2011/1/5  1:25 | 投稿者: おるん

---------------------------------------------
注)本文中にある名称は実在の物・人・団体とはなんら関係ありません。
 ウェブカレはリンクシンク社のSNSサービス名です。
 小説内の設定は必ずしもウェブカレ公式設定と同じではありません。
---------------------------------------------

◇◆◇9.ホテルバー

彼女を連れて駅まで歩き、電車に乗ってターミナル駅に出た。
日が暮れるまで駅前のカフェで時間をつぶした後、行きつけのバーまで行く。
繁華街の少し奥まったところにあるビルの地下に入っている。
「あ、なんだよ、臨時休業って…。」
しまったと前髪を掻き上げてくしゃっとした。
そんな俺を見て、彼女が笑う。
「先生の地の話し方、初めて聞いたかも。」
「ん?ああ、そうですね。学校では丁寧に話すように心掛けていますから。」
「どうするの?」
「仕方ありませんね。行きつけというほどではないですが、夜景が綺麗なバーに行きますか…。」
彼女の服装はそれほどドレスアップしたものではなかったけれど、カジュアルすぎるわけでもないし大丈夫だろう。

近くのホテルの最上階。
「こちらでいかがですか?お姫様。」
彼女をエスコートしながらおどけて言った。
「ぷっ、あはは、先生ってば。…でも、ステキ…。」
「でしょう?」
「学生ではまず来ないもんね、こんなところ。先生、いろんな人を連れてきてるでしょ?」
「…まぁ、ご想像にお任せしますよ。」
「高いんだろうなぁ…。」
「それなりにはね。相葉さんが酒豪なら困りますが、普通に飲む分くらいは持ってますから。」

カウンターに二人並んで座る。ピアノの生演奏が心地良い。
つまみを少し頼み、お酒を選ぶ。
「相葉さんは、ワインは平気ですか?」
「はい。」
「そうですか。じゃあ、まずはシャンパンから行きましょうか。」
シャンパンが注がれたグラスを持った。
乾杯とグラスをそっと合わせる。ガラスの透き通った音がした。
「あ。」
彼女はグラスに入ったシャンパンを一気に飲み干した。
「先生、これ、凄く美味しい。」
「相葉さん、そんなに一気に飲んだら、酔いが回ってしまいますよ。」
「多分、大丈夫!」
「それに、バーテンさんに変な目で見られてしまいますから、ここでは先生は止めてください。」
「なんて呼べばいいのよ?」
「…綾川さんとか…司さんとか…。」
「じゃあ、司さんね。…私のコトを相葉さんと呼ぶのも止めてよ。」
「なんと呼べばいいですか?」
「ひかりって呼んで。」
「呼び捨てですか?」
「年下にさん付けもおかしいでしょ?ちゃん付けは子供っぽくてイヤ。」
いざ、教え子を名前で呼ぶとなると流石に照れる。
それなりにこういう所に来る経験は積んできたと思うけれど、教え子とは初めてだ。
まぁ、今日だけは恋人気分かな…。

初めてのバーでお酒が入って気分が良くなっているのか、彼女は大学の事や弟の事などを話してくれた。
大学では、周りの女友達にはみんな彼氏が居るけれど、自分はモテないから居ないんだと言っていた。
なんだかわかるような気がする。
彼女は元気で可愛らしい女の子だけど、男子学生には多分君は強すぎるんだろう。
きっと、内側は普通の女の子なのに、しっかりしすぎていて、なんでもこなしてしまうから。
弟もあんなに可愛らしいのに、なぜ彼女が居ないのか不思議だと。
転校生の女の子が好きだったけれど、気が付いたら他の男子に取られていたと。
多分、谷本さんのことだ。確かに彼女は可愛いけれど、ここまでモテるとは思っていなかったので驚いた。

「ひかり、ちょっとペースが速すぎですよ。歩けなくなりますよ。」
「大丈夫だって…。」
既にフラフラしているようで、しまったと思う。本当にこういう場所に慣れていないんだ。
雰囲気に飲まれて、飲みすぎている。
そのうち、空になったグラスをそのままに、俺に寄り掛かって眠ってしまった。
「ひかり、起きて…。ほら、家に帰らないと叱られますよ。」
「いい…。今日は帰らない。先生と一緒に居る…。」
先生って呼ぶなって言ったのに、仕方がないコだ。
「俺だって男なんだぞ…。」

結局階下に部屋を取り、彼女を支えながらなんとか歩かせて部屋に入る。
ダブルベッドの上に彼女を寝かせる。
「はぁ。」
あどけない寝顔で寝息を立てている。
最初からそのつもりで来ていたのなら遠慮なく、というところだが、そういう訳にもいかない。
彼女の傍らに腰掛けて、彼女の寝顔を覘く。
「かわいいなぁ、もう。」
頬をつついたけれど、彼女は一向に起きる気配がない。

---------------------------------------------
1.よく当たる占い
<8.新しいスタート 10.夜中に>
---------------------------------------------
0




AutoPage最新お知らせ