2011/1/11  1:31 | 投稿者: おるん

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注)本文中にある名称は実在の物・人・団体とはなんら関係ありません。
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◇◆◇11.墓参り

それからしばらくして、ひかりと付き合うことにした。
正直、ひかりのことが物凄く好きかと聞かれると難しいけれど、俺の中で大きな存在になっていることは間違いない。
ひかりは、実は高校時代から俺の事が好きだったと言っていた。
あの態度からは全く想像もしていなかったのだけれども。
それから、俺が在学中不良だったことや、普段の俺については全く知る由もなく、ギャップに苦しむんじゃないかと若干危惧している。
五歳しか違わないから、先輩伝手に噂を聞いているかもしれないが、学校は俺が不良だったことを隠したがっているから、おそらく知らないはずだ。

休みの日に、ひかりを自宅に招いた。
元々、父母は忙しく飛び回っているし、竜士もきっと出掛けるはずだから、気を遣うことはない。
「ひかり、いらっしゃい。どうぞ上がって。」
「…お邪魔します。」
玄関からそのまま二階の自室に上がる。ひかりがキョロキョロ家の中を見回している。
「どうかした?」
「司さん、ホントに御曹司だったんだなーって。家の中も豪華…。」
「うーむ、御曹司と呼ばれるほど裕福ではないけどね…。」
「普通のお家よりはお金持ちだと思う。」
「…否定はしません。」
部屋に入ったところで突っ立ったままのひかりをソファに座らせる。
「その辺に荷物を置いて座ったら?お茶を淹れてくるし。」
下で紅茶を淹れて運んでくる。カップに注いでテーブルに置いた。
「今日、君を呼んだのはね…。」
机の上の写真立てと指輪の箱を取って、テーブルの上に置いた。
「?」
紅茶を飲む彼女がキョトンとそれを眺めていた。
「亡くなった彼女。遠藤奈月っていうんだ…。彼女への指輪もずっと手放せなくて。」
「…。」
「これを奈月に渡そうと決心したんだ。だから一緒に来て欲しくて。」
「…うん、わかった…。」
まだ落ち着かなさそうな顔をした彼女が言う。
「ねぇ、司さん。あの手帳、新任の時からずっと使ってる閻魔帳??」
「ん?」
振り向いて彼女の視線を辿る。机の上に黒い手帳があった。
「あぁ、これ?そうだよ。」
机の前まで歩き、手帳を手に取った。
「…やっぱり、黒じゃないと思うのよね…。」
「ふふ。昔、そんなことを言っていたね。」
「もしかして、それもナツキさんが?」
「ああ。彼女が就職祝いに買ってくれたんだよ。」
「…。」
「これ、使っているのは嫌かい?」
「うん…。」
そう言って彼女がうつむいた。
「…そうか、そうだよな。前の彼女のプレゼントなんて…。」
手に取った手帳に視線を落とす。この手帳ともたった四年でお別れか。
「…ううん。うそ。」
「え?」
「いいよ。それ、名前入りでしょ?折角の彼女の気持ち、大事にしないとね。」
「え?え?なんで?」
「…昔、ちょっとだけ先生が手帳を開いてる時に覗いたことがあって。」
「…。」
「あ、でも、書いてる内容は見えなかったから!」
驚く俺を尻目に話し続ける。
「私、彼女のことも含めて、司さんのこと、好き。
そこでその手帳を捨てちゃうような人だったら、きっと好きになってない。」
「…ありがとう…。」

二人で車に乗って、奈月の墓を参る。
花と線香を供え、指輪を置いた。
「奈月、今までありがとう。」
「…司さん、これ、ココに置きっぱなしにするの??」
「え?」
「流石にまずくない?お家まで届けたほうがいいんじゃ…?」
考えてなかったけど、確かに。ここにあっても雨ざらしになるだけだ。
「…じゃあ、もうちょっと付き合って。」
「はーい。私、車の中で待ってて良いでしょ?」
「ああ。」

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1.よく当たる占い
<10.夜中に 12.愛しい人<完結>>
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2011/1/9  0:17 | 投稿者: おるん

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◇◆◇10.夜中に

「う…。」
頭痛い…。…ここ、どこ?私、何してたんだったっけ??
ベッドの横のテーブルにミネラルウォーターのペットボトルとガラスコップが置いてあって、書き置きしてあった。
『起きたら水を飲みなさい。』
あぁ、そうか、私、先生とお酒を飲んだんだった…。
ひとまずコップに水を注いで飲む。少しぬるくなった水でもひんやり喉を冷やした。
暖房の効いた部屋。照明は暗く落とされていて、サイドテーブルのスタンドだけがほんのり灯っている。
先生はどこに?
ベッドから下りて、ふかふかの絨毯の上を歩く。
部屋の奥にあるソファに先生が腕組みしながら腰掛けていて、別の椅子に脚を乗せて眠っていた。
ホテルの部屋着を着ているから、きっとシャワーを浴びたんだ。
ベッドで寝ればいいのに…。…ダブルベッド、そうか気を遣ってこんなところで。
「せんせ…。」
あ、そういえば、先生は止めろと言っていたっけ。
「司さん…。」
先生の顔を覗き込む。部屋が暗いけどわかる長い睫毛。見れば見るほど、やっぱり端整な顔立ち。
乾いた前髪がサラサラしてそうに見える。
そっと手を伸ばして、額に掛かった前髪を退ける。髪を耳に掛け、そのまま頬を触る。
男の人の顔…。駿以外で初めて触ったかも。駿はもう少し華奢でやわらかくて子供っぽいけど、先生はやっぱり大人だ。
「司さん、風邪引くよ…。」
耳元でそう囁いた。すぐに先生の頬に唇が触れそうな距離。そっと先生の唇に自分の唇を近づける。
先生が起きなかったら、キスしてやろう…。先生、起きないのかな…?
ドキドキしながら、先生の唇に自分の唇を付けた。
音もなく、ただ先生の吐息が私に掛かる。
先生は起きなかった。起きて、私をどうにかしてくれることを少し期待したのに。

先生が起きそうにないので、軽くシャワーを浴びることにした。
上がってきても先生はまだその姿勢のままだった。
もう一度先生の顔を覗き込んだ。
「…ん?」
先生が目を開けた。
「ひかり、ちゃんと髪を乾かさないと風邪引くよ。」
そう言って優しく微笑んだ。頭からバスタオルを被っているのに…。下を見ると私の髪から雫が落ちていた。
「はい…。司さんもそんなところで寝てたら風邪引くよ。ベッドで寝たらいいのに。」
「あなたと一緒のベッドに入って、間違いが起きてしまっては困りますから。」
「間違いって…。」
「俺も男だし、君は女だ。しかも魅力的なね。襲わない自信がないな。」
「間違いなんかじゃない…。私…。」
「いいの?そんなこと言って。」
「…。」
「俺が君のコトを好きとは限らないよ?」
「わ、私は、ホントは…、先生がずっと好きだった…。だから、いいの。」
「ふふ。ひかりはかわいいね。」
そう言って先生がくしゃくしゃっとタオルで私の髪を拭く。
「先生…。」
「先生は止めてって…。」
「つかささ…」
そのまま先生が私の頭を引き寄せてキスをした。
「ほら、髪を乾かしておいで。」

髪を乾かし終わって戻ってくると、先生がベッドの中に入っていた。
「さあ、おいで。」
そう言って私をベッドに促す。ドキドキしながらベッドに入った。
でも結局先生は何もせず、ただ私に腕枕をしてくれただけだった。

翌朝、一緒に朝食を食べ、電車に乗って家の近くまで送ってくれた。

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1.よく当たる占い
<9.ホテルバー 11.墓参り>
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