」
「ん?」
「結婚するんだってな、草間と。おめでとう。」
「ありがとう。綾川君は?」
「俺は…出会いがねぇからダメだな!そのうち親父やお袋が見合い話でも持ってくるだろうよ。」
「きっといい人と出会うと思うよ。」
「サンキュ。さて、草間をからかったら帰るかな。」
「もう?」
「この後、客先に行かなくちゃなんねぇから。じゃあな!」
「うん。またね。」

去っていった綾川君を尻目に、皆が話し始めた。
「サクラって、綾川弟と仲良いよね。怖くないの?」
「え?そうかな?初めはちょっと怖かったけど、普通に優しい人だよ?」
不思議そうに聞いたアリサに答える。続けてヒトミが話す。
「ふーん。まぁ、元々男前だったしね。さすが綾川先生の弟、すっかり好青年じゃない。化けるもんだね。」
アキが思い出したようにここに居ない人物の名を挙げた。
「そういえば、今日来てないけど、相葉君!CM見た?」
「あー、見た見た!カッコよかったね!高校時代はかわいかったのにね!」
相葉君は大学卒業後、プロのバスケット選手になって、その会社のCMに出ている。
当時の面影もあるけど、ずっと男らしくて格好良くなった。
彼も二年程前に結婚したらしく、それはスポーツニュースで取り上げられていた。
「男子で二年前って二十六?結婚早いよね。」
「そうだね…。そういえば、最近、石神井公園で子供連れで来てたの見たよ?」
思い出したようにヒトミが言った。彼女の実家と相葉君の実家は近くだったらしい。
「そうなの?今もあの辺りに住んでるんだ?」
「いやいや、会社が全然違う場所にあるじゃない。実家に遊びに来てたんだと思うよ。」
「奥さん、どんな人なんだろうね?」
「きっとお姉さんみたいな人なんじゃない?相葉君、お姉さん大好きだったじゃない?」
「あぁ、あの占い師の?最近TVに出てるよね?」
皆でワイワイ噂話をする。同級生では、多分、相葉君が一番有名人になったと思う。
お姉さんも知名度があるから、盛り上がった。

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十年後1.約束の日
十年後そのほかの人たち
<十年後そのほかの人たち6 十年後そのほかの人たち8>
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