2011/8/19  12:33 | 投稿者: おるん

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◇◆◇そのほかの人たち6

いよいよ同窓会が始まった。
今回の会の主催者として、薫君がみんなの前に出て挨拶をした。
その後、綾川先生が乾杯の音頭を取って、歓談タイムになる。

私は薫君とは少し離れた席に座っている。
当時仲良くしていたメンバーと固まって席を取ると、自然とそうなってしまった。
薫君は中手川君と一緒に座っていたけれど、当時有名人だっただけはあって、入れ替わりに人がやってきて、挨拶したり、名刺交換したりしていた。

私の周りには、晶ちゃんの他に、アリサとヒトミとアキが座っていた。
それぞれ近況報告をする。
「あれ?桜、その指輪!もしかして結婚したの?」
アキが私の指輪を指差して聞いてきた。
「えへへ。この夏に結婚するんだ。」
「相手は会長だよ。」
横で唐揚げにかぶりついているアリサがそう言った。
アリサは高校卒業まで家が近くだったこともあり、会う頻度は減ったものの交流があったので、プロポーズされた後、報告していた。
ヒトミとはあんなに仲が良かったのに、何故か卒業してからは殆ど交流がなくなり、今日会うのも数年振りだ。
アキとは高校時代も学校でしか会っていなかったから、今回会えて本当に嬉しい。
「へぇ!会長と結婚かぁ!当時から一度も別れず?」
「うん。そんなに不思議かな?」
アキがボソボソ小声で聞いてくる。
「だって、処女あげた人でしょ?他に経験無いんだよね?」
「え?まぁ…。」
「おいおい!浮気したの!?」
「わ!わ!声が大きいよ!浮気なんかしたこと無いよ!私も薫君も!」
思わずガタっと立ち上がり、アキの口を押さえる。
一瞬、薫君がこっちを見たような気がしたけど、気のせいみたいだった。
「私だけじゃなくて、アリサにも聞いてよね。指輪してるでしょ?」
「ほんとだ!」
「アリサの旦那は男前だよねー。」
ジュースを飲みながら、ヒトミがそう言った。
「どこで知り合ったの?」
アキが興味津々に聞く。
「え?コンパで。」
「うそ!?」
「そうだよ。ヒトミも一緒だったもんね?」
「そうそう、一番男前だった。」
ヒトミも唐揚げを一つ摘んで口に入れた。
「えぇー、コンパで男前ってロクな事なさそうじゃない?」
「それが、まぁまぁ家庭的でさ。トントンと結婚することになっちゃった。仕事にも理解があるから、しばらく仕事を続けられるし。」
「えぇー、いいなぁ。新婚のピアノ講師か…そそるなぁ。」
よく分からないこと言うアキに突っ込む。
「何言ってるのよ、美容部員。美人の集まりなんだからモテるでしょ?」
「サクラ、甘いなぁ!美容部員って、女の世界だからさぁ、出会い無いんだよね。」
「あぁ、分かる!私も雑誌の編集やってるけど、女性向け雑誌だからスタッフは女性が多いし。」
ヒトミが巻き寿司を一つ皿に取りながら言った。
「雑誌の編集かぁ、かっこいいなぁ。」
羨望のまなざしで見る私を尻目に、ヒトミはそっけない返事をした。
「そんなこと無いよ。雑用が多くてシンドイだけ。カメラマンも自分でやるから機材重くて移動大変だし。カッコいいのはリカコだよ。」
「リカコ?そういや、今日来てないけど、何してるの?」
アリサがヒトミに聞いた。
「リカコは大学生の時に、デキ婚して、大学卒業してすぐに別れてシングルマザー。で、その後アパレルで働いてたみたいだけど、去年、自分でお店持ったって!以前、ウチの雑誌で前の勤め先を取材したことがあって、その時リカコと再会したんだけど、店長から敏腕だって聞いたよ。」
アリサが目を見開いて聞いた。
「へぇ!凄い!子供って…今6歳くらい?」
「んー。子供には会った事ないけど、そうだね、小学生くらいなんじゃない?」
「凄いなー。お母さんになるって、まだ実感湧かないよね。」
ジュースを飲みながら、晶ちゃんに同意を求めた。
「そうだよね。でも桜ちゃんはすぐに子供産みそうじゃない?」
「うーん…、まぁ早く産みたいかなぁ。でもまだ仕事してるしね。」
ヒトミが意外そうに目を見開いた。
「仕事?会長は結構稼ぎそうじゃない?専業主婦でいいじゃん。」
「草間君?普通だよ。区役所勤めだから安定してるけど。しばらくは私も働いて貯金かなぁ…。私も商社の事務職だから、大して稼がないけど。」
「意外!あのプライドの高い会長が官僚にならなかったなんて!」
「私も官僚になるか、弁護士か何かになるのかなーって思ってたんだけど。なんかね、大学に入ったらすっきりしちゃったらしいんだよ。」
私の声に頭上から誰かが話しかけてきた。
「ふーん、そんなもんなのかねぇ。」

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十年後1.約束の日
十年後そのほかの人たち
<十年後そのほかの人たち5 十年後そのほかの人たち7>
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2011/8/18  8:58 | 投稿者: おるん

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◇◆◇そのほかの人たち5

なんだかんだと慌ただしい毎日を過ごし、あっという間に八月になった。
いよいよ同窓会。皆忙しいのか、想定よりも返信率は低いし、出席予定者も八十名程度。
食堂に手配していたケータリングが届き、準備真っ只中だ。
準備を俺と桜でやるには人手が足りなさ過ぎるからと、安田が中手川を呼んでくれた。

「この歳になって、このメンバーで何かするって思っても見なかったよ。」
と中手川がテーブルに皿やコップを並べながら言った。
「俺だって。もう此処に来ることなんて無いだろうと思っていたからな。」
「ふふ、二人ともあまり変わらないね。」
ドリンクの瓶を運んできた安田がくすくす笑う。
そこに、お菓子の袋を持った桜がやってきて言う。
「そうかな?草間君はちょっとお腹が出てきたよね?」
「うるさいな!…運動不足なんだ。」
不機嫌に言う俺を中手川と安田が笑う。
「くっ、はははっ!お前達、変わらないよな。結婚するんだろ?十二年?長いよなー。」
「そうよねー。高二からだから長いよね!私もまさか草間君と桜ちゃんがこんなに長く続くと思ってなかったもの。」
俺と桜は顔を見合わせ、同時に、なんで?と安田の顔を見た。
「桜ちゃんが愛想尽かすんじゃないかと思ってた!」
「なっ!?愛想尽かすのは俺の方だろう?」
「ぷっ、あははは!晶ちゃんったら!」
「安田の言うことわかるなぁ。俺も、どっちかと言えば、谷本が逃げると思ってた!」
「中手川君、どうして?」
桜も、中手川もがそう思うのに疑問を抱いた。
「…草間ってさ、なんかこう、気難しいだろ?それに…最初は谷本が草間に惚れてるのかと思ってたけど、完全に逆だったからな。」
「なっ、なっ、なんだ、それ!?」
思わず、声が裏返った。ニヤニヤしながら俺を見た中手川が続ける。
「俺、最初は草間は結城さんと付き合ってるんだと思ってたんだよな。で、谷本が草間を追って生徒会室に来るようになったんだと思ってたんだけど…。」
うんうん、と安田がうなづいている。中手川は更に続けた。
「なんだかんだ、谷本と二人で最後まで残ってたりすることも多かったしさ。結城さんと家が近所の割に余り一緒に帰らないし。」
「…。」
「…何よりも、一度だけ見たことあるんだよな!綾川と取り合ってるとこ!!!」
「なっ…!」
綾川と…?いつの話だ?そんなことあったか?
「なにそれ!?」
目を輝かせた安田が身を乗り出して中手川に食いつく。
「いつか忘れたけど、放課後、廊下でさ、綾川が草間の胸ぐら掴んでて…。その時は綾川が谷本を連れて行ったんだけど、その後の草間の機嫌が悪かったこと!!今でも忘れられないぜ!」
「すごーい!私も見たかったなぁ!」
ゲラゲラ笑う中手川と目をキラキラにした安田。
今、鮮明に思い出した。アレか。見られていたと思うと、物凄く恥ずかしい。
「分かった…。もう、俺が桜にベタ惚れでいいから、そんな昔の話は止めてくれ…。」
「そんなに機嫌が悪かったんだ?」
俺の顔を見る桜。思わず顔が熱くなる。
「あぁ、機嫌が悪いってモンじゃなかったぜ。力余って、置いてあった資料破っちまったんだから。平静を装ってたんだろうけど、手がずっと震えてた。会長の意外な弱点見たなーって。…怖いから攻める気は起こらなかったけど。」
何を言い出すか分からない中手川を遮って話題を逸らす。
「もういいだろ!?お前こそ、どうなんだよ?あの時のメンバーで結婚していないの、お前達だけだぞ!?」
「え?そうなのか?榎本さんと結城さんは?」
「その二人が二年程前に結婚した。少し前に子供が生まれたし。」
「えぇぇ!いつの間に付き合ってたんだ!?」
「…さぁ。俺たちが高二の時のクリスマス辺りからじゃないか。」
「えぇぇ!知らなかった!!お前らが面白すぎて見てなかったー。」
どういう意味だ…。そんなに面白かったのか?若かったとはいえ、とんだ失態だ。
「晶ちゃんと結婚なんて事は…?」
桜の言葉に、二人が顔を見合わせた。
「安田…?」
「中手川君…?」
二人して吹き出し、ないない!と否定した。
「…残念ながら、俺ももうすぐ結婚するんだよね。」
「そうなの?おめでとう!」
「おめでとう!相手は?どんな人??」
安田と桜が中手川に食いつく。女子はいくつになってもこういう話が好きなようだ。
「勤め先の後輩。銀行員だから、女子行員の方が多いし、案外すんなり決まった。」
「へぇ…。銀行だったら美人が多そうだよね。」
「まぁ…普通だけどな。」
いいなぁを連呼する安田をなだめる桜。

そこに綾川先生がやってきて言う。
「ほらほら、そろそろ時間になりますよ。早く準備してくださいね。」
はーいと全員で返事をして、作業に戻る。
もうそろそろ誰かがやってくるだろう。

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十年後1.約束の日
十年後そのほかの人たち
<十年後そのほかの人たち4 十年後そのほかの人たち6>
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